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磐田戦~劣勢を押し退けたヘディング

2022年7月2日 サンフレッチェ広島 vs ジュビロ磐田 エディオンスタジアム広島

 猛暑の中の連戦。しかも前節は完敗と言っていい内容の上、FWで唯一得点を計算できるドウグラス・ヴィエイラが負傷させられてしまった。そして次に得点に絡むはずの満田も決定的チャンスを決めきれなかった。スピードスターの藤井も低パフォーマンスに終わったことでどことなく期待値が低くなっている。1回の敗戦がここまでイメージを低下させるのか。そんなことを思い知らされた前節から中2日でリーグ戦を迎えたのだった。
 そんな中、野津田の出場停止明けというのはポジティブな要素だった。改めてチームに欠かせない選手であるのが証明され田ものの、逆に結果が出なかったら頭打ちである。なので今後を占う上であまりにも重要な試合となるのであるのだった。
 スタメンには柏が右サイドに入りナスがワントップで入った。前節の選手の評価をそのまま当て嵌めたかのようだった。果たしてそれがどこまで通用するか。キックオフと共に強度の高いプレッシングにこの暑さへの配慮はなかった。ただ、磐田もそう簡単には奪わせない。スルスルっとパスでいなすと前線へ繋げられ大森が突破を図る。荒木や佐々木が阻止はしたもののその切り込みに鋭さがあり、油断ができなかった。
 マイボールにしてからも磐田のプレスを何とか切り抜けるも前に持っていけない。DFで回すものの中盤より前に上り詰めることができない。右サイド柏はドリブルで勝負する機会すら与えてもらえない。すると目先を替え塩谷がロングフィードで裏を突く。スペースに走った森島が追いつき折り返し。そこに松本が走り込みミドルシュート。ゴールへ向けて一直線に飛んだボールはGK三浦にセーブされてしまった。が、これにより反撃の狼煙を上げることができるようになった。
 左右にボールを揺らしつつ森島が、満田が深い位置を伺いなおかつナスが中央での起点となる。磐田はクリアが精一杯となりボールを回収してまた攻撃に入る。ナスに当て、満田が抜けようとしたとこで倒された。笛が鳴り左サイドからのFK。満田と野津田、左右のキッカーが並ぶ。そして蹴ったのは右足の満田。ゴールへと向かい巻いてくるボールはファーへ流れそこに入った荒木のヘッドが炸裂。ゴールへと叩き込んでいったのだった。
 先制。セットプレーでの競り合いでは結構勝ってる荒木だが、やっと枠に入れることができた。DFがこれをやってくれると頼もしい。流れの中で決められない時、これ程有効な手段はないのであった。
 ところが磐田はこのゴールにより意気消沈どころか逆に火をつけてしまった。ボールは取りどころを失いプレスをすれば裏を返され前に運ばれる。そして自陣に戻って守備に徹するもボランチの遠藤がスバっと入れる縦パスはそんな包囲網を簡単に崩してしまう。ゴール前でシュートに向かう。それを人数を掛けて阻止する。更に最後にGK大迫のセーブにより食い止める。そんな守備一辺倒の状況に段々と雲行きの悪さを感じるもハーフタイムの笛によって救われる。これにより後半の立て直しが測れるような気がしていた。
 ところが磐田は後半頭から守備の選手を攻撃の選手へと2枚替えを行った。もはや守備への心配はない。もう少し圧力を高めれば仕留めることができる。そんな自信の表れでもあるかのようだった。
 磐田の攻撃は続きシュートまで持っていかれる。外れてもゴールキックは全部磐田が回収してしまう。クリアしても全員守備に戻ってるが為磐田が回収。もはや磐田にとっては攻撃以外のことを考える必要のない状態となってしまった。ここまで続く守り一辺倒の状態、その内事故のような得点が入りそうだ。そんな場面を昨シーズン何度となく観てしまった。1点を守るにしては長すぎる。そこで重心を後ろに置くのではなく、前を向いた守備をするのだった。剥がされると一気に危機的状況になるも、そこは松本のプレイスバックにより回収に成功する。それによりフリーの森島にボールを預けることができるのだった。
 左にボールを振り東がクロスを入れる。中央で森島が空ぶるも流れたボールにナスが追いつく。そしてこの時相手の接触がありファール。右サイドからのFKを得ることができたのだった。
 再びボールに寄ったのは満田と野津田。ゴール前に集まる両チームの選手。ここで蹴ったのは左足野津田。閃光が走る。ニアに佐々木が入ると頭に当てた。次の瞬間ボールは逆サイドのネットに突き刺さっていたのだった。
 2点目。1点目に続きディフェンダーによる得点。磐田の攻撃の時間が続いていただけにこのゴールは相手に与えるインパクトは大きかった。正直サンフレッチェの攻撃に対しては守れていたという感覚はあっただろう。だけどセットプレーによってそれを突き破ってしまったのだった。
 もうこうなると押せ押せムードである。どんどんと攻撃を仕掛け前掛りになる。磐田のビルドアップもそれに気圧され、GKからの前線へのボールは塩谷に跳ね返されてしまう。そしてそれがフリーの森島の下にこぼれGKと1対1。これを冷静に剥がしてねじ込む。3点目が決まったのだった。
 決まった、決まった、決まった。もはやこの時間で3点差は確実である。そんなダメ押しとも言えるゴールをきっちりと決める森島。これによりもはや勝利は確信的としたスキッベ監督は次々にメンバー交代を行っていくのだった。
 サントス、藤井、棚田、今津、柴崎。棚田や今津など明らかに試合経験を積ます交代だったものの各自アピールすべく動きをする。今津は入ってくるボールを跳ね返し棚田は藤井のクロスを合わせる場面も出した。ただ、サントスだけはGKとの1対1のシーンを作りながらも枠に入れることができなく、シュートが入らないというレッテルは剥がれることがないのだった。
 まだまだチャレンジしたい。そんな気分だっただろう。が、試合はこのまま動かず終了し、前節の敗戦を引きずることなく勝ち点を伸ばすことができたのだった。
 次は首位のマリノス。圧倒的に戦力の差はあるだろう。それでも劣勢の状況を打破して最後には更に得点を積み上げ用途したこの試合、間違いなく勢いは生まれたはずだ。この試合の勝利に酔いしれると共にもうすでに4日後のことを頭に入れなければいけないのだった。


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