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デジタル時代のプロダクトに求められる事

プロダクト開発に終わりはない

戦後から高度成長期にかけて、テクノロジーの進化はとてつもないスピードで起こり、2020年代の今、世の中は便利でモノが溢れる時代になりました。携帯電話一つとっても、通話が主な役割というのは昔の話で、カメラやインターネットが使えるのは当たり前、GPS機能の搭載で子供や高齢者の見守り可能な機種まであります。    

このように、多種多様なニーズや可能性が存在する今、プロダクト開発に終わりはありません。この記事では、家電ファンの私が、身近な「掃除機」を題材に昔と現在で変化したプロダクトに対する考え方や意味合い、「プロダクトに求められること」について考えてみようと思います。  

(なお、掃除機の開発に携わったことはありません。あくまで1ファンとしての個人的な見解です。) 

プロダクトアウト→マーケットイン 

1950年〜1970年代の高度成長期は、「目新しい物を作れば売れる」というプロダクトアウトの時代でした。インスタントヌードルやレトルト食品、回転寿司やコンビニエンスストアが誕生したのもこの時代です。そんな中、特に目まぐるしい発展を遂げたのは家電です。電気炊飯器から始まり、ブラウン管テレビはもちろんのこと、電子レンジや卓上計算機など、たくさんの新しい製品が販売され家電市場は一気に拡大しました。  

しかし、70年代後半以降、市場の飽和化と技術の高度化により、供給過剰で物が売れなくなりました。そして、バブル経済が崩壊した90年代には、「より消費者のニーズ、生活や体験に添った商品開発」が求められるようになりました。「マーケットイン」という発想が生まれたのはこの頃ではないでしょうか。 

ユーザー体験を意識したものづくり 

掃除機の略歴

プロダクトを開発するにあたり、消費者の目先の課題やニーズに注力するだけでは、ユニークな発想や便利な機能を見出すことはできません。90年代には、機密性の高いマンションの住環境に対応するため、2次元の「平面」をきれいにする他に、3次元の「空間」をきれいにする空気清浄機能付きの掃除機が誕生しました。 

開発者は「掃除機の果たすべき枠割=平面をきれいにする」と決めつけず、視野を広げユーザーのライフスタイルと体験を意識しました。ユーザーの属性は何か、どんな環境でどのように掃除機が使われ、その時どんな感情を持つのか、彼らの目線に立った分析が、3次元の空間までもきれいにする、新たな掃除機のイノベーションを生み出したのです。 

モノからコトへ:新たな価値を生み出す

かつての掃除機は、ただ部屋の中を綺麗にするだけの機能的な道具として存在しました。常に人が操作をする必要があり、掃除以外のことは何もできない「モノ」でしか無かったのです。それが2000年代に入ると、家庭用ロボット掃除機が、掃除機を人間の延長線上にある「モノ」から、自由な時間を生み出す「コト」へ転換しました。既にモノ(商品)は買い揃えている消費者に対し、コト(新たな体験)の価値を見出したのです。  

今はロボット掃除機にすぎませんが、未来のルンバはより快適に、掃除を超えた役割を果たすことになるでしょう。Empower people to do more –− つまり、人々のより良い暮らしを後押しする。これはiRobot のミッションでもあり、社員一人ひとりのモチベーションになっています。

iRobot公式サイト

提供者にとって目先の機能(例:掃除機能)ばかりに目がいくと、それ以上の新たな体験や価値の創造はできません。iRobot社が人々のより良い暮らしとは何かを考え続け、新たな価値を追い求め続けているからこそ、掃除機が人の自由な時間を生み出すことができたのではないでしょうか。 

プロダクト = 継続的な価値の創造

掃除機に対するニーズは、ライフスタイルと共に変化しました。その過程で成功した企業は、ユーザーの立場に立って自らのプロダクトやサービスを見つめ、時代とニーズに合った「プロダクト=価値」を提供し続けています。 

デジタル時代においてプロダクト開発に終わりはありません。いま企業に求められているのは、時代に合ったユーザーの本質的なニーズや問題をいち早く捉え、それに対し新しい価値を創造し継続してプロダクトを提供することです。

そのためには、一体何から始めるべきでしょうか?その答えは、カスタマーセントリック「顧客中心思考」アプローチです。この思考法では、「顧客像」や「顧客体験」を徹底的に掘り下げることにより、モノからコトへの発想の転換や価値を意識した未来のプロダクト像を描くことができます。カスタマーセントリックなアプローチについては、またの機会にご紹介したいと思います。

参考資料
掃除機の昔と今。掃除機の昔と今。掃除機の歴史とその変遷を解説!!
日本の住まいは掃除道具を変える
戦後日本のイノベーション100選


事例紹介

伊藤忠テクノソリューションズ:CTC
JRCS株式会社

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