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空研ぎペーパー

 例えば,今日みたいな良い天気の午前中.

 ぼくが竹下通りあたりを笹団子を食べながら歩いていて,街頭インタビューを受けたとしよう.インタビューの主は国営放送でも良いし東京の地方ローカル局でも良い,あ,TVKでも(なんでここだけ名指し・・・)全然構わない.

 インタビューの内容はこうだ.
『あなた,ウクレレを作る時に一番使う工具はなに??』

 よくある,そこらじゅうに転がっているようなありふれたインタビューだが,今時の若い子ならカッコをつけて「あ〜,ニールセンの鉋ですかね・・・」とか「おじいちゃんの代から引き継いでる繰りコです」とか言うのだろうが,僕は違う.

「空研ぎペーパー・・・」と,小声で言ってそのまま立ち去るはずだ.

 でね,この空研ぎペーパーむちゃくちゃ使う.木を切っては空研ぎペーパー,接着前に空研ぎペーパー,接着後にも空研ぎペーパー,塗装の前に空研ぎペーパー,塗装が乾けば空研ぎペーパー,小腹が空いたら空研ぎペーパー,コーヒーと空研ぎペーパー,部屋と空研ぎペーパーと私・・・もう,作業の半分以上は空研ぎペーパーで成り立っている,普通の紙やすりとは全く違う.こればっかりは試してもらわないと説明できない・・・茶色い紙やすりを「チキンナゲット」だとすると,空研ぎペーパーは「一鶴のおやどり」だ.そのくらい違う.
 なので,在庫の補充はだいたいがまとめ買い.しかし,これまであまりメーカーは気にしていなかったのだ.

 ・・・が,
前回,取り寄せた10枚.初めてのブランドだったのだが,使っていると寿命が短い.あっというまにヘタってしまう.ヘタった空研ぎペーパー(特に100均等で売られているような中途半端なもの)は実は危険だ.それはヤスリの粒がペーパーから離れて,不注意に磨くと材に深い傷をつけてしまうからで,ちょっとした刃物で傷をつけたぐらいの破壊力はある.
 このヘタレペーパーはいちおう,メーカー品なのでヘタっても粗い粒が暴れるような悪さはしないのだが,ひたすらマイルドになっていく.基本,荒削り・整形の用途で使うことが一番多いので番手は120番というザッラザラのものだが,あっという間にやさしいやさしい絹のような肌触りになってしまう・・・

 そこで我慢できず,在庫がまだ残っているにも関わらず次のを購入した.今度はブランドにも気を配って,前に使っていた三共理化学のペーパーだ.裏がブルーで富士山的なロゴが目印.

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 上の白っぽいのが三共理化学のしっかり使える空研ぎペーパー,下のザラッとして見えるのが某メーカーのマイルドな「羊の皮をかぶったハムスター」ペーパー,
 3擦りもするとダメになる,まるで中学生だな(笑)

 さてこれで,作業も捗るかな・・・

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