見出し画像

Timberlandがアジアで成長するためのO2Oマーケティング戦略

この記事はハーバード・ビジネス・レビューによる記事から改作したものです。

画像1

左から:Cate Xie(SkyRECの共同創始者).Yuki Huang(Timberlandのゼネラルマネージャー).Ed Wang(91APPの営業担当)

月曜日の午後、台北の真夏はいつも蒸し暑く、繁華街の西門町(シーメンディン)で買い物の客も少なく見えた。曇り空を仰ぎながら、Timberlandの台湾ゼネラルマネージャーYuki Huangが店舗の前で「もし雨が降ったら、入店者数や店前通行量も少なくなるんでしょう」と推測した。

ネットショップの繁榮と消費者マインド悪化の影響を受け、近年Timberlandが直面している一番大きな挑戦は、いかにオンラインショップのビジネスを展開しながら、客を実店舗へ誘導し、購買を促すことだ

実は、Timberlandのような台湾に100、中国に500超えの店舗を構える企業にとって、もし実店舗の売上が減少したら、オンラインショップの売上がいくら成長しても、その穴は埋められないのだ。

O2Oマーケティングが進む中、変化の激しい業界でビジネス機会を掴むために、Timberlandにとって、これから新しい営業戦略に取り組む必要がある。

・・・

画像2

中国の旧正月に地元の売上高を増加するための一線都市に出店したポップアップ・ストア

実店舗の運営を確保するには、二つのポイントがあると考えられる。一つは、顧客を引き付けることだ。Timberlandは会員制を中心に販売を促進するので、会員制からの売上は全体売上の九割に達している。そのため、もしO2Oの環境を整えるなら、まず顧客に納得してもらわないとならない。もう一つは、実店舗のスタッフに動機を与えることだ。一部の店舗スタッフは実店舗の業績を確保しようとする傾向があるので、客をオンラインショップへ誘導する動機がほとんどない。どうのように実店舗のスタッフに動機を与えるのは、真剣に取り組む必要がある。

「一言で言うと、既存の店舗運営に支障が出ないように、O2Oの『オンラインからオフラインまで』という環境を整えるべきです」と、Yuki Huangは指摘した。

理想的な過程というと、顧客が興味のある商品を購入しなかった場合、ディスカウントキャンペーンを開催する際に商品のお知らせを発信する、或いはオンラインで関心を持たれた商品を把握し、コーディネーションのアドバイスを発信することで、顧客の購買意欲を刺激する。つまり、オンラインとオフラインの情報を収集し、融合させることだ。

・・・

去年、Yuki Huangは91APP、SkyRECと連携した。91APPはデータ分析やコンサルティングサービスを提供し、その一方、SkyRECはAiMSというAI技術を利用した映像解析システムを提供し、映像解析やAI技術の活用から人の行動を分析する。

画像3

SkyREC AiMS によるobject-focused(オブジェクトフォーカス)テクノロジーが店舗運営を最適化するための消費者行動を明らかにする

実店舗でデータを収集するのは複雑な作業で、順調に進めるために特別な技術が必要だ。特に人間や生物の行動に関するデータや情報は、さらに複雑である。SkyRECのAiMSはディープラーニング(深層学習)により、様々なソースから得た情報や経験を結合.活用することで、アクセサリー、服装や動作で高精度な検知を実施し、特定の人を分析することができる。

顧客が Timberlandの店舗に入ってから、どの商品を触れたのか、どこに目線を置いたのか、どこでどのぐらい滞在したのか、天井に設置したカメラから顧客のすべての行動が分析できるようになった。

画像4

顧商品への関与度は、マーケティング戦略を最適化するための重要な指標

object-focused(オブジェクトフォーカス)テクノロジーにより、AiMSは特定の人物や車両を即座に抽出できる。その技術は様々な業務で活用され、効率化の実現に貢献する。例えば、エリアマネージャーが一日をかけて複数の店舗や支店を巡回し運営管理を行い、サポートをするような作業は、AiMSを活用すれば、本来時間のかかるプロセスを数分間に短縮することができる。

それだけでなく、SkyRECのAiMSから取得したデータは営業課題の解決にも直結している。例えば、 Timberlandのある店舗はカウンターを真ん中に設置してあるため、お客様はいつもお店の後半エリアに行こうとしないことをAiMSの映像解析でわかるようになった。

「そこで、『X%OFF』と書いてあるすごく大きなポスターを貼ってから、お客様は後ろの方に行ってくれるようになりました。」とYuki Huangが言った。もしデータがなければ、お客様は店舗の後半の方に行かないという情報にも気付いていなかったのだろう。

・・・

データ分析こそはテクノロジーツールの最も重要なメリット。SkyRECの共同創設者Cate Xieにより、データは時々業界に新たな常識を構築されることもあるそうだ。

たとえば、小売業において、顧客数が増えれば増えるほど、売上が伸びると信じられてきたが、しかしSkyRECのある取引先の映像分析データにより、実に店内の顧客数がある程度に超えたら、売上が変えて減少することがある。このようなデータにより、企業はそれなりに応じて行動し、正しい策を打つことができます。

オンラインとオフラインの統合度が高ければ高いほど、売上の成長が加速する。Yuki Huangは「30%成長することもある」と言った。現在、Yuki Huangは消費者を実店舗へ誘導し、会員の購入頻度を上げるという戦略で、オンラインとオフラインの融合を目指している。低迷が続いていた小売業界の衰勢から抜け出し、これからのYuki Huangも新たな道を切り開いていくのだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?