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なろう小説は二郎系ラーメンである〜いかに美味しそうなトッピングを提供するか〜

何を言ってるんだと思ったと思います。
でも聞いて下さい。
多分読み終えたらスッキリすると思います。

良い小説ってどんなものだと考えますか?

ストーリーがいい? 泣ける? 笑える? 熱くなれる?
キャラがいい? かっこいい? 可愛い? 面白い?
文章の読みやすさ? 難しい言葉をわかりやすくしている? 読みやすい構造?
圧倒的な考察の楽しさ? 情報量? ドキドキ感?

考えれば考えるほど、「良い小説」の定義ってバラバラです。
要するに「良い小説」って「その人にとって良い小説」ということです。

小説の中でもライトノベルというジャンルがあります。
ここで多少、「良い小説」から「良いライトノベル」という絞り込みができます。

例えるなら

小説が料理全般で
ライトノベルはラーメン

くらいの感覚です。

ここでタイトルの意味に戻ってくるんですが、
なろう系ってもうラーメンの中でも系統が絞られてるんですよね。
あっさりとかこってりとか、塩とかしょうゆとか、そういうレベルじゃなく、
私はなろうで成功する作品は「二郎系ラーメン」くらいの絞り込みがされていると思っています。

要するになろうで成功するためには「二郎系ラーメン」を出すのが一番いい。
だって読者はそれを食べに来てるから。

二郎食いたいと思ってきた人に
「究極のあっさり塩ラーメンができたんですよ! 食ったら絶対美味い! 一口だけでも!」っておすすめしても隣の別の店に行きます。
それが本当にめちゃくちゃ美味しかったとしても、です。

もし店主がめちゃくちゃ有名なシェフです! とか
お店がミシュランに選ばれました! とかなら
話は変わりますが……。

じゃあ二郎系ってなんなの? って話をしていかないといけないです。
必須項目みたいなものがあります。

量は多い。
味はこってり。
ニンニクトッピングを聞く。
野菜は積み上げるように盛る。
などなど。

そこを外したらもう二郎じゃねえよ! って要素を外したら、
それだけで客は寄り付かなくなります。

「でもそんなことしてたらどの店も同じようなことになるんじゃないの?」
って思う。
これに対する答えの一つは、

・客が多いんだから同じような店を出して満足させろ!

という話があります。
でもやっぱり創作してる以上差別化ポイントやオリジナリティってのは大事ですよね。
じゃあどこでそれを出すか。

答えはトッピングです。

「え? トッピングしか変えないの?」
と思った方、
差別化のために「麺を極細にしました!」とかやったら爆死するだろうなというのはなんとなくわかりますよね?
それが小説になると意外と上記と似たような状況に陥るケースをよく見ます。

工夫するポイント、オリジナリティを出すポイントを見誤ると難易度が跳ね上がるというのを意識すると良いと思います。

これが「うちは女性客のために量を絞ったけど味だけは絶対二郎の客を満足させるもんだよ!」とか、「その分米を後で入れるんだよ! うまいぞ!」とか
そのレベルでやるならギャンブルになるのかな? とか思いますが、
まあどのみち難しいんですよね。

勝つために、ということで言うなら
最初に戻って、トッピングを工夫しよう、という話になります。

なろうで最初に追放ざまぁをはやらせた作品は、
もしかすると「ニンニク乗せたらうまいじゃん」って気付いたのかもしれないです
そういう必須レベルのトッピングが当たればそれだけで爆発します。

とはいえもういまのなろうは先人たちの努力の結晶といっていい状況なので、
良さそうなトッピングは出尽くしてる感もある。

でもまだもしかしたら「チーズのせたら美味い」みたいなことに気付いてないかもしれない。
「キムチならいける」とか
「チーズ焼いてみたらどう?」とか
「チャーシュー一枚煮卵に交換できると良いのでは?」とか

そういう工夫が、いまなろうで求められるオリジナリティかなと思います。

私はテイマー→ネクロマンサーというトッピングを当てました
あとの要素はいまのなろうに求められるベースをなるべく崩さないように作ってます。

あともう一つ、このトッピングは「食ったら美味い」ではなく、「食わなくてもうまそう」を目指さないとだめです。
なぜか。
うまそうな店は隣近所に山ほどあるんです。
実際に食う前に「これならいけそうだ」と思わせないと、店にも入ってきてくれません。

となると必要なのは
・どんなトッピングが当たりそうか
という話になります。

それを知るためには、
これまでお客さんが「どんなトッピングを好んできたのか」を知っておく必要があります。

過去のヒット作の分析です。
とはいえ移り変わりも激しいですので、
「今何が流行っているか」は必ずチェックするくらいが妥当な範囲になると思います。

ニンニクが美味いって言われてるならちょっと形にてるししょうが言ってみる?とか
同じ根っこ系だし玉ねぎは?とか

そういう方向に広げていくと見える部分もあるかも知れません。

あとはそもそも人間がいつどうやって感情を動かされるかって、
昔も今も変わらないものです。
そういう普遍的な部分は知っておくと便利だと思います。

私は自分の感情が動いた時に「なぜそうなったか」を掘り下げてますが、
たとえば「感動する」ときは「認められる」シーンだ、と分解してたり、
「笑いがおきる」ときは「ギャップがある」とき、と分解しています。

それに加えて
なぜいま「なろう系小説」(「二郎系ラーメン」)が流行ってるのかを分析するのも重要です。

量が多いのが流行ってるってことはおなかすいてるのか?
とかでも良いです。

追放ざまぁが流行った背景は対象ターゲットの年齢層等から分析できます(過去記事参照)
ということはコロナで生活様式が変わっていく今もっとこういうのが求められるのでは?
みたいな分析もできるんじゃないかなあとは思います。

でも最初に言ったように、
範囲を広げると難しいです。

特にコロナで変わったから、レベルって、
二郎系ラーメンからイタリアンにシフトチェンジ、みたいなことにも繋がりかねないので難易度がめちゃくちゃ高い。

私は書籍化がしたい! という思いが強かったし、
お手伝いするときにもそこに特化して追いかけています。

その場合、工夫するべきポイントは「トッピング」です。
そこに絞って考えを掘り下げることで、
もしかすると意外とそれが「二郎系ラーメン」(「なろう系小説」)のあり方自体をかえることに繋がるかもしれません。

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