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あまりにも今更すぎる「殺戮の天使」の感想

殺戮の天使、という作品が素晴らしすぎた話


 本当に、ほんっっとうに今更ながら、殺戮の天使というゲーム、そして漫画にドハマリしてしまいました。これだけの感動はOneshot以来でしたね……

一応「殺戮の天使」という作品について、軽い紹介をば

 すでに知っているよーという方は読み飛ばして頂いて全く構いません。
 殺戮の天使は、原作者:真田まことさんが作られた、当時連載形式で作られていたフリーゲーム……らしいです。いや、私は当時を知らないのでなんとも言えないのです。
 それが、当時結構流行ったらしく、漫画やら小説やらアニメやらに展開していったみたいです。私が出会ったのは漫画からでしたね。もちろんゲームは履修済みです。

 と、いうことで私的な考察? 的なものも交えつつ、良さを語っていこうかと思います。今更何を、なんてのは分かってるんです、でも言わないと気がすまないんです😇
 あ、ネタバレはしっかり予告してからするので、安心して下さい。
 でもまだ中身知らないよ、という人はネタバレ部分は絶対に、ぜーーったいに見ないでくださいね!??!

なぜ今更なのか、出会いと見始めの時の感想

 はじめは、とある無料の漫画アプリにて、「なんかおもろそうやん」的な軽いノリで見始めたものでした。まあなので、今更知ってしまったわけです。そもそも、そのときは昔の作品だと知らずに見ていて「この作品、好きだな」となった時点で調べてみたら、昔の作品だった、という感じでした。
 さて、内容に話を戻しますと、もう序盤からなんだか面白い。

 最初はなんだか無口の金髪碧眼ロングヘアーな少女(かわいい)が見知らぬ地下と思われる場所で起き、何やらいろんなことをしているシーンから。詳細は端折るのでキミの目で確かめるんだ! ちなみに無口のロングヘアーは筆者の性癖でもあります。白髪、銀髪だったらもっとy
 ここからすでにおかしな雰囲気が漂っています。そもそも、場所が意味わかりません。少女は目の前で人が死ぬところを見たらしく、どうやらそれのカウンセリングのためにここに来たようです。
 しかし、それを言う目もなんだかおかしい。ただ怖がっているだけではないような……
 
そして少女の名前、年齢も判明。名前はレイチェル・ガードナー(以下レイ)。年齢は13。なんだかあまりにも低いですね。

 そこからなんやかんや、意味深な書き置き的なサムシングを見つつ、進んでいくと、何やらレイは生贄になるらしい。ここは複数のフロアがある「ゲーム」のようなもので、フロアにいる殺人鬼から逃げろ。ということらしく、レイが殺人鬼から逃げる物語なのかな? というのが最初の印象でした。
 そして、先に進むとエレベーターがあったんですが、そこにはなぜか上の階へのボタンしかありませんでした。ここでレイは気づきます。「ここは私の知ってる病院じゃない」と。

 こんな奇妙なところにカウンセリングを受けに来るのも相当奇妙な話ですよね……

 と、まあエレベーターしか道がないので、上のフロア。B6にレイは着きました。

 そして少し飛ばして、最初のフロアにて邂逅した殺人鬼は、何故かここにいる怪我した小鳥を、レイが助けようとしたしたところで、その手に持つ大きな鎌で小鳥をぶっ殺しつつ、登場しました。
 彼は「ヒャハハハハ! お前、今満ちた顔をしていたなぁ……! でも今は絶望だ……! 三秒待ってやる、その間に逃げなぁ!?」と言い、レイは一目散に逃げます。と、ここでは普通に逃げ切れました。
 まあ見るからにやばいやつです。でも、あらすじには彼が仲間になるようなことが書かれていました……え、ここからどうなるの?
 
 ……さて、何やらレイのおかしなところがさらに見えてきます。
 先程殺された小鳥のもとに戻るレイ。それを見て悲しんだ後……「いや、違う。こんなのは私の知ってる鳥じゃない、私の知ってる鳥に、直してあげる」と言うわけです。いやー怖いですね……
 もうここらへんで虜になりつつありますよ。「一体何があるんだ」と。
 私のような実力のない作家(筆者は裏で小説を書いてたり、なかったり)だと、意味深な感じにしても、意味がなかったり、意味があるのかどうか怪しかったりしてしまうんですが、それがちゃんとわかりやすくとして存在しています。

 さて、今回は内容の解説ではなく、感想がメインなので大きくはしょります。先程のフロアの殺人鬼から逃れ、次のフロアです。レイのカウンセリングの先生らしい人、「ダニー先生」が出てきます。まあでも初っ端からヘンな雰囲気です。レイもカウンセリングの先生「だったような気がする」程度の認識です。
 さて、まあ結局彼は敵で、このフロアの主でした。
 その先生はレイの目にご執心の様子。
 とにかく目、目と目を求めたがり、レイの目は普通の目になってしまった、といい、とある言葉をレイにかけます。

 すると、レイは先程までしていた抵抗をやめ、目からは光が消えます。(ここの内容は相当はしょっていますので、内容を知らないという方は、作品自身の目でご覧になってみてください。このシーンはどの媒体でも面白いですよ!)
 一体、何を思い出したんでしょうか。
 ダニー先生はその「目」で満足らしく、恍惚とした表情でキミの目はやっぱり最高だ、と言うんですが……なんと、そこで現れるは前フロアの殺人鬼。ダニーが嬉しそうな声を出すから、という意味不明な理由でダニー先生を斬ってしまいます。それぞれのフロアの主は、そこのフロアからは出られない、というルールがあったんですよね。なのでちょっとおかしいです。
 続けてレイも標的にしようとしますが、レイは全く動かない。
 その様子に不満だって、興味をなくしたようです。
 するとアナウンスが流れます、するとルールを破ったことにより、どうやら殺人鬼も生贄にされてしまった様子。ルールはちゃんと意味があったようですね。

 それを聞いた殺人鬼は、不機嫌そうに去っていきました。

 そして次のシーン。殺人鬼に追いついたらしいレイは、とあるお願いをします。

 「お願いがあるの。お願い――私を、殺して」

 さぁ、ここであらすじの回収です。一体さっきダニー先生の何かを言われた、その後の小さな間に、何が会ったのか。気になってしょうがありません。そして喜んで殺す、といいそうな殺人鬼も……
 なんといきなり吐いてしまいます。どうやら、喜んでいるやつを見ると殺してしまうだけで、死にたがりを殺す趣味はないようです。どういうこっちゃ

 まあ真面目に感想を言うと軽いネタバレになってしまうので言いませんが、ちゃんとこれも理由がある程度はあるのであしからず。
 納得はできないかもしれませんが……

 そして、殺人鬼の名前も判明。彼はただザック、とだけ名乗りました。

 ここから織りなすのは、誰かに殺されたがる少女レイと快楽殺人鬼ザックの不思議な協力関係。レイは殺してもらうために、ザックはここから出るために、双方にメリットのある協力です。
 そしてここで大事なのが、「自殺はいけない」ということ。なぜいけないのか、この時点では明かされないので、省いておきます。

 さて、序盤はこんなもんですね。ダニーのあたりは多少ネタバレ気味ですが、重要な部分は伏せてあるので、内容知らないよ、という方も今見てもお楽しみ頂けるかと思います。
 まだ見てない人は今すぐピッコマやらなんやらでもいいから見るんだ!

以下、ネタバレもりもりの感想

さて、序盤感想が思ったより長くなってしまったんですが、ここからはネタバレもりもりの感想です。お気をつけて下さい。

ネタバレ回避用改行





ネタバレ回避用改行終わり

 軽い考察

 ここからはじゃんじゃんネタバレしていきますよ。
 ……と言っても、私は「分析」はまあまあしていると思っているのですが、あまり「考察」そのものは得意ではないのであしからず。

 なので一つだけ。B1フロア、レイのことです。
 仲間だったはずのレイが、おかしな様子を見せながら、ザックを殺そうとするシーン。なぜレイは、こんな行動を撮ったのでしょうか。
 ダニー先生にそそのかされたから、だけだと少し弱い気がします。 
 ということで、作者の真田まことさんの言葉を引用します。

 あのシーンのレイは、13歳の少女からすればキャパオーバーだったのかもしれません。

 なるほど、と思いました。いや、そりゃまあそうですよね。なんなら、親が殺し殺されをしている時点でキャパオーバーもいいとこです。
 ですからそこをダニー先生のそそのかされ、もう分かんなくなって、自分の思うままに、ザックを自分のものにしようとしたんでしょう。
 それでも明確に殺そうとしなかったのは、彼女が心の底ではザックにああやってどうしようもない自分を許してほしいと思っていたからなのか、そんなこと望んでいなかったからなのか……とまあ、ここの深いところの心情は色々あるかと思われます。

 あ、あと彼女が無感情なのは、親周りの事件が強烈過ぎて、その湧き上がる感情を押さえつけないと、壊れてしまっていたからなんでしょうね。いや壊れてしまうじゃなくてすでに壊れてるだろとか言わない。
 ですが、その上でまだ真面目でいられる人格と、罪だと分かっていても、どこがどう罪なのか分からない、そこを自覚できている時点でレイは超超超すごいわけです。普通の人なら、他のフロアの人間のように殺人鬼になるのが普通ですから。
 まあレイ含むフロアの住民は、ダニー先生を除いて、先天的に狂っていた部分はあるわけですから、普通の人ではないかもしれませんが。作者様がそう言っていました。

 ということで、考察的なサムシングが終わりました。
 それでは、次のお話へ。

ストーリー上の「美しさ」

さて、本作、何回も言いますが本当に良いんですよね。なにが良いって、ここまでダークな作品なのに、バッドエンドにはならない上に、果てしなく美しく、綺麗なんです。
 ……いや、見方によってはバッドエンドなんですが、彼らにとっては当然ハッピーエンドですし、彼らは「それバッドエンドやで」と言われても「あなたにそれを決めることはできない」なーんて返答が帰ってきたりするでしょう。
 つまり、おかしな最期であることは自覚しつつ、それでも彼らなりの最良を選んだエンドなわけです、あれは。

 さらに、本当に綺麗すぎるんですよね。穢れた二人、汚れた誓い。なのに時を重ねるごとにどんどん純粋になっていくんです。それも穢れたままで。
 最終的には自分とレイをまとめて二人ともザックが殺すエンドなわけですが、彼らにはあれしかないわけです。

 純粋でありながら許されない罪を犯したザック、許されるわけがありません。それでも、レイに人間だ、と言われ、レイと誓いました。
 許されない罪を背負うレイ。それが何が悪いのかも理解できずに。神に縋りましたが、その神も存在しない。誰にも許されません。最後では、許されようとするのもやめました。であれば、死ぬことでしか精算できない罪。周りも、理解者など誰ひとり居ません。
 そんな中、ザックとした誓い、約束。最後のシーンにて再度、対等な関係で、ただ交わされた、確定されたものではない約束。
 最初の口約束とは違います。

 それを果たすため、誰にも許されないから、二人の世界のまま、二人の世界だけは綺麗なまま、二人は、あの夜空へ羽ばたいていったわけです。
 汚れているはずなのに、あまりにも綺麗で美しく、そして儚い。
 ……いやー、本当に美しい。なんだかこういうことを言うと創作物に出て
くるサイコキャラみたいで嫌ですね。

 構成上の「美しさ」

 とまあここまではストーリー上の美しさ。
 実は、殺戮の天使には、構成上の美しさも備わっているんです。
 だって、最初の殺して、という誓いが最期まで守られているんです。
 ああいうのって、基本更生したりするもんですが、これはそれがありません。しかも、更生できない理由があり、更生しないのが一番美しい、という完璧さです。もう感嘆するしかありません。

 それに加え、最初は偽物の青い月をレイがメインのシーンで描写し、それを最後に、本物の青い月を描写してくるのがエモエモのエモ過ぎます。今まで何回も見てきた、しかし最後のそれだけは本物。
 今まで積み上げてきたものでしっかりとプレイヤー、読者の感情をブン殴ってくる感じ、堪りません。
 こういった一貫している要素があり、それに加え、ザックの純粋さがこの作品の果てしない美しさを出しているのかもしれませんね。

 さらに、キャラクター。神父の最期の言葉、「もとより、ここには人しかおらぬのかもしれんな」これ、割と真理だと思います。化け物に見えますし、全員間違いなく狂っています。でも、狂うのは、人間だからこそ狂ってしまうんです。良いも悪いも全て人間なわけですね。
 しかも死にたいレイと、殺人鬼のザック、この組み合わせももう最強ですよね。凸凹コンビは見せ方が上手ければ相当化けます。

 そして、個々の設定も秀逸です。親から望まれなく、親同士が殺し合ったレイ。本当の「家族」が欲しくなるのも当然で、ああなるのも当然でしょう。
 ザックは親ではなく、ひどい孤児院の主にあれだけ酷いことをされ、純粋であったがゆえに、全員殺して、自由を手に入れようとした。
 他のメンバーにも色々ありますが……ともかく、全員、ちゃんとおかしくなってしまった理由が、納得のいく(少なくとも筆者は納得しました)形であるんですよ。これだけ深い人間を作れるのは本当に凄い。

 でさらにさらに、展開。
 最初はただの利害関係だったはずの二人、次第に、対等な友人になっていきます。その形は我々から見れば歪なものですが、彼らにとっては友人以上、であったかもしれません。
 最初はただ殺されたいだったレイ、それがザックに殺される、にいつの間にか変わっていた秀逸さこれ、注視しないと私も気づきませんでした。
 あまりにも綺麗なグラデーションなんですよね。かつ上げるところは一気に上げ、謎も序盤から終盤まで、適度に散りばめる。もう先が気になってしょうがありませんでした。ピッコマで見つけた作品をここまで私が追うのは、相当珍しいですよ。

 終わりに

 さて、こんな今更すぎる感想を最後まで見ていただいて、同じ殺戮の天使大好きマンとして非常に嬉しい限りです。勝手に仲間にしていくスタイル。

 いや、もういいよね……いい……

 これしか言えません。今までで一番好きなゲームはなんですか、と聞かれれば今までは「一番はOneshot、次点でOuterwildsかな」と答えていましたが、今はもう一番は殺戮の天使ですかね。Oneshotとは相当迷いますが、殺戮の天使のほうが上かもしれません……

 あ、一番の漫画は間違いなく殺戮の天使になりました。ありがとうございます。

 なんだかまだ語りきれていないことが沢山あるような気がしますが、一旦ここで感想は終わり、ということで、ご覧いただきありがとうございました。
 実は既に何度も加筆修正していたり。

 自分語り

 と、最後に少し自分語りをば。
 本当にどうでもいいと感じる内容かもしれませんので、ここから先は自分語り以外あまりしていいないので、ここで読むのをやめても構いません。
 まあどこの誰とも知らない海苔の話なんてあまり聞くには値しませんでしょうからね。

 さて、私は今更殺戮の天使を好きになってしまったわけで、もう少し早く会いたかった、という言葉が頭をよぎったこともあったのですが、すぐに否定しました。なぜなら、恐らくこの作品に合うのは今このタイミングが自分にとって最適で、完璧だったから、です。
 恐らく、昔の自分であればこの作品の良さをあまり見いだせていなかったでしょうし、得るものもありませんでした……

 はい、実は私、この作品からあるものを頂いております。
 それは創作意欲、と方向性、でして、この作品のおかげでかなり自分の中でまとまりが付きました。私は趣味で小説を書いておりまして。それの意欲ですね。まあ~これだけ素晴らしい作品を見つけてしまっては、モチベも爆上がりしちゃいます。

 といっても私は明るくてワイワイしてるのも大好きなので、普通の作品や、明るい作品も作る予定ですが、こういった闇も内包して、その上で美しさを描く作品こそが私が本当に胸打たれるものなんだな、と自覚できました。

 それにかねてより私が掲げていた(?)ものである「世界はもっと美しい」という目標がさらに明確になりました……

 え? 意味がわからない?
 いきなり何大層なことほざいてんだって?

 ……まあ説明しますと、世界はもっと美しい、というのはですね、皆さん意外と世界が汚くて、世界のことが嫌いみたいだな、と感じているからです。少し曖昧な表現ではありますが、要するに皆さん絶望していらっしゃるわけです。
 当然今の情勢は落ち気味ですし、それの影響で各個人、家庭も荒れています。正直言って、未来に希望が持てないのは当然だと思います。

 そして私は世界の闇は結構知っているつもりですが、世界はとても綺麗だと思っています。そもそも、闇がなければ光の美しさは感じられませんから。
 ということで「世界の美しさを伝えたい」わけです。 
 詳細まで上手く伝えられた気はしませんが、まあこんなだいたい感じ、程度の認識で大丈夫です。先程も言いましたが、ただの海苔の妄言ですのであまり気になさらなくて大丈夫です。

 で、なぜこんな暗い作品で明確になったかと言えば、この作品は世界こそ汚いものとして描かれていますが、その中で描かれるザックとレイ、二人の世界は狂おしいほど美しいからですね。必ずしも、世界全体が綺麗である必要はないんだ、と知りました。
 それと、こちらは単に実力的な部分ですが、構成の美しさも大事だな、という部分も知りました。

 ……まあすごい大層なことを言いながら、私の原動力は「創作するのが楽しい」という単純な話ですので、先程の目標はサブ目標だったりします。本当の目標は楽しむこと、ですかね。

 まあ、これからもぼちぼち頑張っていきましょうかね。

 と、言うことで自分語りも終わり、本当に最後です。最後まで御覧いただき本当にありがとうございます。

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