見出し画像

特許事務所で独自の期限管理システム開発はアリ?ナシ?

いきなりですが、結論です。
特許事務所で独自の期限管理システム開発は・・・

アリです!大いにアリだと思います。

私は数年前まで都内にある50人規模の特許事務所に16年間勤務していました。その16年間のうちの最後の3~4年間は、その事務所独自の期限管理システム(以下「独自システム」と呼びます)の開発を担当していました。

現在は独立し、FileMaker®というアプリを使った特許事務所専用の期限管理システムの開発・販売会社を運営しています。

さて、独自システムを開発したのには様々な経緯がありました。


既成の期限管理システムの使い難さ

勤務していた事務所は外国案件を多く扱っていて、時には30ヶ国に展開することもありました。

米国、欧州、中国、韓国など、必ずと言っていいほど出願する国は既成の期限管理システム(以下、「既成システム」と呼びます)でもそれぞれの法制度を網羅していますが、あまり出願することがない国の場合は、所内で入力ルールを決めるなどして対応しなければいけません。

たった一つそのような国があった時でも、システム会社にすぐさま機能修正や追加をしてもらうことはできませんでした。
その点、独自システムの場合は簡単に機能修正、追加することができます。

事務所や顧客独自の作業ルールへの対応

特許事務所だけでなく、どの企業にも独自の作業ルールはあるものです。
私が勤務していた事務所でも(国内出願/外国出願など)グループごと、担当者ごとで様々な作業ルールがありました。
例えば、PCT国際出願は外国出願グループではなく、国内出願グループで対応する、などです。

既成システムでは、独自の作業ルールにうまく対応することができない場合があります。

例えば、システムから期限リストを出力する時、表示したくない案件を簡単に非表示にはできない(外国出願グループで出力する期限リストに、PCT国際出願分は非表示にしたい)など。
私が勤務していた事務所では、リストはエクセルに出力し、エクセル上で加工(PCT国際出願分を削除)して使用していました。

また、顧客からの要望で、送付状や請求書への記載事項を指定される場合も多々あります。

既成システムでは入力するフィールドがないため、使っていないフィールドに入力したり、備考欄に入力しておいたりし、送付状や請求書を作成するたびに備考欄からコピペすることで対応していました。
そのため、「〇〇の情報は、△△フィールドに入力すること」といった面倒な入力ルールが必要となります(周知徹底も)。

独自システムの場合は、簡単に入力フィールドを追加することができますので、面倒な入力ルールは不要になります。

システム会社の倒産

上記のようなことから、勤務先の特許事務所では独自システムを作ってしまおう、という流れになっていたところ、偶然にも(?)システム会社が倒産したというニュースが舞い込んできました。
長年使ってきた既成システムでしたので本当にビックリしましたが、そんなこともあるのかと思うと独自システム開発に取り掛かっていて本当に良かったと思いました。

まとめ

既成システムが悪いということではありません。

ただ、自分の事務所のやり方、顧客対応など多様化している業務管理をスムーズに行うために、自分達が使いやすいシステムを開発するのは
大いにアリ!
かと思います。
システム会社が倒産したら・・・という不安をかかえることもありません。