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来年2024年は建設業の大改革元年!!

2024年に建設業で残業上限規制がスタートすることは、すでに多くの方が認識されていることです。しかし、2024年はそれだけではなく、建設業で様々な改革が行われる年になると予想しています。

2023年9月19日、国土交通省よりある報道発表が行われました。適切に建設工事が行われる環境づくりのために必要な実効性のある対策を具体化するため、2023年5月から5回に渡り審議を続けた中間とりまとめが公表されました。

大きくわけて3つの内容に分けられており、本記事では内容を説明いたします。


1.請負契約の透明化による適切なリスク分担

中間とりまとめの中では、適切なリスク分担の施策として、以下3つを掲げています。

  1. 契約における情報の非対称性の解消

  2. 価格変動等への対応の契約上での明確化

  3. 当事者間のコミュニケーションと請負契約の適正化

従来、発注者が請負代金の中に含まれる予備的経費等の内容を詳細に把握することが困難でした。その代わり、工事期間中に発生する問題への対応や建材価格変動などのリスクを受注者が引き受けるという形でWinWinな関係を保つのが通例でした。中間とりまとめにおいては、この受注者がリスクに関する部分を受け持つ状況を「非対称性」であると表現しています。

発注者は、工事費の変動可能性や変動幅を考慮した上で、契約前に事業の経済合理性を検証し、投資判断をする必要があります。また、契約を終えている段階では、資金調達先や地権者等との調整を終えている場合が多いことから、建設工事の実施段階で、事後的な請負代金の変更を受け入れることは容易ではありません。

しかし、受注者は、見積り及び契約の際、建材価格変動などを予備的経費として織り込んで価格設定を行いますが、受注に関する競争を考慮すると、急激な建材価格高騰を吸収するような価格設定を行うことは困難です。設計施工一貫方式のように、設計・数量が確定する前の段階から受注者が業務を開始するような場合も、契約当初からの変更確率がきわめて高く、リスク管理が契約上不透明な事例があります。

現行の建築業法においては、契約締結後に設計変更等が生じた場合には、請負代金や工期の設定について必要な契約変更を行うことを想定しており、これらに関する規定の遵守が求められます。

建設工事において、適切なリスク分担がなされない場合、契約当事者のみならず、その下請業者等を含めた建設生産システム全体に経営悪化や不良工事の発生といった悪影響が及びおそれがあります。

これらを解消するためには、「取引事業者全体のパートナーシップの構築」という観点から3つの施策を制度的に担保することが必要であると中間とりまとめには記載されています。
これには、所管行政庁が各施策を徹底させていくための仕組み作りを構築することも含まれています。

中間とりまとめでは、具体的な実施施策には以下のようなものがあげられていました。

  1. 契約における情報の非対称性の解消
    ・受注者から発注者へのリスク情報提供の義務化
    ・請負契約に予備的経費等に関する事項明記
    ・オープンブック・コストプラスフィー方式の標準請負契約約款の制定

  2. 価格変動等への対応の契約上での明確化
    ・請負代金の変更について規定された民間工事標準約款の利用促進
    ・価格変動に伴う請負代金の変更状況を契約に含める

  3. 当事者間のコミュニケーションと請負契約の適正化
    ・不当に低い請負代金での契約締結を国土交通大臣等の勧告対象にする(民間事業者含む)
    ・不適切な契約是正のため許可行政庁の組織体制を整備

※オープンブックとは
発注者に対して、全てのコストに関わる情報を開示して、その内容について発注者または第三者が精査する方式

※コストプラスフィーとは
実費精算契約のことで、原価と利益等を開示する契約方式です

2.適切な労務費等の確保や賃金行き渡りの担保

建設業において、公共・民間で労務費に差が生まれる傾向がある一方、コスト削減施策として、建材ではなく、労務費が削減されやすい状況にあります。こうした事態が生じる背景には、受注産業である建設業において、労務費等を適切に確保した企業が競走上不利な状況に置かれやすいことによるものです。

結果として、サプライチェーンの末端では適正な賃金の原資が確保できない恐れがあり、技能労働者の賃金を能力や経験が反映された適正な水準に設定しようとしても相場感が分からず、賃金適正化の取り組みが進まないことなどの事情が考えられます。

中間とりまとめによれば、上記の施策として、以下3つが挙げられています。

  1. 標準労務費の勧告
    適正な工事実施のために計上されるべき労務費を、学識者・受注者・発注者から構成される公平中立的な期間である中央建設審議会から勧告する。

  2. 受注者における不当に低い請負代金の禁止
    労務費等を安くすることは、施工不良を引き起こしかねず、これを受注者が行わないように制限するため、不当に低い請負代金で請負契約を締結することを禁止する。

  3. 適切な水準の賃金等の支払い確保のための措置
    まだこれから具体的な施策への落とし込みをしていくようで、標準約款に条項を追加することを検討する、あるいは、ICT活用により簡易に確認できる仕組みを検討するという形で案が記載されていました。

3.魅力ある就労環境を実現する働き方改革と生産性向上

これについては、過去の報道などから類推すると、国土交通省はかなり力を入れて取り組もうとしている印象を感じました。

大阪・関西万博での海外パビリオン建設で、工事遅れが発生している通り、建設業での人手不足は様々な公共事業に支障を与えます。それだけではなく、災害発生時の復旧工事にも建設業が関わってくるわけですから、働き方改革と生産性向上は建設業だけではなく、人々の生活に大きく影響を与えることは想像に難くありません。

  1. 適切な工期の確保
    行政による実態調査や警告・注意・勧告等の仕組み導入も検討されています。
    また、2024年残業規制だけではなく、これから検討していく建設業の改革への取組進捗を含めて、建設業が魅力ある業界であることを、建設業界内部だけではなく、学生をはじめ、対外的にもアピールしていく。

  2. 生産性の向上
    ICTの活用等により、現場管理を行う関係者の負担軽減と生産性向上を図っていくため、指針を国が作成し、特定建設業者に同指針に即した現場管理に努めるよう求めることを検討していくべきである。

4.まとめ

中間とりまとめを読む限りでは、これから具体的な施策を検討していく部分もありますが、だいぶ具体化されている部分もあり、2024年は建設業の大改革のスタート年になる印象が感じられました。

従来、受注者側からは発信しにくい部分も改革に盛り込まれており、2023年は倒産が多発している建設業において、明るい未来が見える内容になっていました。また、発注者に必ずしも損があるわけではなく、建設業の倒産リスクや工期遅延が減ることで、不動産投資をする側にとって安定した資産運用ができる社会になるのだと思います。

ユービーエムや中国バブル崩壊のような倒産が多発すると、不動産投資から離れる投資家も出てきますから、不動産業界にとってもデメリットが発生します。安く、早く建築できれば一番利益が生まれることは確かですが、それによって結果的に建設会社が倒産したり、工期遅延がでることはうれしくないでしょう。

特に、2023年は建設会社が多発していますから、働き手も離れていく年になっている可能性があります。

働き方改革の面白い取り組み事例としては、職場で話す用語は横文字を使うようにする。というものがあるようです。格好よく見える職場にすることで、働きたくなる職場作りに挑戦しているわけですが、リモートワークが増えたときに、小学生がなりたい職業でサラリーマンが上位になったことを考えると、実に良い切り口かもしれません。

客観的な目線で国主導で改革が行われることは、建設業界だけではなく、対投資家に対しても心理的ハードルが低い状態で改革が行われます。改革に成功すれば、投資家離れが起きにくい良い社会になるのではないでしょうか。

※本記事は、9/19に国土交通省から公表された以下のコンテンツ(【別紙1】中間とりまとめ、【別紙2】中間とりまとめ(概要))に基づき、執筆・編集を行っております。伝わりやすくするために表現を変えている都合上、一部解釈違いがある可能性がある旨、ご了承ください。
出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo13_hh_000001_00194.html)

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