見出し画像

#12【番外編】海男、山へ行く~裏磐梯~①

ええいや〜〜〜〜会津磐梯山は宝の山よ
笹に黄金が エーマタ なりさがる ♪

お久しぶりです、磐梯山。
東京も、ようやく残暑から解放された頃、海男と福島県の裏磐梯に行ってきました。都会好きな海男が、晴子の"自然豊かなところ愛"を尊重し、連れていってくれたのです。やさしい海男、ありがとう。


磐梯山の表と裏

週末ということで、東北道は事故や工事でところどころ1時間程度の渋滞が発生していました。いつも通り、海男が運転、晴子は助手席。ぐだぐだと会話をしながら進みます。上河内SAで遅めのお昼をとり、東北道から磐越道を西へ。トンネルを抜けると見えてきました、表の磐梯山。

磐越道より磐梯山
黄金色の稲穂と磐梯山

そして、ぐるりと木立の間を抜けて山の裏側へ。標高もあがった分、車を降りると、ひんやりした空気に肌がひきしまる感覚がありました。毘沙門沼から、1888(明治21)年に山体崩壊を起こし、山肌が大きく口をあけた”裏”の姿を仰ぎ見ます。

今回は曇ぎみだったので、昔撮ったものを。光が差し込む毘沙門沼がきれいですね。

本当は、五色沼ハイキングコースをそのまま歩いていきたいくらいなのですが、もう夕方なので、ひとまず宿へチェックインします。

自然に抱かれる 裏磐梯高原ホテル

今回の宿泊先は、裏磐梯高原ホテルです。

磐梯山を望むロケーション、さらに、林学者・中村弥六の名前を冠した「弥六沼」が敷地内にあり、135年前の噴火の威力やその恵み=温泉、森が復活し一大リゾート地となった時の流れを身体いっぱいに感じられる場所です。

部屋からの眺め 弥六沼と磐梯山

海男さん、長距離ドライブお疲れ様!お部屋で少し休憩です。ベッドにごろ~んとなって目に入ったのは、間接照明です。

癒される 陰翳

「間接照明っていいよね~」
「こういう設えをするのは、オネダン高いよね~」
などと、まだまだ先の新居に思いをはせます。

そして、温泉へ。ほんのりと安らぐ香りがして、肌ざわりは優しいけれど、とてもパワーのあるお湯です。そんなに熱いわけでもなく、長湯をしているわけでもないのに、あがってからしばらく汗が吹き出てきます。泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物温泉とのこと。だから湯冷めがしにくかったのかもしれません。

こちらの温泉の何よりの魅力は、部屋と同じように、山と森と沼の眺望が楽しめることです。内風呂よりも、ちょっと熱めの露天風呂。秋深まる空気の中、温かなお湯に包まれて、「ああ、自分もこの自然界の一部なんだなあ」と、(普段は、都会暮らしで忘れかけているけれど…)思わずにはいられませんでした。

ここで、レイチェル・カーソンの「センス・オブ・ワンダー」より引用を。

 もしもわたしが、すべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力をもっているとしたら、世界中の子どもに、生涯消えることのない「センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見はる感性」を授けてほしいとたのむでしょう。
 この感性は、やがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、わたしたちが自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する、かわらぬ解毒剤になるのです。
<中略>
 人間を超えた存在を認識し、おそれ、驚愕する感性をはぐくみ強めていくことには、どのような意義があるのでしょうか。
<中略>
 わたしはそのなかに、永続的で意義深いなにかがあると信じています。地球の美しさを感じとれる人は、科学者であろうとなかろうと、人生に飽きて疲れたり、孤独にさいなまれることはけっしてないでしょう。たとえ生活のなかで苦しみや心配ごとにであったとしても、かならずや、内面的な満足感と、生きていることへの新たなよろこびへ通ずる小道を見つけだすことができると信じます。
<中略>
 鳥の渡り、潮の満ち干、春を待つ固い蕾のなかには、それ自体の美しさと同時に、象徴的な美と神秘がかくされています。自然がくりかえすリフレイン――夜の次に朝がきて、冬が去れば春になるという確かさ――のなかには、かぎりなくわたしたちをいやしてくれるなにかがあるのです。

レイチェル・カーソン著、上遠恵子訳「センス・オブ・ワンダー」新潮社、1996、p.23, pp.50-51

秋のまたっり読書タイム

お風呂あがりにベッドで少し横になったあと、ホテル1階のライブラリへ。宿泊者は無料で利用できるコーヒーマシーンが置いてあります。「晴子さんは、カフェオレが好きだよね」と、海男さんが、まずわたしの分をいれてくれます。まあ、嬉しい。それぞれが好きな本を読み、晴子は海男のMacbookAirを借りて、1日を振り返りながら、このnote記事の種も書きます。

このライブラリには、アート、建築、暮らし、旅、自然、絵本、会津の歴史などの書籍が揃えられています。静かで集中できる空間で、いろんな本をパラパラめくりながら、脳内もあちこち旅に出ていたような感覚になりました。

本棚には北欧風の雑貨もディスプレイされている
イーロン・マスク(持参した)の本を読む海男

ちなみに、👆こちらの写真手前に写りこんでいる「approach」という冊子は、竹中工務店が1964年(東京五輪があった年ですね)に創刊した季刊誌だそうです。2022年秋号には、裏磐梯の景観の成り立ちについても書かれていて、大変勉強になりました。(その他の号も、街づくりや暮らし、デザインなどに関する興味深い特集が組まれていて、大変センスのよい季刊誌だなあ…!そんなことを評価する立場にないですが…と思いました。)

こんな風に、ゆったりと、それぞれが思い思いのことをして過ごす時間は、なんて幸せなんだろうと思います。これからも、こんな穏やかな時間を大切にしながら仲良くやっていけたらいいなあ。

このあと、おいしいごはんと会津のお酒をいただいて、晴子はほろ酔いになるのですが、そのことは、また次回に。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?