#4 あっている、まちがっているじゃない

「カリンバのいいところは、適当に弾いても心地よい響きを出せるところです。カリンバのチューニング(音合わせ)は、大きく2つに分けられます。メロディーを演奏するための、音階がそろっているチューニングと、オリジナルチューニングです。オリジナルチューニングは、民族音階と呼ばれるものと仕組みは似ています。例えば沖縄音階は、ド・ミ・ファ・ソ・シ・ドの5音で成り立っています。ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ドの7音を全て使っていません。音をいくつか抜いてチューニングを変えることで、音と音がぶつからなくなります。だから聞いていて嫌な響きが生まれなくなります。」

「また、正解がないこともカリンバのよさだと思います。ピアノは音階があるため、気持ちのいい音楽を奏でていても、途中で1音間違えることが命取りになります。だから、楽譜通りに弾けないこと、間違えることへの恐怖から演奏を諦めしまうという人も多いです。」

 コヤマさん自身も失敗を恐れていたそうだ。音大時代から即興演奏を行っていたコヤマさん。試験などで楽譜通りに演奏しなければいけないことへのプレッシャーから、楽譜を忠実に演奏することへの窮屈さを感じていた。即興ヴォイスで歌うという即興セッションの体験を通して、必ずしも楽譜通りにやらなくてもいい、と考えるようになった。それは、カリンバにも通ずるところがある。

 「その場で欲しいと思った音を奏でて響きを味わうことで、自分の感性をありのままに音に乗せられるんです。どんな音を出しても心地よい響きになるから、音だけでなく、音楽のもつ意味を超えた部分まで表現できる。また、振動が身体へダイレクトに響くクリスタルボウルと組み合わせると、響きに音楽性が加わった共鳴を体験することができます。これって共鳴楽器であるカリンバだから生み出せる響きじゃないかなと思います。」

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