cotreeにまつわる不祥事の覚え書き

この記事には、性的加害やハラスメントの被害者がフラッシュバックを起こす可能性がある内容を含みます。心当たりのある方は閲覧を止めるか、細心の注意を払ってお読みください。
【追記】私自身はcotreeと関係がない者です。私の友人がcotreeのユーザーであった、という関係です。
【追記 5/21】cotree櫻本代表より「お詫び」という文章が公表されました。

【追記ここまで】

この記事は、オンラインカウンセリングサービス「cotree」の運営会社・代表による次の不祥事・疑惑についてまとめるものです。

・soar元理事による性的加害に対する、cotree代表・櫻本真理氏の発言
・cotreeアンバサダーからのやりがい搾取問題
・cotree内部におけるパワハラ問題
・cotreeのステルスマーケティング(ステマ)疑惑

前提:soar元理事による性的加害

まず「soar元理事が性的加害を繰り返した事案」について、簡単に紹介します。小川たまか氏の記事から引用します。

 3月末に、あるNPO法人がHP上で発表した「理事解任のお知らせ」が波紋を広げている。当初の発表では、30代の男性理事による複数名への「加害行為」が解任の理由と記されていたが、その後、この理事から性的ハラスメントを受けていた女性がツイッター上で事実を公表。「加害行為」は性的加害であったことが明らかになった。

 また、解任を発表された元理事の男性は、加害行為の事実は認めたものの、公表内容がNPO法人との間で事前に合意していたものと違うと「反論」。このNPO法人に対して「名誉毀損等の民事訴訟を予定」と発表している。

 公表から1カ月以上が経過しているが、その後の大きな動きは見られない。ほとんどの関係者がネット上での直接的な言及を避けているが、一部では被害者を揶揄するような投稿や、元理事やNPO法人を擁護するような動きも見られる。

本記事ではsoar元理事の加害事案に関して割愛しますが、その他詳細に関するリンクを挙げます。

soar元理事による性的加害に対する、cotree代表・櫻本真理氏の発言

ここから本題に入ります。cotreeの代表取締役である櫻本真理氏(Twitter: @marisakura)が、下記のツイート(【追記1】参照)を投稿しました。元ツイートは削除されておりますが、Wayback Machineで取得できたもの(2021/5/9時点)を引用します。

※冒頭の「許す」をテーマにした記事については、出典が見つかりませんでした。(【追記2】参照)

わたしが「許す」をテーマにした記事をシェアして「許せないことは本人と周囲にとっても苦しいので許せるといい、怒りの連鎖で傷つく人が増えないといい」と発言したことで、多くの方に批判をいただいています。申し訳ありません。
まずは、この発言は誰かに許すことを強要する意図ではありませんし、
ましてや被害を受けて苦しんでいる特定の方に向けたものでもありません。社会を変えようと苦しみながら声をあげている方には、尊敬の気持ちを持っていますし、変化のために必要なアクションだと思っています。
一方「声をあげる」よりも「怒りをぶつける」になって新たな傷を生む場面も見かけます。
怒りが連鎖して新たな不幸を呼ぶ様子をたくさん見てきた中、怒りと破壊でなく愛と創造を持って社会を変えていきたい、と心から思っています。だからこそこれまでもそのような活動に取り組んできました。
私自身、「許せない」ことに苦しみ続けた時期があるからこそ、また怒りがひろがって傷つく人が増えていく様子を見るのが苦しいからこそ、わたし個人の「願い」として発信したものです。それが立場上被害者への「圧力」として捉えられてしまって新たな怒りを生んでしまったことは本当に心苦しく、
申し訳なく思っています。
「許せない」と向き合うためには、まずは安全な場所で、その苦しみを言葉にし、傷を癒すプロセスが必要です。それなしに許せるものではなく、ましてや強要されて許せるものではありません。ただ、その「安全な場所」がSNSだとはどうしても思えていません。
怒りによって新たな傷つきや抑圧が生まれる不幸をどこかで断ち切るためにも、カウンセリングを含む多くの支援は存在しているのだと思っています。
世界をよくしたいと願う人たちが、貶め合うのではなく、手を取り合ってより良い世界を目指せることを祈る気持ちは変わりません。
今はいただく批判を真摯に受け止めて、引き続きわたしにできることと向き合っていきたいと思います。

いくつかの追記

※【追記1】「上記の性加害事案に対するツイートを投稿しました。」と表現しておりましたが、「性加害事案に対する」かどうかを断定できないため、表現を変更しております。(また細かいですが「上記」を「下記」と変更しました)

※【追記2】「許す」をテーマにした記事について、そのリンクとスクリーンショットを投稿してくださった方がいましたので、引用します。

櫻本真理氏の発言に対する反応

『soar』現理事の一人である櫻本さんが、今このタイミングで「許せない」ことによる不幸の連鎖を説くのは、被害者の方々に対してあまりにも酷であったと私は思う。あのツイートから、抑圧的な意図を感じとる人が多数いたとしても、何ら不思議はない。

「許せない」気持ちを抱える人たちがいて、その人たちはそれ相応の被害にあい、現在も後遺症に苦しみ、日常生活に支障をきたしている。ずっと言えなかった苦痛を、やっとの思いで口にした。ようやく、声を上げられた。そんななかで、問題が起きた団体の現理事である方が発信していい内容ではなかったし、”二次加害”であると批判されるのも致し方ないものであったと思う。

(中略)

しかし、同時に思う。だったら何故、被害者がそんなにまで大きな負荷を背負う選択をしたのかと。その選択をさせたのは、果たして誰なのか、と。

公ではない場面でどれだけ直接声を上げても、揉み消されたり、事実を歪められる現実がある。だからこそ、全身の勇気を振り絞ってSNSという場所で声を上げるのではないだろうか。

少なくとも私はそうだ。私の声は、現実世界の家族に向けて幾ら訴えたところで、誰にも何も届かなかった。辛かったと伝えても、どんなに泣き叫んでも、「お前がおかしい」と切り捨てられた。

訴えた被害を加害者サイドが真摯に受けとめ対応してくれる世の中なら、被害者が二次加害に晒されながらネット上で声を上げる必要なんてない。

補足:cotreeアンバサダーについて

cotreeアンバサダーについて軽く調べましたが、公式が明示的に紹介しているページ等はないようでした。

具体的な活動としては「cotree advent note」にて次のような記述があります。

cotreeメンバー、アンバサダー、cotreeを応援してくださるみなさんでリレーをつなぐnoteマガジンです。

cotree advent note|ひらやま | cotree|note
https://note.com/kaz_hirayama/m/m7af22fc58495

cotreeアンバサダーからのやりがい搾取問題

cotreeアンバサダーを担当された方(前述)による告発がありました。

【注意】下記の記事冒頭にもある通り、本問題はsoarで起きた性的加害の件は、まったく別の話です。

イベントでご一緒したある方が、ひらやまさんに尋ねました。

「はるさんのアンバサダーは、お仕事?」
「違いますよ。まぁ、でも、たまに飯くらい奢ります」

その会話を聞いて初めて、私はアンバサダーがただのボランティアであったことを知りました。「じゃあ、やめます」とは言えませんでした。これは体裁でも何でもなく、『cotree』というプロダクトが今の世の中に必要なものだと思っていたからです。そしてそれと同じくらい、その場の空気を壊す勇気が私にはありませんでした。

直接的にサービスの紹介に繋がるものばかりではなく、何気ない日常エッセイを書いた日もありました。それでも、cotreeの持つ世界感を損なわないよう内容に配慮しながら、cotree_advent_note(cotree専用マガジン)の毎週更新をおよそ9ヵ月続けました。
登壇イベントは私だけではなく、その後何名か続きました。その方々も無料で登壇したのか、交通費も全額自腹だったのか、私は知りません。もう、この頃には感覚がマヒしていました。「こういうものだ」と思うようにしていたし、そう思わなければそれまでの自分さえも否定することになりそうで、ただただ現状維持を繰り返し、水曜日のたびに週1本2000字~3000字のnoteを書き、ひらやまさんにDMで共有する、を繰り返していました。
疑問を抱えたまま、「やめます」と言い出せなかった私にも落ち度はあります。でも、一つだけ言わせてください。一度頼まれて引き受けたものを、あっさり「やめます」と言える人間ばかりではないのです。辛くても、不安でも、それを口に出せない人間もいるのです。cotreeは、本来そういう人間に対して窓口を開いているプロダクトだったのではないですか?
新しい担当さんからは、温かいお言葉とこれまでの労いの言葉をかけていただきました。でも、私にアンバサダーを依頼してきたご本人からは、たったの一言もお返事をもらえぬまま、今日に至ります。

無報酬だった。交通費さえ払ってもらえなかった。でも私が一番傷ついたのは、この瞬間でした。そして、気がついたときにはTwitter、noteともにフォローを外されていました。基本的に、フォローするのも外すのも自由だと思っています。でも、企業のCOOにフォローを外されるアンバサダーとは、一体何なのでしょうか。私は一体、cotreeにとって何だったのでしょうか。
今の私に言えることは、以下4つです。

・書き手になることを目指している初心者ライターを「ただで使える広告塔」として扱うのはやめてください。

・どうしても無料で何かを頼みたい場合は、無料である旨をはじめに必ず提示してください。

・無料で何かを頼むのなら、せめて感謝だけは忘れずにいてください。感謝さえない無償の働きを延々不満も抱かずに続けられる精神力は、私にはありません。

・自分を守るための知識を身につけてください。現状、これがないと傷つくことが圧倒的に増えます。知っていれば避けられる事態もあります。

cotree内部におけるパワハラ問題

別件で、cotree代表(※)および関係者によるパワハラ告発もあります。
(※名前は伏せられていますが、Twitterリンクから察せられます)

ある日、代表が出先におり、私はオフィスにいる時だった。頼まれたある業務について「この業務は~な点で不得意かもしれないです」とslackで相談したところ、代表はその申告を受けて不機嫌な返信を送ってきた。さらに「あの件も返事くれてないよね?」などと矢継ぎ早にslackに投稿があった。変な汗が出た。
他の社員は私と同じ空間にいたが、知ってか知らでかそのslackでの詰問については言及してこなかった。私も、自分のされていることの異常性に気づけず、社内の誰にも相談できなかった。
この出来事があってすぐ、代表はSNSで私への批判とも取れるツイートをしていた。それと同時期に、私の同期の「やる気」「前向きさ」「成長」を褒め称える投稿もしていた。
会社では、従業員や契約カウンセラーからの声を受け取るのでなく、相手の人格や心に問題を帰責するような発言が、代表だけでなく複数の社員から聞かれた。

例えば賃金のことで異議を申し立てた人がいた時には、その人のいない所で「(クライエントとは相性が良いけど問題のある人だから)境界的だね」と言っていたし、かつて働いていた人がSNSで会社について批判的な投稿を複数していた時には、「粘着質(意訳)」「気にしなくていい」といったことを言っていた。心理主義ってこういうことなのかな、と思う。

社会で存在しないことになっていること:とある心理系企業での話
https://codoc.jp/sites/ItKB5nHqxA/entries/xPS6a8tPVw

cotreeのステルスマーケティング(ステマ)疑惑

あくまでも疑惑の範疇ですが、ステルスマーケティング(ステマ)が行われていたのではないかという指摘もあります。

最後に

私自身はcotreeに何も縁がないのですが、友人がsoarやcotreeの件でひどく心に傷を負っています。特に友人はcotreeのユーザー(クライエント)でした。cotree代表の言動そのものと、「安心して受けられるカウンセリングの場」を失うことの、二重のショックを受けています。そのため本記事を起こしました。

私の意見は、次のツイートに尽きます。

文責:藤原 惟

追記:cotreeだけじゃない

この記事ではcotreeのみを取り上げて悪者にしてしまいました。しかし、cotreeだけが問題ではなく、組織や社会の構造として、このような問題を生んでしまったと私は考えています。

つまり「ソーシャルビジネス」「社会起業」「非営利組織」「NPO」といった、「社会をよくする(ソーシャルグッドな)」ことを目的とする組織・団体・企業であれば、本質的に起こりうるガバナンスの問題だと思います。

また組織を維持するためには、当然「資金を調達しないといけない」「出資者の顔色を伺い、見栄えよくプレゼンしないといけない」「PV等の数字(KPI)を向上させて、成果やソーシャルインパクトを出さないといけない」などの課題があります。つまり社会福祉を代替するはずのソーシャルビジネスが、資本主義システムに絡め取られてしまう、という見方もできます。

この記事が、目の前の社会課題を解決することに加えて、「社会課題を解決する組織やビジネスのあり方」「社会や国のあり方」について考えるきっかけになれば幸いです。

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