令和2年大相撲9月場所2日目にして

どうしたんだよ朝乃山。

おいおいおい。おいおいおいおいおいおいお

二日目にして、心配している。

どうしたんだよ朝乃山、大関になって一場所目を乗り越えたじゃないか。

大関昇進の試練が今来たかよ。

もちろん単純に勝ってほしい。朝乃山は勝って人を喜ばせることが出来る力士だ。大関になって、なお、上へ行くことを切望されている状態の力士だ。

歌唱や演劇のパフォーマンスと違って、相撲は「できてスタート+∞」の興行ではない。見れば見るほど、ほかの力士にもみんな活躍してほしいと思うようになるのに、1番取ると一方が必ず負ける。

いつもベテランが強いとは限らず、アスリートなのでフレッシュな方が伸びるし、するとそれぞれの状態や環境や技能や知略や運によって思いがけない勝ち負けが起きる、それを楽しむタイプの興行だ。

大関となると、もちろん最上位を目指したい。ただ大関をこそ狙ってくるたくさんの戦士たちが後ろに控えている。

その位置に、どれだけ居座れるだろうか?

その上に、果たして上がれるだろうか?

幕内上位、平幕、十両、幕下、、たくさんの段階から延びる手がある。

その最後の一手で、みんなと同じように15日間を過ごさねばならない心中たるや、推し量れない。まして、親方定年間近のタイミングだ。

大関に勝ちたい、そういう力士が挑戦してくる。

肝心の現横綱は休場。

自分だって挑戦者のはずなのに、本場所最高位でただ挑戦を受ける立場というのは、大関というのは本当につらい立場だろう。

そこに温和でまじめな朝乃の性格。勝ちたいだろう、勝って、部屋に地元に錦を飾りたいだろう。

大関昇進、2場所目、どんな気持ちだろうか。

一ファンはと言えば、勝ってくれよ大関。と切に願う。

朝乃の良いところがまだ見れていないよ。

決して戦略が巧みとは言えなさそうなのに、四つに組んで勝つところ、

緊張が顔に出るところ、

ちょうちょを追いかけているようなぼんやりした目つきや

不器用でも真っすぐインタビューを受けるところ。

大歓声を上げることも座布団を投げることもできないけれども、

無為自然な、しかし大関の技を持った、そんな相撲が見たい。

何をしたら、とか、頑張れ、とか

簡単な言葉は今簡単に届かないと思う。

あと、「自分の相撲をとる」もよくあるけど、ちょっと怪しい。

なぜなら挑戦者はみな朝乃の取り口を見ているから。

だからねえ、わたしなんかはどんなであっても応援するしか言えないよ。

滅茶苦茶我武者羅になってくれてもいい。

今までにない戦略を張り巡らせて、例えば4つに組まなくってもいい。

絶対朝乃の肉体はだれにも負けない!と信じている。

チーム朝乃の戦略はまだやれる!と信じている。

わたしなんか、勝手に横綱になった後のことまで案じている。

朝乃は愛される横綱になる人物だと。

これが上位を狙う力士のファンたちに、もし憎まれたらどうしようなどと、道端でふと思い出して泣き出すほどだ。

応援され続けてほしい。そのためにあと13日、伸びしろを見つけてほしい。

いろいろやってくれ。いろんな顔を見せてくれ。

1場所1場所、見届けるために天寿を先延ばしにしているファンがいるんだ。

2500人の客席に、それを想う。

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