ブラッディ・エンジン:2.5
――2周目に突入。50位。
瞬間、後続車が全て爆発四散した。
爆風に煽られる車体。俺はハンドルを捌き、どうにか真っ直ぐ保つ。
『いい加減にしろよ素人!』
俺の車――狂魔が怒鳴りやがる。
「……るせェ」
『いいか。次40位に入んなきゃ――』
爆散。
「分ァッてるよ!」
アクセルを踏みつける。エンジンが唸り、体を振動させる。現在時速250km。
だがこのままでは。
爆散。
『分かってんなら』
狂魔は心を見透かした様に言う。
『早く寄越せ、お前の血』
右腕に刺さる管を見る。俺の血を狂魔へ運ぶ、未だ新品の管。
……ああ、分かってる。
それでも俺は、1滴もやらなかった。まるで俺が食い物にされるみてェで。
ンなのは、クソだ。今までと何も変わらねえ。
けど。
爆散!
コイツと爆死なんざ、もっと願い下げだ!
「……ああ畜生ッ! くれてやるよ! だから何とかしろ!」
『やっとだ!』
瞬間、血を吸われた。
透明な管を紅く染めながら、血は狂魔へ流れ。
『キタキタアアアアアッ!!』
覚醒。
雄叫びと同時、速度計の目盛が時速からマッハへ切り替わる!
『ッシャァ、出血大サービスだ! アクセル踏み込めェ!』
アクセル、全開。エンジンが咆哮。
バカみたいな速度で直線コースを突き進む!
勢いそのままS字カーブへ。ハンドルを――
『直進しろ!』
――回、せねえッ!
目の前に壁が迫る!
『いいから』焦る俺に狂魔は笑う。『アクセル緩めんなよォ!』
……クソ!
なるようになりやがれッ!
『良い子だ!』
狂魔は。
『その心意気に、乾杯ッ!』
ボンネットを口の如く開き。
光線を発射、壁を破壊――直線コースを切り拓く!
『アッハハハ! やっぱ最ッ高だ! なァそうだろ!?』
「イカれてるよ畜生!」
マトモじゃねえ。
けど。
コレなら行ける――俺は興奮し、笑んでさえいた。
『このまま行くぞ素人!』
「ああ――」
その時。
俺らの真横にミサイルが着弾――コースが、爆ぜる!
――続く