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キッズキッチンレター7月号

伝統野菜


 野菜は、昔々はその名の通り「野にはえる菜」をとって食べていました。野菜はいつ・どこに生えているかを気にしていなければなりません。今でも山菜や野草をとりにいく時はそうですね。決まった場所や、家の周りに生えていたら便利ではないかと言うことで人類はいろいろな食べ物を自分たちで栽培し始めました。植物が育つときに必要な条件は、日光・水・温度・肥料(栄養)で、それは場所によってさまざま。育てようと思っても育たないこともありますし、移動した先の方が条件が良く、よく育ったなどと言うこともあります。先月のタイ料理や熱帯の料理によく出てくる赤小玉ねぎは日本で育てることができません。沖縄あたりの明るく暖かい土地でもあまり育たず、植えておいても消えてしまいます。日照量と温度が足りないためと推測しています。その場所でしか育たない野菜がある、その場所でしか出ない味があるため、その場所で種を取り、育てて食べ、また種を取り、と連綿と受け継がれてきました。それが現在、伝統野菜と呼ばれるもので、各地にさまざまなものを残そうという運動があります。
ただし、伝統野菜は前回採った種をまた植えてと言うことの繰り返しなので、サイズが揃わなかったり、極端なばらつきが出たりします。スーパーや市場で売っている野菜は、Lサイズ、Mサイズなど大体の大きさがそろっています。
1966年野菜生産出荷安定法が制定施行されました。これは大都市に安定的に農作物を供給するためのもので、主要野菜14品目の指定産地が決められました。全国各地に大生産地が生まれ、そこから効率よく出荷・輸送できるようにサイズが決まってきました。
サイズだけでなく、親から子へと受け継がれる種は、親と全く同じではありません。これでは使いにくいとなり、いつも同じ野菜が同じようにとれるようにと進化した結果、伝統野菜は廃れていきました。それでも細々と作られ、全国各地に残っています。2000年代に入って復興活動が行われ、大量生産の野菜とは別に作られるようになりました。大阪は「なにわの伝統野菜」https://www.pref.osaka.lg.jp/nosei/naniwanonousanbutu/dentou.html、東京は「江戸東京野菜」https://tokyogrown.jp/product/edotokyo/ などと呼ばれます。京野菜などもブランド化された伝統野菜の一つです。
コロナ禍がおさまり、また気軽に旅行できるようになったら、ぜひ各地の伝統野菜を訪ねてみてください。

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