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マリウポリの20日間

マリウポリの20日間、
すごい内容だった。今年に入ってから、毎月観た映画を翌月の頭あたりにまとめて感想を書くというのをしているのだけど、この映画は来月になったらもう上映が終わってるかもしれない。「レビューを読んだ後で興味を持ったけど、もう公開終わってたわ」にならないために、多くの人に観てほしいという気持ちを込めて単品で書きます。

ウクライナの地方都市マリウポリが舞台。ロシアによる侵攻が日に日に進み、マリウポリに暮らす人たちは少しずつ逃げ場や自由や発言、そして生命が失われていく。 その様が生々しくカメラに収められていく。ウクライナでの惨状は、情報としては当然耳に入っているし、理屈として起きている事それ自体は分かっているつもりだったけど、やはりこれだけ生々しい映像として見せつけられると、どうしたって感情はざわつく。
病院を爆撃するなんて、そんな馬鹿な話があるか。もし仮に喧嘩してる相手が寝込んでるとして、家まで乗り込んで殴りにいくのか。
いくらなんでもやっていい事と悪い事がある。もちろんそれだけではない、あまりに一方的な暴力の数々が毎日、街中で起こっている。

過去の話ではなく、海の向こうでは今もこうした惨劇は続いているのに、この現実感の無さはなんなのだろう。平和ボケ以外のなにものでもない。この現状を知ったからといって何が出来るわけでもない、無力感にしかならないけれど、それでもこの映画を観る意味があるとすれば、一人一人が歴史の証人になる事ではないかと思う。
いつか配信とかで観られる機会はあるのかもしれないけど、劇場という逃げ場のない空間で目を離さずに観ないといけない映画だと思う。


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