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こんにちは、米田 @ 富士通にてマーケティング変革実行中です。いよいよ2024年が始まりますね。2023年は約3年に渡って世界中に大きな影響を与えた新型 コロナ 禍が明け、みんなマスクを外して元の生活に戻ろうとしたら、人々の思想や嗜好、社会情勢や働き方など完全には元に戻らないものも多くありました。2024年は皆さんはどのような年になると思いますか?私も、勝手に想像してみることにしました。


ポストコロナ2年目

2023年は新型 コロナ 禍が完全に明ける最初の年となりました。2024年は2年目となります。世界中の多くの国で人々の交流は事実上の "鎖国" 状態、サプライチェーンにも異常をきたし、まるで血が流れていない世界大戦を経験したような状態でした。特に若者は青春時代の3年間の学生生活や新社会人生活を奪われ「新ロストジェネレーション」とでも言うべき状況となってしまいました。

新型 コロナ 禍が明けても、海外との交流のやり方が完全に元に戻らない、「飛び恥 (flight shame)」のような航空機を使った移動を嫌いリモートで済むものは済ませてしまおうという風潮の広がり、そしていままでのグローバリズムから世界が分断される方向に向かう「ニューノーマル」の世界の始まりの年 (ポストコロナ元年) として、2023~2024年を後の世から見ると思い返されるかもしれません。

サステナビリティと現実とのバランスを考える

そして2023年の終わりから2024年初めにかけては記録的な暖冬でした。「地球沸騰の時代」と言われ地球温暖化に危機感を持っている人々が増えています。日本はもとより多くの経済大国で人口オーナス期に突入している一方、人口ボーナス期が続く、またはこれから突入することが期待される「グローバルサウス」の国々との間の「サステナビリティ (社会の持続可能性)」に関する駆け引きと溝がより一層深まっていくと思われます。

同時に、人口オーナス期を迎えて経済規模が縮小していきそうな国々では、競争よりも「共感」、尖るよりも「嫌われない」ことを重視する文化、汚いものが消えるといった嫌なものの「見えない化」、そして、SNS上で「映え」るものが注目される結果さまざまな事象を見た目で判断する、いわゆる「ルッキズム (外見至上主義)」の文化が芸能・娯楽以外のさまざまな分野でも進んでいくかもしれません。しかし、サステナビリティやSDGsとルッキズムは矛盾する動きのようにも見えます。

「サステナビリティ」は現実の社会活動と矛盾する内容を数多く含んでいます。この掛け声は「世界全人類に平和を…」と同種のものかもしれません。現実的にどこで落としどころを見出すか、考えさせられる2024年になりそうです。

労働力のミスマッチと自動化の加速

2024年は「物流業界2024年問題」、そして団塊の世代が後期高齢者になる「2025年問題」への入り口となる年でもあります。トラックドライバーだけでなく、タクシーなど運輸業界、建築業界、宿泊業、空港職員や飲食店などの社会インフラを支えるエッセンシャルワーカーの労働力不足の問題は深刻です。市場原理では、市場が成り立つ前提となるインフラの価値が評価されないため、社会インフラを支えるエッセンシャルワーカーの賃金は市場経済の下では残念ながら低くなる傾向があります。

日本人は少子化により若者の労働力が減少を続けていることに加えて、年齢による富の配分の不均衡や子育てに関する十分な社会的支えがないまま女性を労働力に組み込むことで、少子化にさらに拍車がかかっているように見えます。また、日本人の若者は昔に比べると高学歴化し、医師や公務員など安定して高収入が狙えそうな職種以外、自らエッセンシャルワーカーを選ぶ人は減少しています。かといって日本の経済停滞と円安により外国人労働者ばかりに頼るわけにもいかなくなります。日本は移民政策もなじみがないという人が多いでしょう。

すると、残る手段は「人ならざる者」、つまりAIやロボットといったテクノロジーで社会インフラを支えるということになります。自動運転、遠隔診療、レジレス店舗などで人手が必要だったところの省人化を進めるとともに、紙の状態でアナログになっている情報を迅速にデジタル化、データ化して効率的に活用できる状況にする必要があります。

2023年はテクノロジー業界だけでなく社会全体で生成AIが話題になりました。生成AIは従来型のAIが持っていた自動化、効率化の要素だけでなく、人間の創造性も補完できるということでAI化の領域がホワイトカラーや芸術の世界にも広がったことに大きな意義があると個人的には考えています。ちなみに、冒頭の挿絵は画像生成AIのStable Diffusionから派生した「DreamStudio」で以下のプロンプトで作成したものです。

Oil painting of a Japanese dragon firing, with sky, cloud, Mt. Fuji, pine trees and a sunrise in the background, high contrast, dramatic lighting, heavily textured brushstrokes

DreamStudio

プロフェッショナルでなくてもちょっとしたプロンプトだけでプロ並みのアウトプットができてしまう生成AIはホワイトカラーや芸術家の働き方を大きく変えるものです。

生成AI 2年~25年前のインターネット時代幕開けの再来

生成AIは、著作権や情報漏洩、バイアスの問題等、システム側の稚拙さや、利用者側のリテラシーの問題が世間で騒がれてはいますが、これは約25年前に一般人にインターネットの利用が広まったときの課題と全く同じであることに気づくでしょう。パソコンの向こう側にあるものが、インターネット上に誰かわからない人力で配置されたものなのか、AIによって収集されたものなのかの違いだけで、「著作権」「情報漏洩」「信憑性」「バイアス」「情報セキュリティ」等は両者とも同様に発生します。

インターネットの場合は時間をかけてシステムの実装側とユーザー側のリテラシーを改善してきた結果、現在の人々は企業でも個人でもインターネットをなくてはならないツールとして使いこなしています。生成AIも遠くない未来に企業でも個人でも必須のツールとなるでしょう。もう後戻りはできません。また、いま挙げられている問題は生成AI普及の障害にはならないでしょう。インターネットの場合は普及まで7年程度かかりました。近年はテクノロジー普及までの速度が爆発的に早くなっているため、生成AIの場合は2~3年で企業でも個人でも大きく普及する可能性があります。

インターネット利用率(個人)の推移
図: インターネット利用率(個人)の推移
(出典)総務省「通信利用動向調査」

既に米国IT企業大手では生成AIの影響としてホワイトカラーの人員削減を始めるところも出てき始めています。新型 コロナによる一時的な業績調整をするために2023年からすでに人員削減を進める米国企業も多くありましたが、人員削減の傾向は2024年も続く可能性がありそうです。

オリンピック、選挙、100年前と似た社会情勢…!?

2023年には「時代の境目」となるような出来事が発生し、2024年はその傾向を引きずった2年目となりそうです。2024年には世界的に大きなイベントとして「パリオリンピック」や米国、ロシア、台湾、そしておそらく日本も国家のトップが入れ替わる可能性がある大きな国政選挙がある「選挙イヤー」となります。

面白いことに、100年前の1924年もパリで夏季オリンピックが開催され、アメリカでも第35回大統領選挙、日本でも第15回衆議院議員総選挙、そしてソビエト連邦の建国がありました。100年前には第一次世界大戦やスペイン風邪の流行が発生し、1920年代の経済は米国やヨーロッパでは戦後、そしてパンデミック後の経済成長が起こった「狂騒の20年代」「黄金の20年代」と呼ばれる時代だったようです。そしてこれをけん引したのはイノベーションであり、ラジオや自動車の普及、都市部での地下鉄や上下水道などのインフラ整備が進み、産業の発展と個人消費の拡大が進んだとのこと。当時は、1929年9月の世界恐慌発生までに米ダウ平均は約3.5倍 (年率14%成長)になったようです。

2020年代もイノベーションによる人類の発展を望みたいところです。2024年がポストコロナ2年目として、力強く世の中が成長し、そして皆様個人個人にも成長や幸福が訪れることを願います。

最後までお読みいただきありがとうございました!今年もよろしくお願いいたします!


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