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先端技術を広く訴求する際に気をつけるべきこと

先端技術を持っている企業が、そのメリットを一般のお客様向けにアピールする際に、ついつい「技術の詳細な説明をしてしまう」「技術の最新情報をふんだんに入れた内容にしてしまう」ということをやっていませんか?その道の専門家に話すならそれで正しいのですが、そうでない人たちにアピールするにはどう話せばいいのか?今回はそれを見ていきましょう。


まず肝に銘じておかなければならないのは、専門家でない人々は、あなたの技術的に詳しい話や正確な話を聞くことには興味がないということです。少しは興味を持っていたとしても、あなたの話を理解できるほどの予備知識を持った人はほとんどいない、と考えてください。

では、そのような人々に自社の先端技術をアピールするにはどうすればいいでしょうか?それには、以下に出てくる2点のポイントをなるべく平易な言葉で説明してみてください。

なぜ貴社なのか?
顧客メリットは何なのか?

なぜ貴社なのか?

これは先端技術の説明をする際に一番頭を捻って考えなければならないことです。新しい技術を開発したときに、なぜそれは貴社でないと提供できないのか (Why your company?) を顧客に伝える必要があります。

新しい技術を開発したと言っても、競合他社の技術も日進月歩で進化しており、似たような技術を開発している可能性があるので、日頃からリサーチをしっかり行い、競合他社との違いを明確にしつつ、自社にしかない特徴とともにコミュニケーションプランを組み立てます。

顧客メリットは何なのか?

技術を開発した技術者や製品担当者がよくやってしまいがちなのが、開発した技術の詳細や、技術の凄さを延々と語ってしまうことです。技術自体のことを良く説明したい気持ちはわかります。でも、それは聞く側からするとぶっちゃけどうでもいいことです。技術はなにかの目的を達成するための「手段」(How To)に過ぎないので、目的が達成できるのであれば何もこの技術でなくても構わないのです。

つまり、技術の詳細について知るよりも、この技術により何がメリットなのか、何を達成できるのか、ということを顧客は知りたいと思っています。技術自体については概要程度でほどほどに説明して、むしろこの技術により達成できることやメリット (Customer benefits)、具体的なユースケースについてたくさん説明して下さい。

これは今流行りの生成AIや量子コンピュータでも当てはまります。動く仕組みについては顧客もごく簡単な概要は興味があるかもしれませんが、少し掘り下げると、もう付いてこれなくなってしまいます。技術自体の説明は専門家同士であれば良いですが、そうでない場合は詳細な説明は求められない、ということを肝に銘じておきましょう。

そして、ユースケースや顧客メリットは、可能であれば技術者から語るよりも、実際に技術を使った顧客の口から語ってもらうと、より分かりやすく共感を得やすい形で伝わるので試してみてください。

ビジョンは?

前述の2つ「なぜ貴社なのか?」「顧客メリットは何なのか?」は説明の上で必須項目ですが、これらに加えてできれば「ビジョン」についても語っておくことをお勧めします。

ビジョンというのは、この技術開発を進めていくことで貴社では何を目指しているのか、という大きな見通しや将来構想を語ることです。先端技術については、それが凄い苦労で生み出されたものであっても、まだまだ実用に耐えなかったり、必要な技術全体のほんの一部分を構成するに過ぎない場合も多くあります。

そのため、単に先端技術自体に関連する説明や差別化、顧客メリットだけを知らされても、顧客は全体像や将来構想がわからないと、意義がうまく伝わらない確率が高くなってしまいます。研究開発を行う際は、いくつかの先端技術開発をまとめた、より大きな将来構想をあらかじめ「ビジョン」として練っておき、そのレベルで自社のポジショニングや差別化要素、顧客メリットのメッセージを練っておくことで、顧客からは理解や共感が得られやすくなります。

このように技術開発プロジェクトにおいても「なぜ貴社なのか?」「顧客メリットは何なのか?」「ビジョンは何か?」をしっかり練っておくことをお勧めします。これらは技術者にとっても必要な考え方です。考え方自体は、マーケッターがマーケティング・プロモーションで使う「ユニーク・セリング・プロポジション (USP)」の作成の考え方と似ています。

そして、この3つは、ただ作ればいいというわけではなく、顧客目線から見て合理性と整合性があり、共感を呼ぶものである必要があります。作成したものが顧客に響くかどうか、しっかり検証しながらアジャイルに軌道修正をして、整合性を取りながらどんどん良いものにしていく必要があります。

参考記事:

最後までお読みいただきありがとうございました!では、また!

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