見出し画像

【心の詩歌】短歌の韻律について考える その一 べくべから

まず一首読んでみましょう。


べくべからべくべかりべしべきべけれすずかけ並木来る鼓笛隊 永井陽子

『樟の木のうた』

私自身の読書体験によれば、どの本にどう載っていたというところまで思い出せませんがこの一首は韻律のすぐれた短歌として取り上げられることがあります。

私自身もそう思っています。
「べし」という古語の助動詞の活用が、おそらくは小太鼓の演奏のように聞こえるという一首ですが、前半部をすべて「べし」の活用で埋めていて面白い短歌です。「すずかけ並木」という言葉も、等間隔に配置された木々を思わせて、リズム的な感覚があります。

ただ、思うことがひとつあります。
この短歌は意味が薄い。
しばしば、意味と韻律は対立物ととらえられます。

ここから先は

258字
短めの読みやすい文章を、頻度多めでアップロードします。 こんな詩歌があるのか、とか、こんな考え方もあるのか、と思ってもらえればさいわいです。

心の詩歌

¥300 / 月 初月無料

詩や短歌に興味がある方向けです。詩歌の紹介・創作論・哲学・社会問題などが中心です。更新頻度は月六回以上。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?