見出し画像

4月に作ったクラフトドリンクまとめ

もうすぐ5月が終わろうとしていますが、少し時を遡り4月に作ったクラフトドリンク(シロップ)の振り返りをしたいと思います。

4月に作ったシロップはこちらの4種です。
①ストロベリーシロップ
②キウイレモネードシロップ
③サンセットシロップ
④さくらシロップ


①ストロベリーシロップ

旬の春イチゴにグリーンカルダモン、フェンネルを合わせたシロップです。グリーンカルダモン、フェンネルともにシードを使用し、酸味としてレモン果汁を加えています。

グリーンカルダモンは酸味を引き立たせるような爽やかな香り、フェンネルも爽やかな香りがありますが、どちらかというと丸みがあり、甘みを引き立てるような香りを持っています。苺の甘み、酸味との相性を考え、この2点を組み合わせました。味わいの主役はイチゴにしたかったので、グリーンカルダモン、フェンネルは少量にし、イチゴの味わいの奥にほのかに香る程度です。

飲み方は、ソーダ割り、アイスティー割りの2種で。ソーダ割りは、特に甘さを感じます。アイスティー割りは、アイスティーの渋みとイチゴの香り、甘さのバランスが良いです。

3月に作ったストロベリーシロップとの違い

3月もイチゴのドリンクを作りましたが、以前はシナモン、オーススパイス、クローブを加えたスパイシーなドリンクでした。どのスパイスもパウダーで加え、まとまりのある香りに仕上げました。3月は、まだ気温が低い時期もあったため、爽やかさを強調するのではなく、芳醇なスパイシーな香りに寄せました。そして、飲み方はソーダ割りとミルク割りの2種で。ミルク割りは特に加えたスパイスとの相性が良く、ミルク特有の香りをマスキングしてくれます。

②キウイレモネードシロップ

グリーンキウイとレモン、ライムリーフを合わせたシロップです。出回る時期は短かったのですが、愛媛県産のキウイを見つけたので作ってみました。私が購入したキウイは小ぶりで、熟れ具合の差かもしれませんが、輸入物より実が柔らかく、酸味が穏やかな印象でした。食べやすく美味しいです。

酸味が穏やかなキウイだったので、味のメリハリをつけるためにレモン果汁を加えました。レモンの皮まで加えるとキウイの香りが負けそうだったので、レモンの皮は加えず、代わりにキウイの香りを引き立たせるためにドライライムリーフを加えました。少しトロピカル感を出したかったのと、青い香りを引き立たせるためです。

レモン系シロップは浅煎りアイスコーヒーとも相性がいい

いい具合に青い香りが加わったレモネードに仕上がりました。ソーダ割りで仕上げにスペアミントをたっぷり加えると、爽やかで美味しいです。アイスティー割りは、青い香りが弱まりますが、爽やかなレモンティーになり、これも美味しいドリンク。ちなみに、柑橘系フレーバーの浅煎りアイスコーヒーと合わせても新しい味わいで美味しいです。浅煎りのアイスコーヒーの酸味がいい具合にシロップの美味しさを引き立てて、香りの相乗効果もあり良いです。


③サンセットシロップ

不知火とクローブ、国産紅茶を合わせたシロップです。このシロップのみ、抽象的なネーミングをつけました。素材の名前を伝えただけで味がイメージしやすい場合は、ストレートに素材の名前を入れるのですが、素材を聞いても味が想像しにくいものに関しては、味から受け取る印象をもとに抽象的な名前をつけています。

不知火(しらぬい)は、3〜4月ごろに旬を迎える柑橘で、清見とポンカンを掛け合わせた品種です。酸味が控えめで、甘さと果汁の多さが特徴的。個人的に色や味わいや香りのみで言うと「大きなみかん」といった印象で、どなたでも食べやすく美味しい品種です。

その不知火に、クローブと国産紅茶を合わせました。クローブは、爽やかなスパイシーな香りのほかに、甘い香りもあり、オレンジと合わせることで有名なスパイスです。紅茶との相性も良いので、不知火、クローブ、国産紅茶は、まとまりのある香りになります。

国産の紅茶は、実家からほど近い京都府北部の道の駅で購入したもの。京丹波の在来種とされている<さらびき茶>を加工して作られた紅茶を使用しました。最近、国産の紅茶が増えている印象がありますが、緑茶と同様に品種や加工方法、生産者さんによって味わいは全く異なります。今回使用した国産紅茶は、ずっしりとしながらもキレのある渋み、程よい紅茶の発酵香を感じる紅茶でした。

シロップを作る時点で紅茶の茶葉を入れたのは、この紅茶特有の香りと旨みを加えたシロップを作ってみたいという好奇心からです。お湯で淹れて飲む味わいとは異なり、紅茶の香りをエッセンスとして楽しむシロップにしました。

香りの印象とネーミングについて

完成したシロップの味わいは、はじめにクローブのスパイシーで甘い香り、後からほのかにオレンジの味わいがきて、最後は紅茶の香りと旨み、クローブの香りも微かに残りました。時系列で書いてみましたが、香りの変化は早いので、直感的な感覚でまとめると、クローブのスパイシーで甘い香り、紅茶の発酵香が鼻腔にポワ〜っとあり、その裏でオレンジの味わいが微かに感じる。といった感覚です。この感覚が、まだ温かさが残る砂浜に座り、ぼーっと沈む夕陽を眺める感覚と似ていたので、<サンセット>と名付けました。

色味も赤みのあるオレンジ色なので、ソーダ割りにし、輪切りのレモンを加えると、よりサンセットらしさがあります。

④さくらシロップ

八重桜の花びらとレモンを合わせたシロップです。食用の八重桜を見つけたので好奇心から作りました。鮮やかなピンク色に仕上がっていますが、着色料は一切使用していません。桜の花びらには、アントシアニンが含まれており、この成分に酸を加えると鮮やかなピンクになります。最近、知名度が上がっているバタフライピーティーにレモン果汁を加えると、紫色がピンク色になる仕組みも同じです。正直なところ、ここまで鮮やかになるとは思っておらず、シロップを作りながらその色の変化に感動しました。この色味を活かすために、氷砂糖のみで甘みを加えています。

桜の香りですが、一般的に<桜の香り>と認識されているものは、クマリン(クマリン配糖体)という成分なのですが、塩漬けや干すといった加工を施すことで、クマリン配糖体が分解され、<桜の香り>が発生します。
※クマリンについては、後ほど補足をまとめています。

今回、シロップを作るにあたって塩漬けや干すといった加工を行なっていないため、皆さんが想定しているような桜っぽい香りは、ほぼありません。ただ、桜の花びら特有であろう僅かな清涼感のある花びらの香りはありました。レモンは果汁のみ控えめに加えているので、桜の花びらの鮮やかな色と、微かな花びらの香りを味わう軽めの味わいのシロップに仕上がりました。

<後日談>
こちらのさくらシロップですが、軽い味わいのシロップなので、完成後に「スパイスを加えてアクセントをつけるとしたら何か」を考えてみました。実際に組み合わせの検証も行った上で、個人的にはセイロンシナモンが良いという結論に至りました。重要視したポイントは、「和の印象を強調したい」という点です。

セイロンシナモンは、京都の銘菓八ツ橋と近しい香りを持っており、さらにクマリンも含んでいます。その乾燥されたセイロンシナモンを少量合わせてシロップを作ることで、さらに<和>の印象を加えることができました。

セイロンシナモン、カシア、ニッキの違い

余談ですが、いわゆるシナモンと括られる、もしくは似たものとして扱われるスパイスについて説明をします。よく取り上げられるのは、セイロンシナモン、カシア、ニッキの3種です。どれも、似た香りを持っていますが、産地が異なり香りも絶妙に異なります。

セイロンシナモン:
よく、お菓子作りや紅茶に使用されるシナモンです。主にスリサンカで生産されています。スパイシーな香りの中にオレンジのようなフルーティーな香りも潜んでおり、比較的繊細な香りの印象です。

カシア:
主に中国、ベトナムなどで生産されています。カシアも「シナモン」として認識ができる香りですが、セイロンシナモンと異なるのは、力強い香りで、フルーティーさが弱いところです。スパイシーでよりオリエンタルな香りがあります。また、セイロンシナモンと比べるとカシアの方がクマリンの濃度が200倍高いとされています。

参考資料:東京都保健医療局「シナモン含有食品中のクマリンについて」https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/hyouka/files/20hyouka2-siryo2-3.pdf

ニッキ:
和菓子で使用されているスパイスです。主に日本で生産されています。皆さんが想像しやすいのは、八ツ橋の味だと思います。(ニッキは安易に入手ができないため、近年の八ツ橋はニッキではなくカシアやシナモンの場合もあるそうですが)セイロンシナモン、カシアが樹皮なのに対して、ニッキは根の皮です。そのため、辛味を想起させるようなシャープな香りも持ち合わせている印象です。

セイロンシナモン、カシアはネットでも入手しやすいスパイスです。ご興味のある方はぜひ、香りや味を比較してみてください。別の機会にシナモンやカシアの日常使いについてまとめたいと思います。

クマリンに関する補足

クマリンは、セイロンシナモン、カシアに含まれる成分として知られていますが、先ほど記述した参考資料にもある通り、「シナモン(クマリン)の過剰摂取は健康リスクを否定できない」と言われています。この調査報告が出た経緯としては、シナモンのサプリメントが流通し始めたことがきっかけです。そのため、危惧されているのは一定量以上のシナモンを長期に渡り摂取し続けることであり、チャイを飲む、シナモン味のスイーツをおやつに食べる、カレーを食べるなど、日常レベルの摂取は問題ないとされています。

具体的な摂取量もこちらの資料に記載されているので、気になる方はご覧ください。

参考資料:東京都保健医療局「シナモン含有食品中のクマリンについて」https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/hyouka/files/20hyouka2-siryo2-3.pdf

営業情報

5月は、苺と薔薇を合わせたシロップのほかに、さまざまな種類の柑橘を使ったシロップなど複数作っています。今回の記事のように、また改めてまとめます。

私が作るシロップ(クラフトドリンク)は、間借り営業をしているカフェでお召し上がりいただけます。「わのたより」という屋号で、都内世田谷代田の静かな住宅街の中にあるカフェです。主に第2,4土曜日の昼〜夕に営業しており、野菜たっぷりのカレープレートや焼き立て米粉ワッフルなど、フードメニューも販売しています。お気軽にお越しください!

営業日

毎月第2,4土曜
次回→5月25日(土)
ランチ:12:00〜15:00(L.O.14:00)
カフェ:15:00〜18:00(L.O.17:00)
※営業日は、月によって異なる場合があります。詳細は下記のSNSでご覧ください。

場所

東京都世田谷区代田1丁目33−15
ナワシロスタンド
世田谷代田駅から徒歩約10分

SNS

こちらのアカウントで営業情報をお知らせしています。

Instagram:
https://www.instagram.com/wanotayori/
ID:@wanotayori

thread:
https://www.threads.net/@wanotayori
ID:@wanotayori


いただいたサポートで新しいスパイスを購入します🍛