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緩和してもいいもの悪いもの

先週あたりから「行動制限緩和」という用語が報じられている。新型コロナウィルスのワクチン接種や検査で陰性が確認されることを条件に、主に次のような行動について緩和していくということらしい。
飲食店:酒類提供、営業時間、人数制限の緩和
イベント:人数制限などの緩和
人の移動(旅行):県をまたぐ移動の制限緩和、観光振興策
学校:部活動、課外活動原則可能

まだ、詳細が決まっていないが、これにより「元に戻る」といった認識が広まらないか懸念している。

国内では、2回目のワクチン接種を終了した人数が総人口の50%を超え、ウィルスに対する免疫を持つ人が増えていることは確かだ。しかし、不確定要素もあって、主に①時間の経過とともにワクチンの効果が弱まる、②ワクチンが効かない変異株の発生が挙げられている。

それに加えて懸念するのは、ワクチン接種の効果に関する誤解が広まることだ。TVの街頭インタビューで「ワクチンを打ったから大丈夫」とコメントしている人を見かける。医者でない自分が言うのもなんだが、ワクチンは感染しても「発症」や「重症化」を防ぐ効果は期待できても、「感染防止」の効果はない。この辺りを誤解している人が多いように思う。

特に「感染防止」の効果があると誤解していると、行動制限緩和後に感染が拡大するリスクが高まることを懸念する。ワクチン接種により免疫を確保した人が、新型コロナウィルスに感染したが発症していないケースを想定する。感染はしているものの発症していないので、ウィルスを保持したまま行動することになるだろう。当然、自分がウィルスを持っている自覚はない。その結果、行動した先で接触した人に、何らかの理由でワクチン接種をしていない人、ワクチンの効果が弱まった人がいると、その人たちに感染させ発症してしまうリスクがある。ウィルスの「運び屋」になってしまうのだ。

繰り返すが、ワクチン接種は「感染予防」の効果はない。感染を予防したければ、昨年来延々とやっている「手洗い・消毒」「マスク」「三密(密閉・密集・密接)回避」は、飽きたとしても続けなければならない。

従来型のコロナウィルスは「風邪」を引き起こす原因の一つであったが、命を落とす危険性は低かったので、感染予防がルーズなために感染・発症しても、適切な治療・休養をとれば治ってきた。しかし、新型コロナウィルスはリスクがけた違いに大きいので、感染・発症は大きな危険を伴う。将来、効果的な治療薬が開発される可能性もあろうが、現時点では感染予防を徹底することが重要だ。

行動制限緩和は、経済活動を継続するために必要な判断かもしれない。その一方で緩和できないこともあることを認識し、行動する必要がある。我が家も消毒液、石鹸、マスクの在庫が尽きないように気を付けよう。

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