今年の梅雨の悶々
どうしたらよかったのか今でも分からない。
ただ悶々としている。
好きな人と散歩をした。
散歩しましょうなんてこちらから言ったけどただ隣を歩けていることが、話ができていることがうれしくてたまらなく、景色なんて見ちゃいなかった。
たまに向こうが「うわ、すげ」とか言って何もない空き地を見るもんだからその時々で「あ、そうだこれ散歩だったんだわ」って私も景色をみてるフリした。
住宅とビルだけ。特に何もない、道路の広い都会の街。
横並びでしゃべってるときにどのタイミングで顔を見るかって難しくない?
目が合っても恥ずかしい。目が合わないと盗み見みたいでちょっと嬉し申し訳ない。
ふっと盗み見になった時、マスクの紐が片方切れていることに気づいた。
私も出先でそうなったことあるから分かる。その時はなんとか角に固結びくくりつけてやりすごした。
ふいっと、見なかったフリをした。
ずずずずーーーっと、もうただの薄苦い水になってるよくわかんない飲み物を吸い込みながらそのことについて考えている。
悶々はそこから来ているのだ。あの時、そっと手を出してマスクを取って、何も言わずに角っこくくりつけて渡してあげたほうがよかったのだろうか。
できることならそうしてあげたかった。
けど、なあ。紐切れちゃったマスクをそのまま「これバレないかな」ってそのまま付けてるの私だったら恥ずかしい。お願いだから気づかないでくれって思う。
だから、何もしなくて良かったのかもしれない。下手に結んで返して相手の恥ずかしいところにザラっと触れるより。バレたよ、ってちょっとやな気持ちだけど一応ありがとうを返さなきゃって気持ちで放った義理ありがとうを、私ちょっといいことしたなって何も考えずに素直に受け取るより。
でも。
わかんねぇよ~。一度自分の結んだ経験あるなら、それ教えてあげてもよかったじゃんなぁ。心からのありがとうの気持ちになったかもしれないからなぁ。
冷房がきつい。外に出なければ。
あーあ、雨。傘を忘れず。
マスクつけようとしたら、まんまと、切れた。
じっと見つめる。
角を結ばずに、街にでてみる。
アイスを買います