私なりのアイスブレイク
アイスブレイクとは、なにもかしこまった場だけの話ではない。
どうしようもなく人見知りしてしまう私のためのその場をしのぐ切り札だ。
大学生の頃、私は天文研究会というサークルに所属していた。主な活動内容は星を見にいくこと。おのおのカメラにおさめたり、望遠鏡でのぞいたり。私はもっぱらただじっとブルーシートの上で寝転がって星の名前を覚え、星よ流れてくれないものかとぼーっとするのが好きだった。
星を見にいくにあたって車移動は欠かせない。先輩も後輩もごちゃ混ぜで何台かの車に分かれ、街灯や木など視界を妨げるもののない山の上の方に出かけていく。
当たり前だが、時が流れると私はサークルの一番上の学年になった。新歓で新1年生を星を見に連れて行くことになる。私は考えた。狭い閉ざされた車内でどんな話をしよう。自己紹介なんてものの数分で終わる。そこから話を広げるトークスキルなど持ち合わせていない。このまま挑むのは、
ムリダ。
車を運転しながら、できるだけ私の手を離れてみんなが話したくなるアイスブレイクはないかネットで探した。ルールが複雑なものは、私が最初切り出して説明するところまでがしんどかった。私も気分よくいたい。
ならば、
「私の好きなお菓子ベスト3はなんでしょう」
これが私の考えついた切り札だった。どうせ話すなら私が好きなものの話がいい。ほんとしょうもないけど、これが案外いい仕事をした。
まず、難しいルールがない。みんなが参加しやすい。出題者の私は ”はい” か ”いいえ” だけでいい。第3位から当てていくからすぐ終わらない。車のメンバー全員で出題者を回せる。好きなお菓子が分かればその後のイベントで使う買い出しのお菓子を迷わない。また盛り上がる。
特殊なこの空間だったからこそ成立したアイスブレイクかもしれないが、当時の私はこの投げかけがことさらお気に入りだった。
あとから考えると、みんなのことも知りたいけどまずは ”私を知って” と押し付けているようで微妙に痛い気がする。当時はそのくらいの勢いでちょうどよかったのかもしれない。
あまり接点のない少人数グループで場をもたせなければならない時、よければぜひ使ってみてほしい。
最後に、私の好きなお菓子ベスト3を
ルマンド
じゃがりこ
バームロール
考えるときは ”チョコレート” とかではなく商品名。なるべく具体的だと正解した時にいっそう盛り上がるのでぜひ。わたしはブルボン推し。