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梅雨と夏の間

うだる暑さが雲の向こうから顔を覗かせている。いつもよりも長く居座った梅雨を押しのけて、夏がやってくる。横断歩道を渡っているときにふと顔をあげると、空を写真に取っている人がいた。つられて同じ方向に目をやると雨上がりの空に虹がかかっていた。

「虹なんて久しぶりに見た」

そう言って2人とも同じ空にカメラを向ける。都会の空じゃ虹が見えても一部だけかぁと少し残念な気がするけど、それでも虹を見れただけでラッキーな気分になれる。

特にあてもなく近くのお店を何件か周り、そのまま帰ろうかと思っている途中、不忍池の蓮の花が咲いているのが見えたので寄り道を決意する。公園に近づくと同じように花につられてやってきた人達が思い思いに写真を撮っている。ここで撮りたいと思うスポットでカップルが写真を撮っている途中だったので勝手に待っていると、おじさんが1人でカップルを気にするそぶりを全く見せずその隣を陣取り写真を撮り始めた。

「うーん、この図々しさは俺に足りないな」

などと考えていると、すぐにカップルもおじさんもいなくなった。

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