読書感想文: The Luck Factor
これはすごい本です。
「運がいい人」「運が悪い人」のリアルラックには実は差がなくて、運がいい人は運が良くなるようなマインドセットや行いをしているし、運が悪い人はそれに反したマインドセットや行いをしていることを、長年の調査と心理学的な実験から割り出して法則を導き出した本です。
英語。
日本語バージョンあります。
リアルラックでは差は出ない
まず初めにTV番組を使って実験をしてみたそうなんです。運がいい人、悪い人、普通の人を集め、実際に宝くじを買ってみて当選確率を確認したところ、差は出なかったそうなんですね。
では運の良し悪しに関する認識は心理的なものではないかということで調査を開始されたんだそうです。
いくつか心に残っていることを書き留めさせてください。
予言の自己成就
悲観的な人は「自分が運が悪いからこうなるに違いない」と思い、運の悪さを裏付けるような行動をしてしまうのだそうです。
例えば運が悪いからこれに応募してもダメに違いないと諦める、そもそもトライしない、とか。
「予言の自己成就」についてはこちら。
引用しておきますね。
実際に心不全による死亡率まで変わってしまうそうなんです。
アメリカでの調査によると、アメリカに住んでいる中国人と日本人の毎月4日の死亡率が、他の日と比べて7%高いんだそうです。
面白かったんで元の論文探してみました。
グラフがあるのでみていただくと、見事に毎月4日に件数が増えることがわかります。
この論文では、「4」という数字にまつわるイメージにより、心理的なストレスが増えて結果として心不全になっているのではという結論になってます。
ストレスの高さと注意力
この動画ご覧になったことありますか?
Selective Attentionというのは選択的注意と訳すのですが、我々は意識的無意識的に、周囲の情報から自分が必要な情報を取捨選択しています。
選択的注意に関する説明のページはこちら。
『ドラえもんを本気でつくる』によるとこれにより人の脳はリソースの集中による最適化のメリットが得られるそうです。
運の良し悪しの観点からは、運の悪い人は常にストレスを感じているため、選択的注意が常に作動している状態という実験結果が出ています。
運の悪い人は自分にメリットのある状況に気が付きにくい状態といえます。
逆に運のいい人はリラックスしているので、様々なことに気が付きやすいといえます。
運のいい人は悪いことが起こったときにもポジティブに考えることができる
運のいい人は悪いことが起こったときに、よりひどい状況になり得たのに、これですんで良かった!とか、よりよい状況になった!と考えることができるマインドセットを持っています。
例えば迷った末で買わなかったお洋服を、やっぱり欲しくなって買いに行くと既になくなっていた。運の悪い人は「なんてついてないんだ」と嘆きますが、運がいい人はめげずに探し、もっとお気に入りのお洋服を見つけて「むしろなくなってたからこのお洋服に会えたので、運が良かったんだ!」と考えるとか。
大きな怪我をしたときに運の悪い人は「大きな怪我をするなんてついてない」と思うが、運のいい人は「死ぬ可能性があったのに死ななくて本当にラッキーだった」と考えるなど。
「運がいい」は作れる!
さらにこの本のいいところは、運が良い、悪いと思う方々の調査の傾向から、自分を分析し、具体的に運がいい人のマインドセットや行動をなぞるための方法をワークシートとして提供しているところです。
可愛いは作れると言いますが、運がいいも作れる!ということです。
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