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理学療法士に本当に必要なコト

理学療法士に本当に必要なコトってなんだろう。臨床3年目を目前にした理学療法士が考える理学療法士(以下PT)に必要なこと。

「理学療法士に必要なことはなんですか」と聞いて真っ先に言われるのが
「技術」「知識」の2つだと思う。

間違いない。ド正論。
技術も知識も患者さんの治療にあたる上で絶対になくてはならない。そもそも、技術も知識も一定水準以上なければPTになることさえできない。その上で技術と知識はもちろん必須と言える。

けれど「技術」も「知識」も経験には勝てません。1年目のPTが3年目や5年目のPTの様に結果を出すのは難しいでしょう。踏んできた場数も違えば、臨床で蓄積された経験が圧倒的に違うからです。しかし、逆に言えば年数を積むことで「技術」も「知識」もどうにかなるはずだと考えられます。(もちろん、努力は必要)
なので若手のうちは圧倒的経験を持った諸先輩方をうまく利用し、技を盗み、知識を引き出すことが大事だとおもうわけです。

そこで今回は特に若手PTのうちに身につけておきたい3つのことを中心に書いていきたいとおもいます。

コミュニケーション力

まずはコミュニケーション能力が必須です。これも前述の質問で比較的多く回答があるとおもいます。ぼくはPTをする上で、これが全てと言っても過言ではないとおもうくらい重要なスキルです。
まず、この仕事は「対人」の仕事です。その対象として患者さんやドクター、コメディカルスタッフなどが主でしょう。

特に患者さんとの関わりはリハビリを円滑に進める上で大切です。
良好な関係を構築する上で大事なのは「その人を知ろうとすること」だと考えています。コミュニケーションは言葉だけではありません。非言語コミュニケーションなどもあるので、喋りの上手さなどは関係ありません。口下手でもその人を知ろうとすれば、必ず患者さんは応えてくれます。患者さんのバックグラウンドや今の生活のことなど、なんでもいいのでまずは興味を持ち、知ろうとする姿勢を持つことが大切です。
しかし、ここで注意して欲しいのが、なんでも知ろうとすれば言い訳ではありません。話したくないことがある人もいます。事前にカルテや他職種から情報収集をしておきましょう。

最後にぼく自身が大切にしている関わり方のひとつをご紹介します。
ぼくは「楽しんで参加してもらう」ということをテーマにしています。「楽しい」という感情や「できた」という達成感をどう味わってもらうか、その上で治療効果を最大限に引き出せるようなプログラムを考えています。
患者さんが楽しみながら積極的に参加することでリハビリへの意欲に繋がり、早期退院を目指す事ができます。

言語化する力

次に言語化です。ぼくたち医療職は専門用語をよく使います。養成校でも専門用語を叩き込まれていると思います。関節の名前や筋肉の名前、関節の運動方向や筋肉の作用など、多くのことを学んできました。しかし患者さんには専門用語は基本的に通じません。患者さんは医療者ではないので当たり前です。
そこで大事なのが言語化能力です。ひとつの動作をどのように表現するのか、またその動作に対して自分はどのくらい表現のパターンがあるのか、どれくらいわかりやすく、伝わる言葉で表現できるかが大事です。
例えば、歩行周期のICからMstまでを言葉で表現してみるとします。

例1)
踵を最初につけて、その後足の裏を地面につけます。足の裏が全部ついたら足首の真上におへそが来るように身体を前へ運んでください。
例2)
しっかりとつま先をあげて踵から着地しましょう。そのあとは足首の上に身体全体を移動させてくるようなイメージです。

いかがでしょうか?なんとなくイメージが湧くでしょうか?正直ぼく自身もこの言語化能力に関してはまだまだ突き詰めないとなと思っています。動作を言葉に起こすコツとして、まず自分でやってみましょう。自分でやることでわかることや表現の幅が広がることも考えられます。
動作を伝える方法として言語化だけでなく、やって見せる模倣もあるので適宜必要に応じて選択するといいと思います。

最後にこの言語化能力は患者さんの歩行分析を行う際にも非常に役に立ちます。患者さんの歩行を自分で模倣し、自分の身体で言語化をしてみましょう。患者さんの歩行についての理解が深まり、問題点のブラッシュアップに繋がるかもしれません。

考える力

なんだかんだここに帰結する気がしますが、考える力についてです。PTだけに限りませんがこの考える力はマジで大事です。PT的な観点から言うと、評価結果からこの人の問題点は何なのか考えたり、自宅退院のためには何が必要なのかを考えたりと、そのプロセスを鍛えることが大切です。
上述した「コミュニケーション力」も「言語化する力」も考えることでそこへの理解は深まっていきます。「コミュニケーションが上手くいかない原因」や、「なぜ言葉で伝わらなかったのか」を考えることが、PTとしての成長や人としての成長を促してくれます。
考えた結果うまくいかないことももちろんあります。上手くいかない原因として「因果関係がおかしい」、もしくは「考えるプロセスがおかしい」のどちらかに分類できると思います。上手くいくまで考え直してみてください。

最後に

PTという仕事は人を相手にしています。色んな方と関わる中で気付かされること、身につまされる事が本当に多いです。技術的なものだけではどうにもならない時もあります。そんな時は自分という人間を見つめ直してみてください。PTとして、人としてどうあるべきか、考えることが人として成長するきっかけになると思います。皆さんの臨床が人生に良い影響をもたらすと願っています。

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