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現役大学生が取材!愛犬と過ごせる介護施設の舞台裏

愛犬と最期まで一緒に暮らしたいーー。
そんな高齢者の要望に都内で唯一応えてくれるのが、杉並区にある介護施設(サ高住)「ハートランド・エミシア久我山」です。

ご入居者の生活サポートに加えて、ドックランやトリミング室、お散歩帰りのわんちゃんの足洗い場など等の愛犬専用設備もあり、愛犬のお世話も全て専門家(ペットシッター)がしてくれます。

入居者が愛犬より先に最期を迎えた場合も、愛犬のお世話を最期まで施設が面倒見てくれるという今までにないコンセプトが反響を呼んでおり、全国各地から問い合わせがきているようです。

今回は大学3年生の高橋さんが、そんな話題の施設を立ち上げた山崎保社長に話を伺いました。

この施設で育った「豆柴の副施設長」もお出迎えしてくれます。

どうして愛犬に着目した施設を始めることになったのですか?

山崎社長:お年寄りで犬や猫を飼っている方々は、ご入居時に本当は手放したくないのに手放さないといけない現状があります。もともと弊社には、ご入居を検討されている方から犬や猫と一緒に入居できないかという相談が多くありました。ハートランド・エミシア久我山には、資料請求をする方が全国にいて、退去待ちの方もいらっしゃいます。

ほとんどの場合、飼い主であるご入居者が飼い主が面倒を見切れないため、娘さんや息子さんが面倒を見なければなりません。一方で、子供や孫の世話もあるため余裕がないという背景もあります。その結果、保健所に連れていかれたりしてしまいます。

その子達も受け入れられるようにペットホテルやペット入居可能な介護施設に話を聞くなどし、(愛犬とご入居者の同時入居)受け入れ体制を整えました。

介護のイメージは3Kなどと言われたり、正直ネガティブな印象でした。
愛犬と過ごせる施設があるとは常識が覆されました

山崎社長:昔の介護はとても人間的だったと思います。コンプライアンスとか法的なマニュアルがない、自由度の高い介護でした。

「餅が食いたい」って言ったおじいちゃんに対して、僕は「詰まるからダメだよ」と言ったんだけれど、介護スタッフのおばちゃんが掃除機持って出てきて、「あんた何言ってんの食べたいって言ってんなら食べさせなさい」「唇が紫になるからそしたら背中叩けばいいのよ」って言われたくらい。今では考えられないよね。笑

リーマンショック後に派遣切りというものがありました。職を失った一般企業のビジネスマインドを持っている人たちが介護業界に流れてきて、クレーム対応ばかりになり、制約だらけになってしまったように思います。時代の変化とともにそのようなクレームの対応や行政の指導が入ったりしながらどんどんこれやっちゃダメあれやっちゃダメってなんもできなくなっちゃったんだよね。だから、昔やってたことをまたやろうとしているだけなんです。

現在の職員は50代から60代が多く、リーマンショック後から働いている頼れるスタッフがたくさんいますが当然、高齢化しています。そこで、若い人にも関心を持ってもらえるように2年前くらいから様々な取り組みを始めました。今回の施設コンセプトは、そうした狙いもあります。若い人は会社がどんなところか、会社の文化、新しいことに挑戦してくれるそんな人材をもっと積極的に受け入れていきたいと思っています。

入居者の要望に答えるだけでなく、施設経営のための将来性も考えたモデルなのですね。

普通に介護施設を運営してても、石投げれば老人ホームに当たるような時代では、魅力的に思えません。この施設はその取り組みの一環として普通ではない取り組みをやれたらな、という思いから(愛犬と過ごせる介護施設を)始めました。

副施設長と戯れる山崎社長 その1

山崎社長:ペットも一緒に入居できる介護施設は多くあります。一方で、介護スタッフの負担は大きく、退職してしまうケースもあることを知りました。わんちゃんのお世話とご入居者の介護となると仕事量が二倍になってしまいます。

介護スタッフの過労という課題を解決するためにペットホテル、老犬ホームのオーナーに聞き回ったところ、ペットシッターの存在を知りました。ご入居者には介護スタッフが、わんちゃんのお世話はペットシッターに任せることを決めました。

ペットシッターのお姉さんにトリミング室で綺麗にしてもらってます

山崎社長:ご入居者が先に亡くなってしまった場合、娘さん息子さんが引き取れなかったら保健所に連れて行かれてしまうかもしれません。そこで、わんちゃんも最期まで面倒見れるようにしないとなと思いました。

現在、他の施設も併せて職員が500人います。職員でもし、里親になりたい人がいるなら里親手当として5000円出すことを決めました。

賃金規定の関係で労働基準監督署に出さないといけないなど手続きがあり、前例がない取り組みだったようで、「なんですかこれ」と言われましたが、里親手当として認めてもらいましたよ笑

副施設長と戯れる山崎社長 その2

お部屋の構成はどのようになっていますか?

山崎社長:現在21部屋あり、当初は全て愛犬との入居可能な部屋にするという想定でやろうとしていましたが、ご入居者は想定よりも要介護度が低い元気な方々が多く入居されました。
このまま21部屋全てを元気な方々が入居すると介護報酬の観点からコストと見合わなくなってしまう。また、ペットシッター1人でお世話できるワンちゃんは10頭が限界ということもあり、1階はワンちゃんと入居出来る部屋。そして2階はホスピス患者という医療依存度の高い方々に入居してもらうことでバランスを取ることに成功しています。

現在はどんな方がスケッターに来ていますか?

山崎社長:若い方から50代くらいまでの方にお手伝いしてもらっています。来てもらい(介護施設内を)見てもらうことで地域の人に知ってもらうという良さがあります。

心の準備があるでしょうから、お菓子と飲み物で落ち着いてからお手伝いに参加してもらうようにしていて、スケッターにはレクリエーションがマンネリ化してしまうところを音楽など得意なスキルを披露してもらっています。

ホスピスの入所者のところにもスケッターに来てもらって個別に演奏してもらったり、ご入居されているみなさんが平等に楽しんでもらえたらと思っています。

記者の編集後記(感想まとめ)
私はこれまで介護現場を見させていただいたり、お話を聞くことが少なかったので愛犬と過ごせる介護施設があることを知った時は衝撃的でした。

介護というと課題が多く、苦しい業界であると一括りにしてしまっていました。時代と共に変化してしまった介護ですが、本来あるべき介護の姿を知る山崎社長の思いがひしひしと伝わってくる取材でした。

「ハートランド・エミシア久我山」のスケッター案件はこちらから!




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