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タイラーF衣装のあれこれ

お読みいただきありがとうございます。舞台役者の松浦早希と申します。

『タイラーForever』を振り返るシリーズ第三弾!!

今回のカンパニーのみんなはそれぞれ次の現場へと羽ばたき出している頃ですが、私は衣装やら小道具やらの後片付けがようやく落ち着いた具合で、ようやく振り返り始められています。

例の如く遅いスタートというか、引きずるタイプというか‥‥。遅過ぎて振り返りがお蔵入りになることもしばしば。

最近はnoteがあるのでだいぶアウトプット出来るようにはなりました。

本番中に共演者と撮った写真もInstagramで公開しようと試みてはいるのですが、今更って思われるかななんて考え過ぎて、公開に至っていません(笑)

聞こえが悪いかも知れませんが‥‥本気になると疲れるので、適度に手を抜きつつ裏方面でも参加しているのですが、つい頼まれてもいないのに本気になってしまうのが今回も衣装でした。

ガールズハイパーの衣装は比較的担当させていただくことが多く、より視覚的に楽しめるよう今までも工夫してきました。今回は自分の名前での衣装参加ではなかったのですが、過去のタイラーシリーズ全て衣装を担当していたので、初期のデザイナーさんのイズムを受け継ぎつつ、歴代の演出家さんのご意向を哲学として残しつつ、ある種の使命感でついつい出しゃばっていました。


まずはオリジナルキャラはある程度の形式があります。タイラーにもガウンが3色あるのですが、やる役者さんによって選ばれる色が違うのもとても面白いところ。今回は赤みのあるものを選んでくださったので全体に暖かみも増し、連合宇宙軍カラーとも引き合い、結果的に「テキトーさ」も「主役らしさ」も表現できていたように思います。

アザリンのドレスは初演の頃から青に統一しています。朝倉薫演劇団に受け継がれた貴重な衣装の中の二着で、ストーリーにも時代背景にもアザリンの性格にも、歴代のタイラーシリーズ(小説、アニメ他)にも通じるようなデザインになっています。



今回のアザリン役のお二人もそれぞれ、役作り通りのイメージ通りのデザインだったようで、美しく着こなして下さいました。休暇中の白ドレスもとても似合っていて、視覚的に2倍楽しめました。アザリン=青というイメージでしたが、白もいいなと新たな発見でした。出演者にお貸しいただいたペンダントもとても映えていてとても感謝しています。


映画版タイラーの主役レオンは、ツブラー監督がどんな映画を撮るのかも視野に入れながら検討しました。そして、一番はレオン役の原さんが一番輝くものにしたいと考えていました。結果的に劇団の衣装にご本人好みのシャツがあって本当によかったです。映画の撮影シーンがほとんどですが、ラストの試写会シーンで衣装替え出来たのでこちらも視覚的に楽しめたのではないかと思います。


映画版アザリン役のニーナは露出度が高い衣装でしたが、役者さんご本人のスタイルが抜群ゆえに全くいやらしくならず、「本物より豪華な」(タイラーの台詞より)衣装となりました。いくつか候補を用意させていただいたのですが、あの衣装を選ばれたのは正直意外でした。結果的にキラキラで舞台映えもして、スタイルも際立ち、小説版やアニメ版のアザリンを思わせるデザインだったなと思います。

アザリンのお手伝いロボットロビンは初演からのオリジナル衣装でお届けしました。アクセサリーは演者さんが役作りでイメージを広げてご用意くださいました。ロビンが演じたミサンドリもオリジナル衣装です。ロビンが急にミサンドリの衣装に着替えて現れて、みんながうわーっと驚くシーンは裏で聞いていてちょっと嬉しくなりました。

今回のお騒がせキャラ徳川金時君は、タイラートライアングルからの登場キャラクター。とにかく派手に!金運の強そうなゴールドと黄色をベースに探していました。そして、役者さんの美脚をどうにか際立たせたく、徳川金時初のショートパンツでお願いしました。

試写会シーンのスパンコールの燕尾服も宝塚トップスターのような羽根も、本当にお似合いでした。稽古の最中は見るだけで笑ってしまうほどのインパクトでしたが、徳川金時には相応しい装飾品だったと思います。世界で2番目のお金持ちですからね。


それにしても、あんな衣装を所有している朝倉薫演劇団衣装部はすごいなぁ。そして、存在に気付いて今回のタイラーにはめ込んだ自分を本当に褒めてあげたいです(笑)

金時メイドの白玉きな子ちゃんも試写会では金時に劣らないド派手衣装となりました。
普段はパステルメイドで黄色多め。声の大きなおバカキャラが本当に愛しかったですね。

GHMタイラーシリーズ常連のヤスくん。天才エンジニアで軍オタクな彼はいつも、半ズボンにベストスタイル。そしてメガネ。歴代のヤス役の方々により作り上げられたスタイルです。

サイボーグメイドのエミさんは、惑星連合宇宙組のカラーのエンジ色になる事が多かったのですが、今回は出演メイドの数が少なめのため、初演と同じく黒にしました。メイドカチューシャではなく、リボンのカチューシャであることが私のこだわりの一つでしたが、劇団所有のものが最後まで見つからず‥‥実は今回の衣装で一番苦戦したのがエミさんのリボンカチューシャでした(笑)

結果的には出演者さんの私物を使わせていただくことができました。本当に感謝です。

同じくサイボーグメイドのチトセちゃんは上記理由からエンジ色メイド。劇中歌の『メイド喫茶モーゼル』ダンサーのメイド衣装もエンジ色で統一しました。こちらはメイドカチューシャ!この少しの差がこだわりだったりするのですが、絶対に誰にも伝わらないやつです。


エンジ色メイド服は初演から少しずつ集めました。意外とないんですよ、エンジ色。エプロンも回を重ねる毎に軍仕様アレンジが追加されています。次回があれば是非注目してくださいね!


アーサーは昭和感満載な柄シャツ。昭和のヤクザをイメージしていますが、令和時代の若者が着るとホストのようなイケメン仕様になりました。ヤクザがホストを経営するなんて想像が膨らみ、GHMタイラー次回作は『タイラーH(ホスト)』惑星ゴロンボにホストモーゼルが開店!?店長はタイラー!?みたいな冗談が楽屋で飛び交っていました。

映画組のツブラー監督は両チームとも役者さんご本人のイメージのものでした。役作りの中に衣装もあると思うので、このようにアイデアを持ってきて下さるのは本当に嬉しいし、一緒に芝居を作るのが楽しいです。

イシロー君も派手なシャツという役者さんからのキーワードから広げていきました。まだ若手だけど情熱のある助監督としてのキャラクターがより際立っていたと思います。

最後に、私も演じた報道官バーンスタインと、その秘書ユミル。二人きりのシーンも多く、今回は登場人数が少ない惑星連合宇宙軍の人間。バーンは初演から軍服に赤い軍帽、ユミルはカーキ色のオリジナル衣装が定番でした。タイラートライアングル時に軍カラーエンジ色の衣装が登場し、今回はSORA組、TERRA組、それぞれのイメージに合わせて振り分けました。

二人のペア感を大事にしたかったのですが、自分がバーンスタイン役だったこともあり、相手役のユミルに同じ色の衣装を着せるのは少し照れがありました。断られたらショックですし、無理やり着せるのもパワハラになりそうだし‥‥(笑)

一作目「タイラー!」の冒頭、バーンスタインとユミルが出会うシーンで、バーンはユミルにDVを疑うような指摘を受けているので、余計に気を遣いました。

ちなみに、相手班であるSORA組のバーンユミルは二人で話し合ってカーキ色にすることを決めていて、ここもまた追い討ちをかけてきました。結果的にTERRA組はエンジ色になり、ユミルご本人の希望の網タイツもかわいくまとまりました。網タイツは本人の意向ですので念のため。あ、でもSORA組ユミル君の赤いヒール靴は私が指定しました(笑)



換気休憩後の一曲目はタイラーではお馴染みの、キャスト総勢のダンスシーン。バカンスを演出するため、南国のようなカラフルな衣装や小道具をみなさんにつけていただきました。遊び心があって一番楽しいシーンでした。



終盤レオンの独唱シーンではレオンが過去に出た映画から飛び出したようなスーツ。男性的な振付が映える衣装が準備出来てよかったです。

すごく長くなりましたが、お読みいただきありがとうございました。半分記録用なので、読みにくい表現もあったかも知れませんが、裏話でクスクス笑っていただけたら嬉しいなぁなんて思います。


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