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日本で暮らしたくない外国人の話

あけましておめでとうございます。GPU EATERを開発・運営しているPegara, Inc.の市原です。今年もよろしくお願いします。

さて、皆さんは海外で暮らした経験はありますか?多くの方はそのような経験はないかもしれませんが、私は事業を立ち上げるために、米国で多くの時間を過ごしました。米国の住環境としては上位のカリフォルニア州ですが、自身の生まれ育った文化や言葉が異なる国での生活は苦労とそれなりのストレスがありました。

法律、行政、銀行、移動・交通の問題など数え切れませんが、私の場合、中でも一番骨が折れたのはクレームをつける行為でした。日本で暮らしているとあまりクレームをつけなくてはならない機会に遭遇しませんが、米国にいると毎日のように大なり小なりなんらかの問題が発生します。その度にクレームをつけるのです。しかも、それなりの時間を要します。

なぜクレームをつけるのかと言いますと、そうしなくては置かれている状況を許容したものと見なされ、自身が多大なる損をする羽目になるからです。最初のうちこそ黙って耐えていましたが、日々あまりにいろいろな事が起きることから、いくら英語が下手だからと言っても段々とクレームを入れるようになりました。例えば、飛行場へ向かっている最中に、自身の乗るフライトがキャンセルされたりします。このような場合どうしますか?

空港へ行き、チェックインカウンターで今日中に到着しなくてはならない旨をしつこく説明し、別のチケットを交渉します。彼らは今日飛ぶフライトは全て完売しているから無理だ、と言います。明日のフライトなら提供できると続けます。しかし、それではどうしても困ると粘ると「走れるなら一本前のフライトにギリギリ乗れるがどうするか?」などのオファーが出るときがあります。

定時発着率が異常に高い日本で暮らしていたならこのような事態には滅多に発生しませんし、発生したところで手厚いオファーを期待できるでしょう。だから、わざわざ交渉する必要はないやもしれませんね。しかし、米国では交渉がMUSTです。他にもamazonで注文した品が破損して届いたり、airbnbで予約した部屋に宿泊したらベッドバグ(南京虫)に噛まれてしまい病院へかかったりとあげたらきりがありません。

そうした経験があるので、日本に戻ると「なんて暮らしやすい良い国なんだろう」と毎回思いました。

日本に暮らしたくない外国人の話

さて、それでは海外で暮らし慣れた外国人の方が日本へ来たときはどう思うでしょうか。ある人は日本が好きだからといって暮らし続ける事ができますが、そもそも来たくない、もしくはしばらく生活した後、やっぱり帰りたいと行って本当に帰ってしまう外国人もいることをご存知でしょうか。

私が過去10年近く外国人技術者と一緒に働いた感覚でいうと、特に辛そうだったのは、宗教や信条により食事が制限されている方々です。わかりやすい例でいうとイスラム教の方々は相当辛そうでした。居酒屋へみんなで行っても、お酒は飲めませんし、豚と一緒の環境で調理されたものを食べるのは想像し難いストレスでしょう。ある技術者はノイローゼとなりました。定期的にモスクへ懺悔に出かけて行きました。

また、糖質や脂質を制限し、炭水化物や濃い味付けを嫌う食事習慣を持つ欧州出身の技術者も辛そうでした。皆で関西へ出張した際、良かれと思って一緒に食事を取るようにしていたのですが、お好み焼きや串揚げはとても辛くてストレスだったと後々打ち明けてくれました。自炊している限りは大丈夫だったようですが、外では寿司屋で刺身とサラダくらいしか満足に食べれなかったようです。日本語をもう少し話せたら状況は違ったかもしれませんが、彼は日本で暮らすのは無理だと早々に断念してしまいました。

また、言語の壁も大きいです。最近でこそ増えてきているようですが、市役所で英語が通じる職員はどの程度いるでしょうか。銀行や病院はどうでしょうか。また、役所から届く手紙は全て日本語で書かれています。税金に関するものもあります。ただでさえ複雑なのに、電子データではなく"紙"で手紙が届くため、Google translateへかけることもできず、届くたびに友人・知人へ聞くか、確認のために役所へ出かけなくてはなりません。

いくら日本が清潔で安全、親切な人も多いからと言っても、短期間旅行で来るのと長期間に渡って暮らすのとでは大きなギャップがあります。我々日本人にとって日本での生活は最高だというのは当たり前です。しかし、海外からやってくる人たちからしたら十分に高い壁があるのだということを理解しなくてはなりません。間違っても暮らしやすいいい国だろう?などという上から目線の前提は持たないでください。困ってそうな外国人がいたらなるべく助けてあげるようにしてください。

Business Insiderの記事

昨年秋頃、Business Insiderという有名メディアへ投稿された記事が波紋を呼びました。その記事によると日本は収入、教育などで33カ国中最下位だったというのです。

この記事は、HSBCの委託を受け、英国の調査会社YouGovが実施したもので、世界各地に住む18歳以上の外国人駐在員1万8059人が対象となって作成されたものです。HSBCの顧客のみならず、SNS等を経由してさまざまなコミュニティから協力者を募ったらしいです。ちなみに、100カ国・地域以上の駐在員に質問を送ったうち、100人以上の回答が得られたのがランキング掲載の33カ国・地域だったようです。なのでバイアスがかかっていることは言うまでもありませんが、トルコやベトナムよりも圧倒的に暮らしにくいという評価ですからショックを受けました。

今後、日本企業は外国人技術者の力をたくさん借りなくてはならない時代となっていますから、少しずつでも改善していかなくてはなりません。然もなくば競争力を益々失う事になります。ですから、あまり軽く考えないで欲しいなと考えています。

数分程度で読めるものなので、興味があればぜひ一読してみてください。

それでは、また。

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