立ちはだかる壁 エレンタールとの向き合い方🍼@クローン病

ジャー。シャカシャカシャカシャカ。ドボドボドボ。
私の1日の始まりは、エレンタールの製作から始まる。
クローン病患者の方にはお馴染みのエレンタール。1本300キロカロリーで様々な栄養素が含まれている、超優秀な栄養剤。
スペックとしてはとても優秀。必要な栄養素がこれ一本である程度補えるのだから。
だが。クローン病の同志ならわかってくれるだろうが、とんでもなく不味い。原液のままなんて飲めたもんではない。
私は、エレンタールを服用するようになり、もうすぐ6年目を迎える。
クローン病を発症した当初は、一時期狭窄がひどく入院・絶食をしていたため、退院の条件が「エレンタールを1日6本服用できるようになること」であった。当時よりも飲む本数は3本に減ったが、いまだ美味しいとは一度も思ったことはない。
でも、試行錯誤を繰り返して、ある程度は飲みやすくなったように思う。

忘れもしない、6年前の最初にエレンタールに出会った日。
当時狭窄がひどく固形食が食べることができなかった私は、中心静脈の鎖骨点滴をしていた。
ある日のこと。看護師さんから、「これからはこの液体を飲めるようにならないとね。まずは一本飲んでみて」
初めて飲んだのはりんご味のフレーバー。言われるがままに一口飲んだ瞬間。「うぎゃああ。なんじゃこりゃああ、なんつう匂いと味やねん…まっずう。げろげろ」これは人間の飲み物じゃないやろ。これを飲み続けないといけないのか?
その日以降も、看護師さんからは毎日エレンタールが部屋に届けられた。でも最初1週間は一本も飲みきれなかった。
不味くて早くなくなってほしいと思って急いで飲んだら、お腹を壊すし。なんて厄介者なんだと私の頭を悩ませた。
エレンタールのフレーバーは10種類ほどあり、悩む私を見た看護師さんたちが、日によってフレーバーを変えてくれた。最初は飲むのに苦労したが、色々試していくうちに、自分には「グレープフルーツ」と「オレンジ」「パイン」が合うことがわかった。
グレープフルーツは比較的臭みが薄まるように感じた。
そして、液体で飲む時は、口直しにお茶を飲んだり水を飲んで臭みを緩和させた。
他にも、ゼリーとして食べる方法も試した。看護師さん達が忙しくて、夜の22時にゼリーを持ってきてくれたこともあったっけ。
そんな中、入院中にクローン病患者の人達のブログを読み漁っていた際、野菜ジュースとミックスして飲むというアレンジをしている方に出会った。
退院してからは、その方法を実践。グレープフルーツ味のフレーバーと野菜生活をミックスすると、かなり臭みが消えていた。
うん、これなら続けられるかも。
以降、私にとって野菜生活とグレープフルーツ味の組み合わせは切っても切り離せないものになった。
家では野菜生活ミックス、会社では荷物が増えるため、オレンジフレーバーオンリーで我慢。

エレンタールを飲むのは家ではお馴染みの光景だが。
お昼休みの会社のご飯タイムの自席では、お弁当だけでなく、お茶の入った水筒、エレンタールボトル、ペットボトルの水、お茶の入ったコップ…と、ずらっと私の前に立ちはだかるボトルの壁たち。
最初会社では「プロテインみたいな変な色の液体飲んでるけど、あの人全然バッキバキじゃなくね?むしろひょろひょろやん」と奇異な目で見られることも。
一度、会社の人から「それどんな味するの?匂いだけ嗅がせて」と言われて、匂いを嗅いでもらったら「犬のおしっこの匂い」とも言われた。
「犬のおしっこの匂い」のするエレンタールを飲んでる私を、クローン病の同士を、むしろもっと称えてほしい。我々は、エレンタールという共通の立ちはだかる壁を乗り越えて、頑張っているのだ。
飲むのがしんどい、作るのが面倒と思う時は、好きな曲を聴きながら。朝はスピッツの『ヘビーメロウ』や『大好物』を聴きながら、シェイクシェイク。曲を聴きながらだと、しっかりシェイクできて粉末が溶けるのも早い気がする。そして、ちょっと楽しくもある。

シャカシャカシャカシャカ。エレンタール製作を、ボトルを振り続けてもうすぐ6年。
こんなに毎日欠かさず振り続けてるのに、私の上腕二頭筋は全く鍛えられていない。それでも、これからも寛解維持&栄養摂取のために飲み続けていく。

もしこの記事を見てくださったクローン病に関わる皆様へ。エレンタールをもっと飲みやすくしてくださいー。できたら錠剤とか。無理ならせめてフレーバー不要で野菜生活くらいに美味しい味にしてほしいなあ。
ノーエレンタール、ノーライフ。





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