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腸詰と私〜クローン病、親近感が湧くの巻

今日はやけにお腹が鳴る日であった。
ぐるぐるぐるぐる。アラームで設定しているスピッツ『ヘビーメロー』と共にモーニングコールでなるお腹の音。
朝起きて腹が鳴り、エレンタールを飲んで腹がなり、働いてる最中にも腹が鳴り。何回なるんだ私の腹はー。少々狭窄気味の私の腸は、最近ご機嫌斜めなのか。うーむ。保っておくれ私の腸。

腸を連呼してるので、腸のネタを一つ。
先月、有給をとって1泊2日鎌倉へ旅行に行った。
目的は勿論、鎌倉殿の聖地巡りである。1番のお目当ては鶴岡八幡宮。八幡宮に向かうまでの間、小町通りを歩いていた。
食べ歩きできそうなお店がたくさん並んでいたが、その中に非常にスパイシーでジューシーな香りのする店が。
匂いに惹かれて、フラフラと歩いて行くと看板には「腸詰屋」と。「ぬぬぬぬぬ?????腸詰?
リアル腸詰の私が呼び寄せられたのか?」
なんてことはない、ソーセージウインナーの店であった。なるほど…。だから、腸詰なのか。
店頭には店員さんが簡易ホットプレートの上で、いろんな腸詰を焼いていた。何たるスパイシーで美味しそうな香り。中には昼間からビールと一緒に食べている人も。美味しそうだああ。
誘惑に負けては行けないと、一度店に入ったが、「ぐすん…。私はクローン病だもの、腸詰まらせたもの…、食べれないから、こんなところにいてはダメだ」と泣く泣く退店。
だが、鶴岡八幡宮へ行っても、実朝さんのお墓に行っても、江ノ電に乗っても頭から腸詰が離れない。
宿で眠りについた時も、私の脳裏には店頭でホットプレートに焼かれた色とりどりの腸詰たちが。ああ、食べたい、せめて食べられなくても匂いだけかぎたい!

2日目の朝。起きて真っ先に頭に浮かんだのは、鎌倉大仏よりも鎌倉五山の建長寺よりも「腸詰屋」これは神の、いや、実朝さんの思し召しか。2日目の旅は元々鶴岡八幡宮に行く予定ではなかったが、腸詰が頭から離れられず、急遽2度目の八幡宮行きを決行。表向きは八幡宮へアゲイン、実際は腸詰へゴー。
2日目の朝は、ホテルを出て鎌倉大仏、長谷寺、イワタコーヒー、建長寺、そして2度目の八幡宮と比較的タイトなスケジュールであった。帰りの新幹線の時間も決まっていたため、鎌倉駅まであと20分と差し迫った時。肝心の腸詰が買えていなかった私は、観光客の波をかき分けて八幡宮からダッシュ。道端の鳩もびっくりの猛スピードで「腸詰屋」八幡宮前まで走り、到着。
相変わらず腸詰たちが店頭のホットプレートに美味しそうに焼かれている。
きっと腸詰達も観光客に魅入られて、買われて、食べられて、腸詰冥利に尽きるだろう。

私は腹を括った。クローン病になって、何度となく違う意味で腹を括ってきたが、腸詰を前に決意した。店員さんに向けて「すみません、スパイシーウインナーとノーマルウインナーひとつずつください。お土産用で」
ようやく私の手の中に腸詰が。せめて食べられなくても、家族へのお土産という体なら、匂いだけはかげるぞ。(あわよくば一口だけでも)

会社向けには大量の安いお土産を買い、家用には腸詰、崎陽軒のシウマイ、馬車道十番館のビスカウトとちとリッチな土産を。(自分はほぼ食べれないが、おこぼれと匂いをもらうため)
帰ってから、家族に「腸詰は焼いて食べると美味しいみたいよ。私は食べれないから大丈夫(あわよくば一口ほしい)」と伝えたら、悲しいかな。2日後には一本も残っていなかった。
家族が食べているのを横目に匂いをおかずに白ごはんを食べたりはしたが、自分の口に入らないとは。わかっていてもやはりやりきれない。
せめて自分が健康な腸なら。腸詰めてなかったら。
私の詰まった腸は、過去手術で摘出され、今は病院でホルマリン漬けにされてるのだとか。
カムバック腸ー。太く長い健康な腸がほしい今日この頃。
お腹いっぱい好きなものを、好きなだけ食べたい。
近い将来完治できる薬が開発されて、腸詰を美味しく食べれる日が来てほしい。





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