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今だからこそ読み直したい一冊

Google for Education認定トレーナー/コーチの笠原です。

三連休の中日ですね。自分は原稿を書きながら、ゆったりと骨休めをしているところです。また、夏休みが近くなったので、色々な本を読み直したいと思いながら自分の本棚を眺めています。

そんな中で改めて手に取って読み直していると、思わず止まらなくなったのが次の一冊です。

すでに発売されて7年以上が経っていますが、生成AIの登場と一人一台端末の時代になった今だからこそ、日本の、自分の教室の課題として読み直すことが出来る一冊だと考えられます。

本書の注目ポイント

本書の一番のポイントとしては、テクノロジーの力を「破壊的イノベーション」として捉えて、教室での教授を中心とした従来の授業のあり方から根本から教育観が変化することを解説している点です。

既に実践の蓄積のあるブレンディッド・ラーニングの実践を体系的に整理し、どのように考えて実装していけば良いのかという道筋を示しています。

コロナ禍前にも、アクティブ・ラーニングの話題が注目された頃にも本書は注目をされていたと感じていますが、一人一台端末がない状況や学校のオンライン回線の弱さなどの現実的な制約条件によって、本書の内容を実現できる学校はかなり限られていたこともあって、ブレンディッド・ラーニング自体をあまり聞かなくなっていました。

しかし、コロナ禍を経て、一人一台端末が配備された状況になり、近年では個別最適という言葉が巷で聞かれるようになってきています。

紆余曲折を経て、本書が挙げているハード面の条件がだいぶ整ってきた今だからこそ、「ブレンディッド・ラーニング」という言葉と、本書に再注目して実践を検討してみる価値があるのではないかと思います。

破壊的イノベーションとしてのブレンディッド・ラーニング

本書の示唆として最も重要なことは、ブレンディッド・ラーニングのようなテクノロジーを有効活用した学びのあり方を、従来の学びの強化にだけ用いるのではなく、学び方の問い直しでもあるという問題提起を含んでいることです。

例えば以下のような一節です。

ブレンディッド・ラーニングを導入して最も大きく変化することの一つは、同じ部屋にいる生徒たちが異なる作業にさまざまなやり方で取り組むようになることです。こうした環境のため、校風が柔軟に応じる必要があるのです。ブレンディッド・ラーニングという新しい環境にいる教師がやるべきことは、生徒が学習に対して高い期待を持って主体的に取り組むよう校風を育てることです。これが文化として定着すれば、生徒たちが個別学習時間におしゃべりしていても、必ずしも注意する必要はなくなります。無秩序に見えるかもしれませんが、明確な手順と期待をもって最初に強固な文化をつくりあげておけば、実際に無茶なことに対して正しく対処する校風が定着します。

『ブレンディッド・ラーニングの衝撃』P.254

論理に裏打ちされた教育手法でありつつも、手法だけの移植ではないということを感じさせるのではないでしょうか。

最近は割とSNSなどでも個別最適という言葉を目にする頻度が増えていますが、バラバラに好きなことをやるという意味でも、ただ動画を見させておくという意味でも無い、本書の提案は一度、今だからこそ読み直しておく必要があるだろうと感じます。


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