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株式会社リストラ

A社長と共に興したテック企業で、新サービスの公開作業を進めていた
深夜、「資金が尽きたのでサービス公開は中止だ。会社は解散で人事代行に離職票を送らせた。」とLINEが来た。

翌日、離職票と「ラトスリ(株)人事代行 佐伯某」の名刺、「弊社のDXに協力願いたい」と書かれた一筆箋が、速達で届いた。

佐伯の取り次ぎで、ラストリ役員を訪ねた。

「当社は企業の不用品の整理や回収が主業で、変革に迫られている。DX人材の貴方を高待遇で迎えたい。」

帰り道、テック系プレスの通知でA社のサービス公開を知る。
Aに中止の筈ではと質そうにも、LINEはブロックされていた。

吹っ切れた。役員に入社の意向を伝えた。

入社当日、佐伯が玄関で出迎えた。

「申し上げにくいのですが、主業の対象は人です。
貴方の場合、手柄を独占したいA社の依頼でシナリオを作り処分しましたが、当方の判断で買取りました。」

「(株)リストラ」と書かれた逆向きの社用車が、目の前を横切った。

以上で410文字です。4作目の今回も、出来はどうあれ楽しかったです。






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