新興国の人口増加と経済発展で、食糧危機は来るのか?


要点

・人口爆発=地球の人口はもうすぐ80億人に。すでに始まっている食糧の奪い合い
・テクノロジーが食糧問題を解決する
・完全無人の植物工場が本格化
・輸送および貯蔵技術の革新
・バイオ都市
・幹細胞の培養でできる肉が、地球を救う
・その時、あなたはどうやって生きていきますか?


人口爆発=地球の人口はもうすぐ80億人に。すでに始まっている食糧の奪い合い


ご存じのとおり、地球の人口は75億人を越え、80億人に迫ろうとしています。 
新興国の人口の増加と、経済発展によって、水産資源を中心に食糧の奪い合いが起こり始めています。 マグロやサバ等、魚といえば、日本でした。 これまでインド洋や太平洋・大西洋・地中海、北海等で獲れた魚は、築地に輸送されてきました。 しかし、最近はそれが手に入りにくくなっています。 中国や東南アジアの経済力が上がり、食生活の質が上がってきたからです。 

魚だけではありません。 大豆や牛肉の価格も中国の影響で、価格が上がっています。 このまま新興国の人口が増え続け、経済力を付け続けると、この傾向はますます激しくなっていくでしょう。


テクノロジーが食糧問題を解決する

しかし、いまのテクノロジーの進化を見ていると、テクノロジーが食糧危機を解決するのは間違いないでしょう。 いまから、それを見ていきましょう。


完全無人の植物工場が本格化

植物工場は、日本では30年前から始まったと言われています。 土を使わず、水耕栽培で野菜を育てる農法です。 そして、6~7年くらい前にLEDの光源が採用されはじめてから、さらに話題になりました。 しかしながら、現在のところ、植物工場で利益を上げるのはかなり難しいようです。 なぜなら、LEDを利用したとしても、植物工場は電気代がかかりすぎるからです。 光源だけでなく、水をくみ上げるポンプや温度調節の燃料も必要です。

しかし、これからの植物工場は採算性が大幅に改善するでしょう。 その理由のひとつは、IoTとAI、ロボット技術の急速な進化によって、完全自動化が実現しようとしているからです。

Iron Oxというサンフランシスコ発のスタートアップ企業がひとつの例です。 実は、この会社はまだ採算という面では苦戦しているようですが、もうひとつの技術進化によって、改善していくでしょう。 それは、電気代が安くなるからです。

エネルギーが無料になる日に書いたように、これから電気代は無料に近づいていきます。 電気代が高いことが経営難の最大の原因だったので、その原因が無くなれば、当然採算性は改善します。

日本では、パソナが2017年まで都心で植物工場を運営していましたが、それ以外は地方の土地代が安いところが主です。 しかし、これからの植物工場は、アーバンファーム(都市農業)として期待されています。 これが普及すると、採りたての新鮮な野菜を都心で食べることが容易になります。 スーパーの上に植物工場があるというイメージです。


輸送および貯蔵技術の革新

輸送技術と貯蔵技術も急速に進化しています。 まだ少し時間がかかりますが、輸送も自動走行のEVトラックで運送されるようになれば、燃料代も人件費もかからなくなります。 また、輸送中の温度管理も、IoTセンサーとAIにより適切にコントロールされるでしょう。 温度調節の燃料費も当然電気ですので、安くなります。

冷凍・冷蔵技術は、細胞膜を傷つけずに氷点下で保存する技術ができています。 これにより、食肉についても、新鮮な状態で長い時間保存しておくことができます。


バイオ都市

オランダの首都アムステルダムから車で30分の農村部にあるReGen villageでは、水やエネルギーを自分たちで集めるなど自給自足生活をしていて、ごみや廃棄物の多くを自己処理しています。 東京のような大都市では難しいかもしれませんが、世界中の各都市の近くに、このような農村が出来、そこに住むヒトが増えるということは、十分に考えられる未来です。


幹細胞の培養でできる肉が、地球を救う

ES細胞やIPS細胞のように、幹細胞は、医療で発展しているテクノロジーですが、同じ技術を食糧に使ったのが、Lab-Grown Meat(研究室で育った肉)で、すでに実用化しています。 JUST Meat社は、卵や鶏肉、和牛ビーフといった商品を出しています。 Memphis Meats社も、鶏肉や牛肉を商品化しています。 さらに、これらを3Dプリンターで立体化する技術も出てきました。 

これらの会社が目指すのは、本物の肉を創り出すことです。 テクノロジーがますます進化すれば、たとえば肩ロースを、細胞を培養するだけで創り出せるようになるでしょう。 もう牛を殺す必要がありません。 また、牛や豚の場合、餌の中に混じる農薬や重金属、あるいは抗生物質等の薬が肉に染み出ている可能性がありますが、Lab-Grown Meatの場合は、そんな心配をする必要はありません。

このことが、どう世の中を変えるかというと、食用のために牛や豚を育てる必要がなくなるということです。 実は、これは食糧危機対策としては非常に重要なのです。

たとえば、豚肉1kgを生産するためには、豚に4kgの穀物を食べさせる必要があると言います。 牛肉1kgを生産するためには、10kgの穀物が必要だそうです。 鶏はまだマシで、鶏肉1kgを生産するには2kgの穀物で良いようですが、いずれにしても、これらの家畜を育てるよりは、人間が食べる方が、効率的だと言えます。 牛肉を食べるのに、骨や内臓まで育てる必要がなくなるのです。

つまり、Lab-Grown Meatが普及すれば、家畜が減り、家畜に食べさせている穀物を人間のための穀物に変えることができます。 ということは、いまの何倍かの人口を養うことができるということではないでしょうか?


その時、あなたはどうやって生きていきますか?

このような世の中になった時に、あなたはどんな食生活をしているでしょうか?


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