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逆転合格塾?

 逆転合格やら偏差値30台から偏差値60台の高校へやら、勉強が出来なかった生徒が勉強が出来るようになり、保護者様が誇らしくそのお友達に話せる状況を生み出せるフレーズには心惹かれるものだな。逆転合格なんか、何の逆転か分からないが(大貧民での革命か?)、人生勝者の称号を得たような感覚で、これを実現した塾は凄いっしょってアピールしている。生徒改造が出来ますよって。お宅のお子様も当塾に入ればその可能性ではなく、割合の話もなく、実現可能なのですって言うのかね。「うちの子も逆転合格出来ますか?」「過去にこういった事例がございますので、ノウハウは持っております。お任せ下さい」ってさ。
 とまぁ、営業的にはOKだが、成績が上がらなかったらどうするって心配は保護者様にあると思うが、塾側は言い訳のバリエーションもたくさんあるので、入塾したら、最難関門突破で一安心ですよ。
 この逆転合格やらは、思うところ、「底辺高校らへん」から「コミュニティ内での認知度のある高校」を意味することが多い。地域のブランド高校ってところだね。全国的に有名な高校ではなく、地域での高校。まぁ、保護者様も地域内で友人が多いと思うから高望みはしなくて「地域内で」っていう思惑が強いね。
 生徒からしても逆転合格は夢を見させてくれるパワーワードで、自分にもワンチャン出来るんじゃないかって思っちゃう。体験授業をしてくれた講師がいい感じだったら尚更ですよ。オーラというか、雰囲気というか、この講師なら逆転合格を導いてくれるんじゃないかって。認知高校に行けたら自信にもなるし、誇らしく話せるし、有名大学にも行けるんじゃないかって思えるし、何より地域ブランドに所属できるっていうステータスが手に入るし、自分が凄くなったような感じを味わえる。現実を無視して明るい未来が手に入った感覚になる場合もあるし。
 塾としては生徒の成長具合を見ないと本当のことは言っちゃいけない気がするが、ひとまずは入塾してもらわないと、話にならないから汎用性のあることしか言えない。
 面談の際にこれまでのテストを持ってきてもらうが、それを分析して、ヤバいなって感じる時が多々ある。漢字が書けてないとか読めてないとか、計算問題で空白とか、基本英単語すら書けてないとか、色々あるが、ひとまず置いといて、「そこから改善しましょう。基礎が固まれば伸びが速くなります」とか言っておく。保護者様からの話で、テレビをつけない、会話がない、家に本がない、子供はスマホとかの当たり前は想像しておいて、やっぱりねってなる。家に本がないと漢字もキツいよなって誰でも想像できると思うが、「うちの子は漢字が書けないんです」って本気で思ってる。(ここでは障害とかは無視です)。小学生の頃、「本の読み聞かせや音読の宿題はしましたか」って聞いても「やってません」って。内心、ですよねぇって聞いてる。そりゃ、漢字前の話ですよって。九九なんかも遅いけど全部言えますって、おいおい、九九は遅いとダメですよって、柔らかく伝える。
 逆転合格は、保護者様が塾に任せきりにせずに一緒に生活態度から変えるように努力すれば多少、合格出来る割合が高くなります。多少ですけど。なんだかんだ、ポテンシャルが全て。これは周知のようだが、周知ではない現実。

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