ドルコスト平均法の注意点? iDeCo・積立NISAの購入手法

こんにちは。SKPです。
先日の記事で、「ドルコスト平均法」という単語を出しました。

ドルコスト平均法は、投資手法の話としてはかなり有名です。iDeCoや積立NISAなどは、購入手続きの関係上、自動的にこれを採用していることになります。

そのため知らず知らずのうちに実行している、という人もいるのですが、今回は、改めて「ドルコスト平均法」についてご紹介します。

ドルコスト平均法とは

ドルコスト平均法は別名『定額購入法』といいます。価格が変動する株式・投資信託などの金融商品を、『一定の金額で、時間を分散して、定期的に』購入する方法を指します。

iDeCo・積立NISAは、この購入方法を実施していますので、まさに「ドルコスト平均法」そのまま、と言うことができます。

購入する金額は「一定」ですので、金融商品の価格が安くなれば「多くの口数(株数)」。金融商品の価格が高くなれば「少しの口数(株数)」を購入します。

安いときに多く、高いときには少なく購入するため、「平均取得単価」を平準化させ、金融商品の価格変動リスクを低減させる効果があります。

具体的に少し例を見てみましょう。以下のグラフの値動きで、1回5万円の投資を10回、一定期間毎に行ったとします。そうすると価格と購入口数の関係は次のようなグラフになります。

キャプチャ

緑の折れ線グラフが金融商品の価格推移。オレンジの棒グラフが購入した口数です。最も価格が安い「8回目 7000円」の時は、7.1口を購入していますが、最も価格が高い「3回目 12500円」の時は4口の購入となります。

この例で言うと、10回目を購入し終わった段階で「51.1口」購入しており、平均取得単価は「5万円×10回 ÷51.1 ≒ 9784円」。10回目の価格が11500円ですので、10回目時点で約87000円((11500円 - 9784円)×51.1口)ほど評価益がある状態となっている。上手くドルコスト平均法が機能した、と言えます。

「8回目 7000円」の時。一番価格が安い時に50万円分一括して買えばいいじゃん?と思うかもしれませんが、その時が『一番安い』というのは後から見た結果論です。

ひょっとしたら5000円くらいまで値段が下がるかもしれません。今回は12500円が最も高い値段ですが、もう少ししたら価格が25000円になっているかもしれません。これは未来のことなので誰にも正解はわかりません。

そういった「価格変動の波」を「時間を分散させる」ことによってリスク・リターンを平準化するのが、このドルコスト平均法です。

ドルコスト平均法は『万能』ではない

ドルコスト平均法は「時間の分散」つまり長期投資を前提としてます。その期間は短くても10年程度の時間軸です。しかしながら、日本での投資信託などの平均投資期間は2~3年と言われています。

私も短気な方ですが「始めたはいいけど、そんな長期間待てない」という人が多いのでしょう。端的に「そういう人」にはこの手法は向いていません。

iDeCoの場合は、積立金の受取が60歳までできないため、自動的に「長期投資」の条件を満たすのですが、積立NISAは「自分の好きなタイミング」で受取(売却)ができてしまうため、この「長期投資」が中々難しいようです。

また、ドルコスト平均法は「リスク・リターンを平準化」させますが、価格の値下がりリスクを担保したり、将来の利益を保証するものではありません。

金融商品は「最後に売る」必要があります。そうしないと「現金化」できませんからね。いくら、投資している最中に評価益があっても、売却のタイミングで価格の暴落があった場合は、当然損をすることになります。

そういった「最終的な値下がり・暴落リスク」は、ドルコスト平均法でも担保することはできません。

投資信託で積立投資を行う場合や、今から投資を始めることを検討する場合に、「ドルコスト平均法」は日々の価格変動を考慮しなくて良かったり、上昇相場・下落相場どちらでもスタートできたりと、良い面もあるのですが「これをしておけば間違いない」と思い込まないように注意してください。

ドルコスト平均法が機能するには

ドルコスト平均法が「長期投資」を前提としていることは先ほど書きましたが、もっと根本的に「ドルコスト平均法が機能する為の条件」があります。

ここでは簡単な紹介にとどめますが、端的にいうと『世界経済(資本主義経済)が継続・成長を続けること』となります。その為の要因は主に3つです。

1.世界人口が増加
国連世界人口推計2019年版:2050年までにほぼ100億人に達する見込み)

2.人口増加によりGDPが拡大
「GDP=生産年齢人口×一人当たりの生産性」とも言えるので生産年齢人口に比例してGDPも拡大

3.GDP拡大により企業価値(株価)が上昇
株式市場は、長期的には企業の利益成長に比例し企業価値(株価)を押し上げ、結果、資本主義は継続・成長を続ける

逆に言うと「世界経済が衰退する=株価・企業価値が下がり続ける」のであれば、どうやってもドルコスト平均法は機能しないということです。

そのため、ドルコスト平均法で購入するのであれば「今よりも将来の価値が上がる」ことを前提としなければなりません。

結論として「そんなことは誰にも分からない」となるのですが、少なくとも「今よりも『世界経済が衰退する』と考えている人」は、ドルコスト平均法で投資を行うのは「考え方と合っていない」という状態になります。

…世界経済が衰退すると思っているのであれば「投資信託」「株式」に投資すること自体が、考え方と相違しているとも言えるのですが。


老後の資金形成が話題となっている昨今。金融庁は資産形成に不可欠な「長期・分散・積立」を掲げ、iDeCoや積立NISAを推進をしています。つまりドルコスト平均法による資産形成を推進している、とも言える状態です。

ドルコスト平均法が有効な投資手法であることには違いありませんが、その方法そのものが「自身の考え方と相違」していたり、「どういったものか分からずに買っている」ということがないように注意してくださいね。

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