iDeCoの運用 スイッチング使ってますか?
こんにちは。SKPです。
金融庁が掲げる、資産形成に不可欠な「長期・分散・積立」。それに沿った金融商品がiDeCoや積立NISAであり、ドルコスト平均法で実施されている投資だと前回お伝えしました。
このドルコスト平均法は、「定期的に・一定額を・分散して」購入していくため、投資する商品の価格が、高くても・安くても、毎回一定額分しか購入できません。
だからこそ「購入価格を平準化して、価格変動のリスク・リターンを平準化」させる効果があるのですが、代わって「大きく値下がりしている時に多く買う」といったことはできません。
実は『iDeCo』は、やり方によってはこの「大きく値下がりしている時に多く買う」ということが可能です。今回はそんな方法のご紹介です。
通常の購入方法
iDeCoは毎月支払う掛金で『何の投資商品を、どれくらいの割合で購入するのか』を自分で決定します。例としては下図のような感じです。
この割合で『毎月の掛金によって一定額ずつ購入』していきますので、ドルコスト平均法が効いている、という状態となるわけです。
ちなみにこの例の配分は、結構リスク・リターンが高めの構成です。この構成は人によって違いますし、どういう構成が良いのかは「その人が想定する最適なポートフォリオ」にもよってきます。
中には「iDeCo」による税制優遇(所得控除)は受けたいけど、投資による値下がりリスクは嫌、という人もいます。
そういう人向けに、iDeCoの投資先(選択商品)には「定期預金」も用意されており、値上りはありませんが、値下りもなく、元本保証の元、税制優遇だけと取るということも可能です(管理手数料分は引かれますが…)。
実は、この『値上りも値下りもしない定期預金』というのが、今回の手法のキーポイントとなります。
スイッチング(保有商品の入れ替え)
iDeCoは『投資資金の受取』は60歳まですることができませんが、iDeCo内で「既に購入している商品を、他の商品へ入れ替える」ことはできます。これをスイッチングと言います。
これは、当初設定(想定)した「ポートフォリオバランス」と「実際の商品構成比」が、投資商品の値上り・値下りによって崩れた時のバランス調整で使われるのが一般的です。
しかし、上手く使うことで別の使い方ができます。
スイッチングは『入替』と書きましたが、実際は元々保有している商品を売却し、その代金で新たな商品を購入する手続きです。そのため『元々保有している商品』の評価損益がプラスであれば、そのプラス分も新たな商品の購入代金に充てることができます。
これは「疑似的にその商品の利益の確定」ができるとも言い換えることができます。なお、表面上はあくまでも「商品の組み替え」であり、iDeCo内部で売買しているだけなので、このスイッチングによる売却益に税金はかかってきません。
ここで登場するのが先ほどの「定期預金」です。定期預金もiDeCoの対象商品ですので「保有商品 → 定期預金」へのスイッチングが可能です。定期預金は、値上り・値下りをしませんので、スイッチングすることにより「評価損益プラス」の金額をそのまま、定期預金として固定。つまり「利益を確定」することができるのです。
逆の使い方もできます。例えば、誰がどう見ても「大きく値下がりして、今この商品の価格が安い」といった時、「定期預金 → 投資商品」へとスイッチングをすれば『安い時に多く買う』ということが可能です。
状況を見て「当分は投資商品の値下りは続くだろう」と思った場合、ドルコスト平均法を用いるよりも、掛金は「定期預金」として「投資資金の値下りがない」ようにしておき、状況が変わり価格が「底打った」と思った時に投資商品にスイッチングをする、というのも手段の一つです。
どこかのタイミングでこういった購入をしたい、という場合は、掛金として追加資金を入れることはできませんので、「定期預金」としてあらかじめ一定額を持っておくのもいいかもしれません。
あくまでも手段の参考に
今回の手段は長期投資を前提としたiDeCoに、ある種「短期投資の考え方」を組み込み、「ある程度の利益を確定させてしまおう」であったり、「普通の株式売買のように安く仕込みたい」といった場合には使える手法です。
安く仕込みたい、という場合には、その他の「投資知識」も必要とはなってきますが…。
この方法は、iDeCoのベースとなるドルコスト平均法を崩す方法であるため、「できる限り手間をかけずに」と考える人には向きませんし、結果的に「そのままの方が良かった」ということにも当然なりえます。
またiDeCoのスイッチングは、投資信託の売買となるため、上場株式のように「その日に指示を出して、その日の価格で売買」することはできません。そのためピンポイントで「この値段で」ということができないのも注意が必要です。
今回紹介した手段はあくまでも「参考に」というものですが、元々「長期投資」は、適正なポートフォリオバランスを保つことも大切な要素の一つになります。
今まで『iDeCoはやっているけど、状況を確認してない』という人は、年に1度くらいは、スイッチングで「元々想定していたバランスに合わせる」ということをしてみてくださいね。
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