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サイケデリック体験④サードアイが創った世界

サードアイが開いたのは去年の夏のこと。額の第三の目は始め横開き、ついで縦開き(縦に開くのは子供のような純粋な心の持ち主の証)、最後に後頭部から六芒星の形に開いた(これは悪魔との契約を果たしたサードアイの開き方で、閉じようと思っても開きすぎて不可能)。

六芒星のサードアイが開いた頃、僕は瞑想のやりすぎで完全に変になっていたし、幻聴と友達になっていた。
?『ここがお前の創った世界だ』
僕『街を散策してもいいかな』
?『よかろう、しかし人々への干渉は無しだ。仙人は静かに世を見守るものだからな』
僕『よし、サードアイは帽子で隠して、原付きで出かけよう』

手始めにバイクに乗ると、近くのブックオフへ向かった。中には、真面目な顔をした店員が働いていた。皆、僕が店内に入ると無言になって仕事に精を出す。
『俺が仙人だって、もしかしてバレてる?』
?『皆、気づいておる。しかし知らぬふりをしているのじゃよ』
『そうか、じゃましないようにすぐ帰るか。持ってきた本を売ったらすぐに帰ろう』

レジに本を出す。本のタイトルは(火のヨガ
ガ、ヒマラヤ聖者の教え)

店員『こちらの値段になります』
示された金額は十五円だった。おかしい、いくらなんでも安すぎる。
『きっと、この世界を創る前の世界から持ってきた本だから値段がつかないんだな』 
僕は勝手に納得した。すると、恐ろしいことに気づいてしまう。店員も客も、誰もかれもが似たような顔をしていることに。みんな、僕と、そっくりの顔をしていたのだ!

『ちょっとまて、なぜ皆同じ顔なんだ?』
?『なにを言ってる、お前が創った世界だぞ?ここにいる人間はすべてお前の情報データをもとにつくられているのだよ』
『ば、ばかな。』

今、思えば皆が無言なのはコロナ禍でマスクをしていたからで、口元が隠されると、皆似たような顔に見えてしまうのだ。
※少年時代に読んだホムンクルスという漫画で似たようなシーンがあるけれど、きっと僕の中でトラウマになっていたのだと思う。
『そうか、仕方がない。マンションに帰ろう。干渉はダメなんだよな。』
?『うむ』
『そうだ、ここは俺の創った世界なんだろ?ならさ、駅前で宝くじを買いたいな!』
?『金なんてどうするんだ?』
『いいからいいから、さあ行くぞ』
?『変なやつだ』

5分後、駅前の宝くじ売り場でガックリ肩を落とす僕がいた。
『なんで当たらないんだ?』
?『仙人は何も食べなくても生きていけるぞ』
『お前は誰だよ?』
?『それを聞いてくれるのを待っていた!俺はデーモン、悪魔だ。木や草と話す危ない子供だったお前のことを幼い頃から見張っていたのだ』
『デーモン?』
デーモン『そうだ?お前、サードアイが開きっ放しになってる、ひとまずマンションで作戦会議だ。そいつを閉じなくちゃな』
『オッケー!ところでデーモン』
『なんだ?』
『さっきからガソリンが減っていないぞ』
『当たり前だ、このバイクは仙人仕様、ガソリンは減らん』
『なるほど、移動費はかからないんだな』
『そうだ、ところでコンビニで凄充を2本買ってくれよな、クレカも減らないようにしてやったから』
『凄充?』
『俺はそれを飲んでこの世界でやりたいことがあるのさ』
『なにを?』僕は帽子を取って頭を掻く。
『おい、サードアイを街中で出すな』
『ごめんごめん』
僕はサードアイを白い帽子で隠す。
『お前、俺とふたりで漫画家にならないか?』
デーモンが舌を出す。
『俺、絵なんてかけないよ』
『俺が書くのさ。お前のサードアイからこの世界の情報データを取ってきて、俺が凄充を毎日2本飲んで、夜中の3時から朝日が登るまで書きまくるんだ。それと、お前は、編集をやって、少年ジャンプの担当とのやり取りをしてくれ!詳しいことはマンションでだ。ここは、この世。個の世の少年ジャンプ、つまりお前が元いた世界の集英社とのパイプラインも必要だ。いいか?凄充2本と、今週のジャンプを買ってくるんだ!』
※僕は、バクマンという漫画が好きだったこともある。

僕とデーモンの一心同体の不思議な共同生活が始まる。続く

サイケデリック体験④サードアイが創った世界

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