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虫籠の話(皆のこと、ナミのこと)

先日まで、こちらの舞台に出演していました。
6/14までアーカイブ映像を販売しているので、よかったら見てね。
(Googleフォームに役者の名前を書くと扱いになるよ!)

留学前最後の舞台、そして自分の中で大切な作品になったので、ちゃんと文字化しておこうと思います。

まずは、公演期間中必死すぎてできなかった出演者のみんなのこと書いてきます。
それなりにネタバレています。

瓶の底のふたり
葛原幸乃ちゃん(ゆきの)
彼女は3年前の同じ演出家さんの作品で初共演して以降、いい飲み友達をしています。
だから、3年ぶりにちゃんとお芝居ができて嬉しかった!私たち成長したねぇ
とにかく努力家で一生懸命。そんなゆきのの演じるヒメは頑張り屋なところとか不器用さとか愛情深いところとか、ゆきのの持つ良いところが全部出ていて、その上で全力でぶつかってきてくれるから毎回影響を受けた。
「サトル!!」のところ、あんな真っ直ぐな気持ちぶつけられたら耐えられないよ。サトル役の喜三太さんが毎回石像ではありつつしっかり受け止めていたのも素敵だった。
素直であることって、本当に難しいことだけど、彼女の稽古場での姿勢は素直そのもの。どうかそのままもっともっといい俳優になってねと偉そうなことを願う。
何よりも虫籠を、瓶の底を、キャラクター達を心から愛してくれてありがとう。

二木凛歌ちゃん(りんか)
年下とは思えぬほど落ち着いていて、ナチュラルな雰囲気を纏った女の子。あとなんかカッコいい。立ち方?歩き方?など
結構はじめの方からタメ語を使ってくれてとても嬉しかった。距離感が心地良くて、繊細な気遣いのできる人。
りんかの演じるルリちゃんは、その打率の高さにいつも助けられました。役作りのためにめちゃめちゃ減量する、みたいなストイックさも持っていて、多分見えないところでめちゃくちゃ努力している人。
あと、苦しみ方が本当に上手 本当に すごい…
こういう技術的なところ含め、正しい努力を知ってる人なのかもしれない。
「引きこもりとして死ぬのが嫌だったからです」という台詞にはそんなりんかの(きっと)負けず嫌いな部分が色濃く出ていて、すごく良かったなぁ
泣いちゃいそうになるからいつも負けないように必死だった。
見習うところの多い俳優さん。

瓶の底のふたりは、年下なんだけどめちゃくちゃ助けられていて、二人がいないとナミはナミでいられないから、この二人がヒメとルリで本当によかった。幸せでした。

虫籠のみんな
異羽さん(ヤッコくん)
彼もまた3年ぐらいの付き合い。なので私はヤッコくんと呼んでいる。でも初共演。基本的に虫籠のひとたちと台詞を交わすことはないのだけど、ウォーミングアップのリピテションを何回か出来たのが楽しかった。本当に面白い。
有吉は、ハキハキとしていて社交的な方なのに、絶対に関わりたくないような気持ち悪さを身に纏っていて、それがヤッコくんでしか表現し得ないもの。しかもそれを結構最初から確立していて、唯一無二だなぁ、いいなぁと思っていた。小屋に入ってからもどんどん良くなって、垂れ流す汗が綺麗だった。
え?これからもっと俳優活動しますよね?負けられないなー!

aqiLaさん(あきらさん)
常人では到底不可能なタスクをこなしながら稽古に参加していたスーパーマン。たまに時空すら歪めてしまう。
実は、顔合わせ前にTwitterで繋がった時はちょっと怖い人なのかな…?と思っていました。
実際に会うと本当に物腰の柔らかい、湖のような静けさを持った方で、お芝居になると途端にその魅力が爆発する、いい意味で人間ではない何か。
しっかり人の目を見て話す人。でもそれがいやじゃない。
女子高生のことを「人間」「子供」として扱っていたことが印象的で、安易なカテゴライズでなく舞という役を大切にしている方なのだと思いました。
そんなあきらさん演じる舞ちゃんが本当に可愛らしくて、誰も敵わない。そんな存在でよかったなぁ。

喜三太拓也さん(きさんたさん)
劇団枕返しの主宰さん。
とてもお調子者でサディスティックな一面のある人。お犬のようにルンルンリピテションする姿が素敵なお兄さん。多分全ての動物から愛されている。
刑事をはじめ先生、奴隷、記者など虫籠中何役もこなせる技術、その安定さに皆助けられたはず。
瓶の底で見つめてくる男たちの中で一番影響を受けたのは喜三太さんだったかもしれない。物凄い執着と怨念を感じて怖かった。本当にずっと見てる。でも後で話を聞いて、あ、そっかってなった。呪いってあるんだな。すごく優しい人が怒るのは、怖い。
奴隷役めちゃくちゃ楽しそうだったから、やっぱり変な人なんだと思う。犬とししおどしが好きでした。

高野将大さん(たかちゃん)
チャーミングな人です。稽古を通して高ちゃんは、色んな人から愛される人なんだなと思った。それから、この公演を愛してくれてるのだなぁというのがとても伝わった。
瓶の底でのお父さん、執行人、独特な腐臭というか、異臭を漂わせていて、男たちとして見つめてくる時も、覗き込むような、真っ黒な瞳が印象的だった。
でも、虫籠のでの雲田は本当に切なくて、不器用で、つらかったなぁ。だって桐山に愛を告白する姿はあまりに美しいのだもの。その愚直さがねじれていなければ、或いは。
虫籠の皆に思うことだけど、今度は台詞を交わしてみたいと強く願う俳優さん。

中陳剛佑さん(じんさん)
虫籠の作者であり今公演の共同主宰。瓶の底の稽古時も稽古場に来て参加してくれていました。
リピテションをやると、子供のような純真な目をする瞬間があって、怖い時もあれば可愛く見える時もある、一番少年!って感じな人。リピテションできたのがほんとによかったな楽しかった。
またこういう形で共演?することができて本当に嬉しい。
桐山類は、ナミにとっても大事な役。舞台の端に座ってずうっと類のことを見ていると、なんだか、私たちってなんだろうねぇって気持ちが湧いてくる。
ゴンドラの唄、どんな気持ちで歌っていたのだろう。
「ところでどうして制服を着ているの?しばらく休校だって聞いたけど」のシーンが大好きです。ただただ安心して生きていたいだけなのに、どうしてこうも生きにくいんだろう。

虫籠の皆さんは全員、「子供のようなピュアさ」をどこか持っている方たちでした。
休み時間に怪物やヒーローの話で盛り上がるんです。愛らしい大人たち。また会いたいなぁ!



ナミのこと
ここからは私が演じた「ナミ」のことです。
言葉にできたことと、できそうでできなかったことなどごちゃついています。備忘録として!


※以下内容に関するネタバレあり※


高校生で時間が止まってしまった殺人鬼。
彼女のことは最後までわからないところが沢山あった。
きっと私には到底理解できない部分を沢山抱えた「そっち側」の人。
ぜったいに共感してはいけない役だし、内面から彼女を知っていくのは無理だと思った。だからナミの身体の状態を知っていくことから始めた。クセや、ストレスを受けた時どこが不快になるのか、など
個人的には有効だった気がするし、内面からのアプローチよりも良かったと思う。
これは役者として一歩前進な感じ!
彼女を知るために沢山の文献を調べたり、映画や作品に触れた。その中で、そういう人たちに共通していたことが何個か見つけられて、興味深い発見だった。(「そういう人たち」という言葉は暴力的かもしれない。もちろん安易にカテゴライズできるものではないのは承知の上で) 
この作業も、特に映画は、私の中では助けになった。役の身体の状態を具体的にイメージすることができたからだ。

共感はできないし、してはいけないけど、想像したり寄り添うことはできる。
ナミは私ではないし、私にできる最大限で寄り添うしかできないんだよな。
辛かったのは私がナミを愛しすぎてはいけないということ。ナミ自身がそうであるのと、罪や負荷を重く重く背負ってないといけない。
役の身体でエクササイズをするワークがあって、その中のやり取りで相手役から歩み寄るような優しい言葉をかけられて、その瞬間鳥肌がブワワッて立った。気持ち悪くなって、大きな衝動が生まれた瞬間があった。これがナミの身体なんだ。生きにくいね、大変だね。この体験は非常に面白かったから忘れないでおきたい!


もう絶対に許されないものしか愛すことができなかった人はどうすればいいんだろう、それは病気であり、治療するべきものであり、でもじゃあ、治療したらそれって治るのかな?私のこれ、は治さなきゃいけないのかな

ナミの中にはヒメアノ〜ルの森田くんが大きく存在している。
"フツー"の人間になりたかった"マヌケニンゲン"

「あのオジさんはゴルフが好き・・・
鉄道が好きな人もいるし・・・
釣りが好きな人もいる・・・
世の中にはたくさん楽しいことがあるんだ・・・
でも"稀"な側に入っちゃった人は損だな・・・・
例えば・・・幼児しか好きになれないオジさんとか・・・」
ヒメアノ〜ル 2巻

森田くんの存在は、大きなヒントになった

絶対に救えない人、はいる。それがナミのような人間なんだと思う。
(でも、本当にそうなのだろうか…?はずっと考えていきたい)
多分ナミはラストシーンの後成仏するのではなく、次の地獄に移動できただけだと思います。次はなんだろう、、、血の池地獄?

それでも彼女の魂に次、があるのなら、きっと幸せな魂になってねと祈る
(祈り、ってとても演劇的な行為だよねとふと)


あー、忙しくってちゃんとバイバイできたか不安だったけど、なんか大丈夫そう
最後に、好きだった台詞

「私は生きたい。私はあなたより普通だから。私はあなたより並だから。」

「そして、感じることができる自分に、心底安心するんです。」

地獄でどうかお元気に!

安童さんのこと
最後に少しだけ主宰、演出の安童さんの話。
元々劇団クオッカという劇団の主宰をしていて、(今は名前を変えて「獣の行進」という劇団になっていますTwitterはこの下に)
私はクオッカの時代に一度出演させてもらって、それから再びのオファーでした。
安童さんの演出は「役者を自由にする」をモットーにしていて、稽古の大半を占めるワークやエクササイズもそのために必要なものでした。
シーンワークに入ると執拗なまでに止めてきて、1.2行単位で止められてた記憶笑
威圧感とかはありません、ただ、やっていて違和感や無理してるなぁ言いにくかったなぁと感じたところで、しっかり止めてくれるのです。優しい。
その原因を一個一個丁寧に解きほぐしてくれる。時間はかかるけど、作品のためには必要な作業。
だから、俳優みんなが物語の中で生き生きとできる。
プロならば、家で準備をしてくるべきという声もあるだろうけど、稽古場でセッションをしてどうも1人でやりすぎてしまう、ただただ相手と話す、が難しい時もある。それを「やれ!」と突き放すのでなく一歩一歩歩んでくれたのが嬉しかった。安全な場所で、手放す勇気を持てる。これができる稽古場をほど嬉しいものはないよ!
この人の演出はたのしいし、決して大衆的ではない内容にも関わらず作品を届けよう!と座組みが一丸になれることがとてもいいなぁと思っていて、だからもっと人気出て欲しいですね。皆知って!


まとまらない文章だったけど、ここまで見てくれてありがとうございました。
あまりに支離滅裂なので、多分ちょこちょこ編集していきます。
見てくれた人が、沢山色んなことを考えたり、感想をくれたこの公演は成功だったんじゃないかなと思います。
そういう作品にこうして出演できて幸せでした。

とりあえず、アーカイブ配信は本日まで。まだみてない人は、よかったら虫籠の世界を覗いてみてください!ネタバレ見た上で見るのも楽しいかもよ🦋


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