『咲かずに枯れて』第一章1-4

登場人物                  

テト:音楽好きの高校2年生。バンドに憧れている

レイ:テトの中学生からの唯一の友達。ギターをやっている。

ツキ:テト達とは別の高校に通う高校1年生。ドラムをやっている。

第一章〜カフェ・ドール 1-4

『は。はじめまして。テトです!』

『レイでーす!』

テトは自分の緊張とは裏腹に初対面での会話に少しだけ慣れているレイがとても羨ましかった。

『じゃあ!えーと!自己紹介?する?!』

この少し気まずい空気を気遣い自慢げに自己紹介をドヤ顔で提案するテト。

『そうだなぁ!でも立ち話もあれだしカフェでも入るか』

『カフェいいですね!!!!!』

ツキちゃんが食い付いた。テトより上の気遣いをスマートに決めたレイの勝利。

『じゃあ行こっか!』

『オッケー!』

『はい!!!』

『ところでツキちゃんってドラム志望だっけ?いつからやってるの?』

レイが親しげに話しかける。

『えーと。中学生の時に吹奏楽部でパーカッションやっててそこからドラムやってるって感じです!』

『へぇー笑じゃあきっと上手いんだ!』

『いや。でも。あの。普通くらいです…。笑』

『よーーーし着いた!!!』

会話に入れないテトはカフェで先陣を切る事に決めた

駅と隣接しているカフェへの到着はあっという間だった。

カフェ・ドールと書かれた看板の横を通り店内に入ってゆく。

『皆んな何頼むーーー!?』

「俺はブラックコーヒーで』

『うぉっ。レイおっしゃれえ!笑』

『んー僕はメロンソーダフロートで!!ツキちゃんは何飲むー?』

『あ。えーとじゃあ…ジャスミンティーで!』

『ああ。トイレの消臭の匂いするやつだ。笑』

『笑笑』

『おい!テト!笑これからツキちゃんそれ飲むんだぞ。!』

テトにはデリカシーという概念がないのだ。

『ごめんごめん笑でもそうじゃん?』

『はいはい。笑そうだな。ごめんねツキちゃん』

レイがツキちゃんに謝りを入れる。

『いえ、それ私も思った事あるので全然大丈夫ですよ。笑』

『え?笑』

テトとまさかの同じ思考回路にレイはびっくり。

『流石ツキちゃん!!笑でもそれを飲むツキちゃんは謎が深いね。笑』

『まあ。美味しいので…笑』

『ではでは気を取り直して自己紹介でもしようか!!』

騒がしい店内が故に声が大きめのテトは2人には張り切って見えた。

『えーと!テトです!このバンドを作りました。一応リーダーかもしれません。ギターヴォーカルをやります!宜しくお願いします!!!』

『こんなんで大丈夫?笑』

『いいんじゃね?笑俺はレイです。気付いたらギターとしてこのバンドに参加させられていました。宜しく』

『その言い方やめてよレイ笑!!!』

『だってそうだろ?笑まあいいじゃん。次ツキちゃんねえ!』

『えーと。ツキです!高校1年生です。お2人とは  1つ歳下ですけど負けずに一生懸命やるので宜しくお願いします!!2人の足だけは引っ張らないようにはしますが分からないことだらけなので沢山教えて頂けると嬉しいです!!!』

「お。おう。よろしく。笑』

レイは少し自分の自己紹介に恥ずかしさを感じた笑。

『めちゃ元気でやる気あるじゃん!!!』

テトはツキちゃんのやる気にかなり満足した。

気合いはツキちゃんの大勝利だった。

『さて、皆んなに聞いて欲しい。』

テトが深刻そうな顔で皆んなに話し出す。

『なんだテト?』

『どうしましたか???』

『このバンドベース居ないけどどうする?』

ベースとはバンドにおいて低音を出す楽器であるのだがバンドには間違いなく必要不可欠な存在なのだ。

『確かにベースが居ないのはかなり不味いよなあ』

『そうですよね笑。レイさんがさっきギターと言ってたので気になってました。てっきりレイさんがベースで3ピースバンドなのかと。』

『いやいや。俺まだギター始めて間もないしギターが好きだからここに居るけどベースはないない。あとベースって地味なんだよなぁ。』

『そうなんですね…笑』

『とりあえずベースが見つかるまでは3人で練習していこう!』

『まあ。そうなるわな笑』

『ですね笑笑』

と言ってもかれこれ数ヶ月探しても見つからないベース。不安なテトだった。

『さて居ない物は仕方ない!話を進めるけど練習曲を1曲決めよう!それを各自練習してきてスタジオに入って合わせて練習しよう!』

『おお。テト何かやりたい曲はあるのか?』

『んー。まずは簡単で誰しもが知ってるやつとかがいいんじゃないかなあ?』

『私もそれに賛成です!!!』

『じゃあ、バクチダンスとか良く高校生バンドカバーしてるし簡単だしカッコいいしどう?』

『ああ。いいかもな笑それにするか』

『良いですね!それにしましょう!!!じゃあ次はいつ集まりますか?』

さっき会った時は俯いていたのに音楽の話になると凄く意欲的になるツキちゃんに2人はずっと驚いていた。

『そうだなぁ。どれくらいでこの曲を皆んなが覚えれるかによるよなぁ。レイはどれくらいかかりそう?』

『10日とか?笑』

『ツキちゃんはどれくらい掛かりそう?』

『そうですね。笑2日あれば完璧に!!!』

『はっや。笑テトはどれくらいだ?』

『ギタボはコード弾くだけだから余裕もって1週間あれば行けると思う!歌もあるけど…笑』

『まあさらに余裕を持って15日後とかにしよう!』

『賛成!』『私もそれで大丈夫です!!!』

『じゃあ15日後にまたさっきの所に集合で!不明点はLINEグループで相談し合う事にしましょう』

15日後バンドとして3人での初の音合わせが決まった。

そしてその日はあっという間にやってきた。

『ツキちゃん久しぶり!!!笑』

『テトくん!!!久しぶりです!!』

グループLINEで常に連絡を取り合ってた3人はすっかり距離を縮めていた。

『てかレイ遅いね笑』

『え?今日は一緒じゃないんですか???』

『なんか寄る所あるから先行っててって言われたんだけど。』

『んーもう少し待ってみましょう!!!』

サッサッサッサッ

『よおお!テト!!!』

レイの声が背後から聞こえた

『こんにちはっす』

『遅いぞレイ!!!ん?っす?横に居る子は誰?』

『ああ。ベースだよ』

『えええええええええええええ。?』

驚きを隠せないテト。

『レイくん笑笑』

笑いながらも緊張しだすツキ。俯き出した。

『ん?2人ともどうした?笑』

1-5に続く


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