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うちのだんなさんがカッコイイ件⑯まもる

だんなさんはカッコイイ。
なぜなら
守備範囲が広いのだ。

25年ほど前、妊娠9ヶ月ころ
だんなさんの運転で
おくさんは助手席。
当時はシートベルトの規制が
まだ甘かった。
せり出したおくさんのお腹。
シートベルトはしていなかった。
いつも通りの安全運転。
だんなさんが安全運転でも
まわりみんながそうとは限らない。
対向車の危険な運転。
「あっ」
と、息の止まった瞬間、急ブレーキ。
だんなさんの左腕が
おくさんの体をささえた。

何事も無かった。
おくさんもお腹も
護られた。

無言のだんなさん。

怒っている。
これは、とっても怒っている。
これは、とっても怒っている。
こわい。
普段怒らない人間は余計に恐い。

長い沈黙のあと
ぽつりとだんなさん
「よかった···。
自信なかったんだよ。
いざという時
まもれるか。」

怒っていなかった。

どうやら
頭では「まもりたい」と思っていても
瞬時に体は動くのか?
と、不安を抱いていたらしい。

以来、義務化の前から
わが家はシートベルト義務化である。
大人はもちろん、0歳児のかわいい娘が
泣いても怒ってもわめいても
義務化前から義務化である。
3歳の頃にはチャイルドシートから
「ふたつのて~!」
(「キチンと2つの手でハンドルを握りなさい!」)
と、運転するだんなさんを
よく叱るようになり、
運転に厳しい娘に育ちそうだ。

今では社会人となった娘。
だんなさんを助手席に
長距離を走るようにもなった。
出したい口をおさえ
はらはらする気持ちをおさえ
黙って運転を見守る。

生意気さかリの娘をも
黙って見守れる
だんなさんは
カッコイイ
のだ。



※繁忙期も終わり、ぽつりぽつり再開。
読んでくださってありがとうございます。

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