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チームで協働するための「デザイン批評」読書会実践レポート

GMOペパボ で「コーポレート・デザイン・チーム」という、デザイナーばかりが所属しているチームでデザイナーをしています @sizucca です。

最近、チーム全員(4人)で読書会を行っています。

発案者は自分だったのですが、私自身、読書会の経験が少なく、「発案したはいいけど、どうやって進めよう?」と10分くらい悩みました。

あたり前かもしれませんが、読書会を行う目的によって様々なやり方があるのではないかと思ったので、自分たちが行った読書会の目的と、そのやり方を書き記してみようと思います。

ちなみに、読んだ本は「みんなではじめるデザイン批評」です。

読書会の目的

・チーム全員の「デザイン批評」スキルを向上させること

これに尽きます。積み本を減らしたかったわけでもなければ、一人で読むと途中で挫折するからみんなを巻き込みたかったわけでもない。

「各自で読んで勉強してね〜」でもいいのかも?とも思いましたが、結果としては読書会形式にしてよかったと思います。(理由は後述。)

必要だと思ったこと

・全員が本に書いてある内容を理解し、共通認識を持つこと
・学んだ内容を実践で活かせるようになること

あとは、「この読書会をはじめよう」と思いつき、チームに合意を得たのが2月頭だったのですが、当時、従業員全員がリモートワーク(在宅勤務)体制に入っていたため、「オンライン環境で行える方法であること」も必要でした。(リモートワーク云々について書いた記事はこちら

オフィスでの対面環境に特化した手法をリモートワークに導入するのは(手法によっては)難しいかもしれませんが、オンライン環境で実践可能な方法にしておけば、オンライン環境・オフライン環境どちらも対応できるな、と思いました。大は小を兼ねる。オンラインはオフラインを兼ねる。

その他の要件

・チーム全員参加(とはいえ 4人という少人数チーム)
・2ヶ月以内に読み終わりたい
・誰か1人に負担が集中したり、読書会の準備が大変、という形にはしたくない

実際の流れ

0. 事前準備

・読書会用のツール(Google ドキュメント)を用意する
・読み終わるまでの読書スケジュールと、各回のファシリテーターを決める

ツールは、複数人がリアルタイムにテキストや画像を編集できるツールであれば何でも大丈夫です。私のいるチームは、議事録にも Google ドキュメントを利用していて、全員操作に慣れているので特に他のツールを考慮することまでしませんでしたが、Notion などでもいいと思います。

今回は、週に1度の読書会で、1章ずつ進めていくことにしました。

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1. 読書会までにやること

各自で本を熟読し、上記の Google ドキュメントに以下の内容を書いておきます。

・読書メモ(これはあってもなくても)
・疑問、質問など(議論したいこと)
・今後の実践ポイント(心がけようとおもったことなど)

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実際のシートは1回でこんな感じになりました。

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2. 読書会当日

・全員カメラ ON でビデオ会議をつなぐ
・ファシリテーターが、各自の「疑問、質問」「今後の実践ポイント」についてを話の軸に、感想を回していく

事前に、話したいことや共有したいことをシートに書いておき、基本的にはシートを参照しながら進めているので、会話の筋を見失うことなく、スムーズかつ濃い会話ができます。

本に書かれている事以外で共有したい内容や画像なども、事前にシートに貼っておくことで「え〜っと、あれ、あのサイトなんだっけ」「あの図ってどこにあったっけ?」と探す時間がかからないので、読書会の時間を有効活用できると思いました。

ファシリテーターの役割も簡単なタイムキープが主なので、「次回は自分の担当回だからあれとあれを準備しなきゃ!!」というプレッシャーを感じることなく進められていると思います。(多分...。)

あとは、ひたすら「読書会までに読んで、感想を書いて」、「読書会でみんなで議論する」を繰り返しています。

やってみた感想

1. 各自で議論したい内容や今後の実践ポイントを整理してから集まるので、深い議論ができる

誰か一人が内容をまとめ、それを発表する形式ではなく、全員があらかじめポイントを絞って感想を言い合う形式なので、全員が同じ詳細度で事前準備を行うことができた(行う必要があった)と思います。

・他人任せになりすぎることなく、事前にある程度本を読むことができる(というか読まなければならない。締切をもうけるの大事。)
・その上で、理解しきれなかったところや不明点を、他の人の解説や考えを聞くことで、知らなかったことを知れたり、理解を深めたりすることができる

逆に言うと毎回サボれないのですが、どこかの回だけ頑張る、という必要もないので、個人的には毎回このくらいの準備をする、というバランスはちょうどいいな、と思いました。

(他の人がどう思っているかは分かりませんが…。個人的には、このくらいの制約がないとちゃんと読まないダメ人間。)

2. チーム全員の共通理解や言語が増えるので、実践に取り入れやすい

最初は手探り状態でスタートしましたが、読書会自体のやり方に慣れてくると、「こういう事よくあるから気を付けたいよね」という話がしやすくなり、「こういうやり方なら今のプロセスにすぐに取り入れられそうだから早速やってみよう!」と、「具体的に実務にどう活かすか」が読書会の中で決まったりもしました。

これは、まさに「同じチーム」「全員」で読んでいるからこそ生み出せるメリットだな、と感じています。

読書会の時間以外でも、「ここは、本に書いてあったあの方法を試してみるといいかも」など、共通理解と認識が1冊分あるので、本の題材に関することの会話がスムーズになりました。

3. 以下のツールさえあれば、リモートワークでも問題なく行える

・板書の代わりになるもの(Google ドキュメント、Notion など)
・ビデオ会議ができるもの(Google Hangouts Meet、Zoom など。あとは邪魔が入らない静かな環境)

むしろ、対面の会議室で、全員の顔(表情)を正面から同時に見ながら議事録を参照する、という芸当が難しいときもあるので、集中できる環境さえ確保できれば、リモートワークの方が快適なのでは?と思いました。

さいごに

実はこれを書いている現在、まだ読書会は終わっていないので、「やってみた感想」は現時点でのものになります。(改善ポイントや、他のチームメンバーで違う感想を抱いている人もいるかもしれません。)

今回の読書会の目的が達成され、目に見える価値に繋がるかどうかもこれから分かるか…分からないか(弱気)

あとは、チームの人数が8人とか10人になると、この方法 は難しいかも、と感じています。(4人という少人数のチーム、しかも全員同じ職種だから成り立っている所もあるかなと思います。)

が、「読書会のやり方」で検索してみると、「こんな本を読んだ!」という記事はいくつか HIT したのですが、「こんな方法で行っている!」という主催者目線の記事はあまり見つけられなかったので(私の検索能力の問題かも知れませんが;;)あまり汎用化は考えず、ありのままを書いてみました。

社内(GMOペパボ)でも朝昼夕方問わず、様々な読書会が行われているようなので、「うちはこんなやり方しているよ!」という事例があればぜひ教えて下さい。(社内で行われているならお前もっと他の読書会にも参加しろよという感じもしますが。)

あとは、ペパボのデザイナーが読んでいる本の情報を集めた社内ライブラリー的なリストを最近公開したので、ペタリと。

それでは (。・ω・。)ノ

事業会社でデザイナーとして働いています。コーヒーとラーメンと間取り図が好きです。(Flaticon Premium licenses user)