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動植物の話5 愛すべき片足のないオスの十姉妹

昔飼っていた十姉妹のつがいは、三十羽以上の多くのヒナを孵してきた。

この二羽の繁殖力は旺盛で、年中、オスメス交代で卵を抱いている。
ヒナが孵り巣立ちして、別のカゴに移してやると、また適当に卵を産んでいた。

そんな中に、片足のない十姉妹が一羽いた。
ヒナから成鳥になる頃、カゴの金属に足を挟まれて、壊死してしまったのであった。
例えて言うなら、足はあるが、膝から先がないような状態でした。
だから短い片足はあるけれども、止まり木は掴めないという状態です。

これを見た時、可哀想だが、長くは生きられないと思いました。

五体満足でも、幼鳥の頃に死んでいくものがいるのだから、こんなハンディーを持って生きていけるわけはない。だから、せめて死ぬまでは面倒を見てあげようと思った。

ところがこの鳥、どういうわけか二年以上過ぎても、元気に生き抜いていた。
そして、今までに三度ほど、命拾いをしている。
運のあるオスの十姉妹でした。

最初は、足がカゴの天井の網に引っかかり、宙ぶらりんでもがいていたのを見つけた時。

次は、カゴを掃除している最中、底の隙間から逃げ出して飛んでいったが、幸い裏の勝手口の所にうずくまっていて、それを運良く見つけた時。

三回目も同様に逃げ出して、運よく庭で見つけた時。

それ以来、この鳥が何となく愛しく思えてきた。
片足が不自由なため、普通にエサ入れからは食べられず、他の十姉妹が食べ散らかして下に落ちているエサを、一粒ずつ拾うように食べていた。
水は、水浴び用に下に置かれた容器から飲んでいた。

また止まり木の片隅で、不安定な体を片足で支え、うまくバランスを取りながら掴まって、オス特有の求愛ダンスをしていた。

こんなハンディーがあっても、何とか健気に生きているオスの十姉妹。
私はその当時、少し精神的に病んでいた頃であった。
そんな十姉妹の姿に、なんとも言えない気分になった。


イチゴの花

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