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覚醒の話27 出てこないインクへの思い(583文字)

よくボールペンで文字を書いていて、途中で書けなくなることがあります。
まだインクはたっぷりあるのに、ペン先からインクが出てこず、全く書けない。
紙の上で、何度も何度も円を描くようにして刺激を与えても 一向にインクが出てこない状態です。

ボールペンなど安いものなので、そのまま捨ててもどうということもないのだが、そんなときは理由もなく執念が出て、何としてでも必死になって出そうとしたりします。
それでもなかなかインクは出てきません。

ペン先の金具を外してインクの筒を出し、火であぶって柔らかくしてみることもあるが、それでも全く変化はなかったりします。

「まだこんなにインクが残っているのだから・・・」と思いながら、どうにかして出そうと試みるが、その甲斐はなし。
結局、口惜しいが、ゴミ箱に投げ捨てる結果となります。

インクが途中で詰まってしまうと、そのあとのインクまで全て台無しです。

こんなとき、私は、人生の在り様と関連付けたくなるのです。
一つの所で留まってしまい先に進めない状態は、まだたくさん残されているこれからの人生そのものが全てダメになってしまうような感覚です。

私は、ボールペンを捨てたあと、
「自分の人生はこうしたくはないな~」
などと、感じてしまう。

ボールペンのインクを最後まで使い切って、全く書けなくなったとき、本当に気持ちがいい感覚になるのです。
人生も同じような気がします。

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