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君が俺の前から消えた日。

『雨は好きかい』
『考えたこと、なかったな。本を読んでいる時に、雨が降っていれば落ち着く』
『曇りが好きって言わないんだね。』
『好きな映画だけど。俺の話でしょ。』

雨音を聞いて、ふと
友達なんかいらない人だ。
なんて、つぶやいてみた。
口には出してなかったかもしれない。

夜が柔らかな綿毛の素振りで、優しく俺を包んでいる。
『こういう時は、思い出に浸ってのんびりしなよ。』
苦しむ事を知っているくせ。
優しいふりと表情で、俺があの日に溺れるのを。

目の前から、俺を理解した誰かが消える。
互いに心を通わせた君がいなくなる。
俺を、受け入れることができなくなったのかい。
俺を、疎んじていたのかい。
俺が、俺が、俺が、俺が、俺が。
何も言わないまま、ただ、居なくなったんだ。

酷いじゃぁないか。
こんなに私は自らを。あんなに君は心の声を。
互いにヤスリのような言葉の掌で、頬を髪を指を胸を。
……撫ぜていったのに。
君のつけた微細な傷は、君しか形を埋めれないのに。
歪な痛みを覚える俺を、どうして放って置けるのだろう。

君が女であればよかった。
友達でなければよかった。

夜の1人の自由な時間。
今も雨が降っているよ。

友達なんか要らない人だ。
ようやく、美しくなったその思い出を。
誰かに見ようとした事もあったけど。

どうせ。
また、私の前から消えるんだ。

あれほど向かい合っていた。
俺たちだって現にほら。
もうどこにもいないから。

夜は、いつも俺を見つける。
どんなにロックを心にしても。
隙間から俺を見つけて優しく包み込む。

雨の音がきこえてる。

また、あの日々を思い出す。

俺は、友達なんか要らない人だ。

君が、俺の前から消えた日を。

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