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第58回理学療法士国家試験 午後66-70の解説


息子は57回の国試では不合格で、1年間一緒に勉強し、58回の国試になんとか合格する事ができました。一緒に勉強したというのは、私が医師の立場でいろいろ教える事ができたという事です。理学療法士の専門ではありませんが、医師である事から、それなりに知識もありますので、恩返しの意味を込めて、解説やコメントをしたいと思います(いわゆる理学療法士出身の予備校講師や塾の先生と比較して詳しいところもありますが、詳しくないところもありますのでご容赦ください)。もしこれは違うよという所があればご連絡いただければ幸いです。

 
66.血球とその働きの組み合わせで正しいのはどれか。2つ選べ。(58回午後66)
 
1.顆粒球  ― 止血
2.血小板  ― 病原体の貪食
3.赤血球  ― ヘモグロビンの輸送
4.単球   ー 栄養素の運搬
5.リンパ球 ― 抗体の産生

                   【答え】3、5
【解説】
 解剖生理の血液についての出題です。

1.顆粒球  ― 止血:×
 顆粒球は白血球の1種です。白血球のうち、内部につぶつぶの顆粒をもつものを顆粒球、顆粒を持たないものにリンパ球と単球があります。すべて核(1個)があります。顆粒球は内部の顆粒がギムザ染色によって赤色に染まる好酸球、青色に染まる好塩基球、色に染まらない好中球に分類されます。
 顆粒球は白血球の1種ですので、基本的に異物の除去がその役割になります。

看護Roo! 侵入してきた敵をたたく白血球|守る(2)より引用
https://www.kango-roo.com/learning/1727/

2.血小板  ― 病原体の貪食:×
 血小板は造血幹細胞から分化した巨核細胞の細胞質がちぎれる事によってできます。細胞質がちぎれてできるので核はありません。血小板は出血したときにまず出血を止める一次止血に働きます(二次止血は凝固因子)。寿命は約10日間です。

エヌオピ 血小板減少症はどのような病気/症状ですか? より引用・改変
https://n-opi.com/kesyouban/

3.赤血球  ― ヘモグロビンの輸送:○
 赤血球は内部にヘモグロビンを含有しており、ヘモグロビンは酸素と結合して、組織に酸素を運搬します。造血時には核がありますが、成熟過程で脱核し核がありません。また細胞質内にミトコンドリアもリボゾームもありません。寿命は約120日です。

4.単球   ー 栄養素の運搬:×
 単球も白血球の1種です。細胞質内に顆粒を持ちません。単球は異物を貪食し、リンパ球に抗原提示を行います。

看護Roo! 侵入してきた敵をたたく白血球|守る(2)より引用
https://www.kango-roo.com/learning/1727/

 異物貪食作用にある細胞には他にマクロファージや樹状細胞がありますが、血管内にあるものを単球と呼び、血管外に出たものをマクロファージや樹状細胞と呼びます。樹状細胞は皮膚に多く存在します。肺胞にあるものは肺胞マクロファージ、肝臓にあるものはクッパー細胞と呼ばれます。

阪大微研のやわらかサイエンス 感染症と免疫のQ&A 単球って何? より引用
https://biken.yawaraka-science.com/qa/detail/106

5.リンパ球 ― 抗体の産生:△
 抗体は異物が生体内に侵入してきた場合、単球やマクロファージが異物を貪食した後、抗原情報をヘルパーT細胞(Tリンパ球)に提示し、へルパーT細胞がBリンパ球に指令をだすと、Bリンパ球が形質細胞に分化して抗体を作ります。
 したがって、厳密には抗体を作るのはリンパ球ではなくて、形質細胞ですが、今回の問題では厚労省発表では「リンパ球ー抗体産生」が○となっています。
 これも素直に「リンパ球ー形質細胞」と出題すれば正確ですが、試験出題委員が受験生を惑わそう、ひっかけようと意図した出題だと思います。本当に意地悪いですね。素直に形質細胞と書けば良いのに…。

 なお53回午前64には以下のような出題があります。こちらはまともですが、この問題を見て出題委員が形質細胞→リンパ球と変えて出題したのであれば、相当にひねくれてますね。そんなひっかけ、ひねくれ問題は国試では避けてもらいたいです。国試の意義ってそういう事ではないですから。
………………………………………………………………………..
抗体を産生するのはどれか。 (第53回午前64)
1. 好酸球    
2. 好中球    
3. 好塩基球
4. 形質細胞   
5. マクロファージ
                   答え:4
………………………………………………………………………..

67.胃の分泌で正しいのはどれか。2つ選べ。(58回午後67)
 
1.ヒスタミンは胃酸分泌を抑制する
2.迷走神経刺激は胃酸分泌を促進する
3.ガストリンはタンパク質の消化酵素である
4.内因子はビタミンB12の吸収に関与する
5.ペプシノーゲンは壁細胞から分泌される

                  【答え】2,4
【解説】
 胃に内分泌・外分泌についての問題です。選択肢1にヒスタミンが出てきています。薬剤が今後国試に出題されるそうですが、それについての事前テストといったところでしょうか?
 胃での食べ物の消化について簡単にまとめます。食物が胃の出口(幽門)に来るとG細胞(ガストリン細胞)からガストリンが血管内に内分泌されます。すると胃底部にある3つの細胞を刺激して、主細胞からはペプシノーゲンが、壁細胞からは胃酸と内因子が、副細胞からは粘液(ムチン)が胃内に外分泌されます。
 ペプシノーゲンは胃内でペプシンに分解され、タンパク質をポリペプチドに分解します。内因子はビタミンB12の吸収に関与します。また胃酸の分泌が低下すると鉄の吸収も低下します。

 これまで理学療法士の国家試験では、胃酸については、ガストリンが胃の壁細胞を刺激して胃酸分泌を促進するという事を知っておけば良かったですが、今回はヒスタミンと胃酸の関係について出題されています。
 実は胃において、胃酸分泌を促進するのはガストリンだけではありません。例えば副交感神経が興奮すれば、食物が胃内になくても胃酸分泌が高まります。これにはガストリンは関与しておらず、胃にある副交感神経の受容体にアセチルコリンが結合する事によって、胃酸分泌が促進されます(詳しく説明すると、副交感神経の受容体には、ニコチン受容体とムスカリン受容体の2種類があって、次の図のように副交感神経節前線維の受容体はニコチン受容体、節後線維の受容体はムスカリン受容体といいます)。さらにその次の図でアセチルコリンが結合する副交感神経の受容体がムスカリン受容体と書かれているのはそういう意味です。

つぼパレット 交感・副交感の神経伝達をわかりやすく!アセチルコリン?ノルアドレナリン?
受容体の覚え方 より引用
https://tmotsubo.com/89massage/class/7805/

 胃酸分泌に作用する伝達物質としては、ガストリン・アセチルコリン(副交感神経の受容体はムスカリン受容体)の他にヒスタミンがあります。ヒスタミンもまた胃酸分泌を促進します。
 ヒスタミンは摂食刺激にともなうガストリン放出によって胃体部に存在する(腸クロム親和性細胞様)細胞から放出され、壁細胞にあるヒスタミン2受容体(H2受容体)を介して胃酸分泌を促します。

エスエス製薬 ガストールのHP 胃酸分泌の仕組み より引用
https://www.ssp.co.jp/gastol/stomach/hyperacidity/
 

 ヒスタミンの受容体にはH1受容体とH2受容体の他、合計4つの受容体がありますが、I型アレルギーに関連する受容体はH1受容体壁細胞にあり胃酸分泌を促進させる受容体はH2受容体です。
 胃潰瘍に用いられる胃酸分泌抑制剤であるファモチジンはH2 受容体をブロックするのでH2ブロッカーと言われます。

 よくコマーシャルでみかける胃薬ガスター10の成分はファモチジンで、H2ブロッカーです。薬剤問題対策として知っておいてください。

 では選択肢を見ていきましょう。

1.ヒスタミンは胃酸分泌を抑制する:×
 ヒスタミンは胃酸分泌を促進します。胃酸分泌を抑制するにはH2ブロッカーというヒスタミン受容体をブロックする薬を用います。

2.迷走神経刺激は胃酸分泌を促進する:○
 迷走神経刺激は消化管の活動を促進します。消化管の蠕動を促進するとともに、胃酸を始め消化液の分泌を促進します。

3.ガストリンはタンパク質の消化酵素である:×
 ガストリンは胃の主細胞に働き、ペプシノーゲンの分泌を促進します。タンパク質の消化酵素はペプシノーゲンが胃内で変換されたペプシンです。

4.内因子はビタミンB12の吸収に関与する:○
 胃の壁細胞から分泌される内因子はビタミンB12の吸収に関与します。

5.ペプシノーゲンは壁細胞から分泌される:×
 ペプシノーゲンは胃の主細胞から分泌されます。


 
68.排便機構で正しいのはどれか。(58回午後68)
 
1.便意は内肛門括約筋の伸展で生じる
2.大腸内容物の混和は大蠕動で行われる
3.直腸の収縮はアセチルコリンで促進される
4.骨盤神経のインパルスは外肛門括約筋を収縮させる
5.上行結腸における大腸内容物の性状は半固形状である

                    【答え】3
【解説】
選択肢2の大蠕動はすこし聞き慣れない用語です。設問は「正しい」ものを一つ選ぶ問題ですので、他の4つの内に正しいものがないか探すのが国試本番でもテクニックになります。
 まず簡単に排便機構について復習します。排便に関連するのは直腸平滑筋、内肛門括約筋、外肛門括約筋の3つです。排尿に関連する排尿筋・内尿道括約筋・外尿道括約筋と同じ関係です。支配神経も排尿と同じです。

・交感神経はTh12〜L2から出る下腹神経です。蓄便に働きます(直腸外平滑筋を弛緩させ、内肛門括約筋を収縮させます)。

・副交感神経はS2〜S4から出る骨盤神経です。排便に働きます(直腸外平滑筋を収縮させ、内肛門括約筋を弛緩させます。また骨盤神経は直腸の知覚(求心性線維)も担います。

・体性運動神経はS2〜S4から出る陰部神経です。随意神経で、蓄便時には外肛門括約筋を収縮させ、排便時には外肛門括約筋を弛緩させます。

 便意を感じる求心路は副交感神経の骨盤神経です。直腸内圧が30〜40mmHgになると便意を感じます。下図右のように、肛門にさしを挿入した図をイメージし、さし(34)→30〜40mmHgと覚えました。

左図はクエスチョンバンクより引用

では選択肢を見ていきます。

1.便意は内肛門括約筋の伸展で生じる:×
 便意は直腸壁が伸展される事によって生じます。

2.大腸内容物の混和は大蠕動で行われる:×
 蠕動運動は腸管内で食物を肛門側に運ぶ動きです。食事で胃に食物が入ると、胃・結腸反射という反射が起こり、結腸に蠕動が起こります(直腸には起こりません)。食事は1日3回(朝食・昼食・夕食)あると思いますが、胃・結腸反射による大腸の蠕動は、胃や小腸に食物がない状態で強く・大きな蠕動が起こる事が知られています。これを大蠕動といいます。大蠕動は朝食後に起こりやすいと言われています。
 胃・結腸反射により、S状結腸にある便が直腸に送り込まれ、直腸内圧が30-40mmHg以上に上昇すると便意を感じます。

 また腸の動きには蠕動運動の他に、分節運動振子運動があります。蠕動は食べ物を肛門側に送る運動で、内容物の混和は分節運動や振子運動によって行われます。

①蠕動運動
 腸管の口側が狭まり、肛門側が広がる事で食べ物を肛門側へ送る運動。縦走筋と輪状筋が協調しておこります。

②分節運動
 食べ物を粉々に分解し、消化液を混ぜ合わせるために、腸がくびれる運動。主として輪状筋の収縮・弛緩によって起こります。

③振り子運動
食べ物を混ぜ合わせながら移動させるために腸管がジャバラ状に伸縮する運動。主として縦走筋の収縮・弛緩によって起こります。

廣川徹男事務所のHP 腸管の蠕動運動から引用
https://hirokawa-tp.co.jp/movie_01/movie.php?id=207

なお、腸の壁を食物などが拡張すると、手前(口側)の腸管が収縮し、奥(肛門側)の腸が拡張し、食物が先に先に蠕動で送られる事を「腸の法則」と呼びます。


3.直腸の収縮はアセチルコリンで促進される:○
 排便は副交感神経亢進で促進されます。副交感神経の節後線維の神経伝達物質はアセチルコリンです。したがってアセチルコリンにより、副交感神経が刺激され、直腸平滑筋は収縮します。

4.骨盤神経のインパルスは外肛門括約筋を収縮させる:×
 直腸の求心性線維である骨盤神経が興奮すると、排便に働くので、直腸平滑筋は収縮し、内肛門括約筋は弛緩します。骨盤神経のインパルスは便意を生じるので、随意筋である陰部神経を介して外肛門括約筋は弛緩します。

5.上行結腸における大腸内容物の性状は半固形状である:×
 小腸から回盲弁を通って上行結腸に入るときの大腸内容物はほほ水様便です。それが横行結腸・下行結腸と進むにつれ水分が吸収され半固形便となり、S状結腸に到達するぐらいには固形便になっています。


69.筋と作用の組み合わせで正しいのはどれか。2つ選べ。(58回午後69)
 
1.足の長指伸筋 ― 足内がえし
2.後脛骨筋   ― 足外がえし
3.短腓骨筋   ― 足底屈
4.薄 筋    ― 膝屈曲
5.縫工筋    ― 膝伸展

                   【答え】3、4
【解説】
運動学の下肢の筋肉の基本的作用の問題です。このような問題は確実に正解したいところです。

1.足の長指伸筋 ― 足内がえし:×
 長指伸筋は第2〜5指の中節骨・末節骨の背側面に呈しするので、足関節の背屈・外反作用があります。
 母指に停止する長母指伸筋が内反作用と考えれば、母指以外の第2〜5指に停止する長指伸筋は外反作用と覚えるのは比較的簡単ですね。

2.後脛骨筋   ― 足外がえし:×
 後脛骨筋は、下腿三頭筋の奥にあり、脛骨と腓骨の両方とその骨間膜に起始します(国試既出)。そして、足関節の内側に向い、内果の下を通って、第2〜4中足骨底、舟状骨、楔状骨、立方骨に停止します。したがって作用は足関節底屈と内反になります(いわゆる内がえし)。一旦内側の内果と通って、足の下面に広がるので、内反になりますね。走行を理解すれば外反でないのは明らかです。

3.短腓骨筋   ― 足底屈:○
 短腓骨筋は、下図右のように、腓骨の外側下方1/3に起始し、停止は第5中足骨茎状突起、浅腓骨神経支配で、作用は足関節底屈・外反になります。


4.薄 筋    ― 膝屈曲:○
 薄筋は股関節内転筋の一つで、膝関節を超えて内側の鵞足に停止しています。股関節内転・外旋に加えて、膝関節伸屈曲・下腿内旋作用があります。
前からくるので膝伸展と思うかもしれませんが、鵞足(は位置が後ろです)に停止しているので、次の縫工筋と同様、膝屈曲作用になります。

5.縫工筋    ― 膝伸展:×  
 縫工筋は上前腸骨棘から起始し、鵞足に停止します。神経支配は大腿神経です。二関節筋で、股関節は屈曲・外転・外旋、膝関節は屈曲、下腿は内旋作用があります。あぐらをかくイメージなので、膝伸展でないのは容易にわかると思います。

70.肩甲骨外転・上方回旋を伴い、肩関節屈曲位保持に作用するのはどれか。(58回午後70)
 
1.棘下筋
2.広背筋
3.小円筋
4.前鋸筋
5.菱形筋

                    【答え】4
【解説】
 運動学の肩甲骨に関する問題です。肩甲骨外転・上方回旋とくれば、選択肢も見なくても前鋸筋を思い浮かべたい問題です。

1.棘下筋:×
 棘下筋と小円筋は上腕骨大結節に後ろから停止し、ローテーターカフのうち、肩関節を外転する筋です。
(注)たとえ肩甲骨に起始・停止していても、一方が上腕骨の場合は、肩甲骨への作用はなく、上腕骨への作用になります(上腕骨の方が動きやすいのです)。

2.広背筋
 広背筋は上腕骨の小結節稜に停止し、主な作用は肩関節の伸展・内旋・内転ですが、肩甲骨に対しては肩甲骨の下角のみに付着し、内縁には付着しない事から、肩甲骨の下制作用がありますが、内転・外転や回旋作用はありません。(注)肩甲骨と体幹が起始・停止していれば肩甲骨に対する作用が出てきます・

3.小円筋:×
 選択肢1と同様です。棘下筋と小円筋は上腕骨大結節に後ろから停止し、ローテーターカフのうち、肩関節を外転する筋です。

4.前鋸筋:○
 前鋸筋はその作用がイメージしずらいので国試頻出です。
起始が第1〜9肋骨で、停止が肩甲骨上角・内側縁・下角です。上腕骨との関節面が回転の中心になるとイメージしましょう。下図の左のように、前下方に引っ張られますが、肩甲骨自体は脊柱より離れて前に行きますので肩甲骨外転作用があります。また、赤矢印のように外側に向かって回転しますが、後ろから見ると、外上の方向に回っていくように見えるので、上方回旋といいます。逆に脊柱の方に向かって内側に回っていくものを下方回旋といいます。

陸上競技の理論と実践〜Sprint&Conditioning 〜肩甲骨から腕を振るとは? より引用・改変https://sprint-condition.info/category32/entry322.html

 ついでに、肩甲骨を上方回旋させる2つの筋を覚えておいてください。
・前鋸筋は肩甲骨の外転と上方回旋作用があります。
・僧帽筋の中部線維は肩甲骨の内転と上方回旋作用があります。
なお僧帽筋の上部線維は肩甲骨挙上のみ、僧帽筋の下部線維は肩甲骨内転と下制のみで回旋作用はありません。

前鋸筋は腕を前に押し出すときに力を発揮するためボクサー筋とも言われます。右ストレートの時に働くんですね。

名古屋 筋膜リリース専門 くろの療術所
ヒーロー対決 前鋸筋 ~意外と知らない肩のヒミツ Part5~ より引用
https://chronos-184.com/fasca/shoulder005/

前鋸筋の作用は肩甲骨の外転・上方回旋なので、前鋸筋の筋力低下により反対の作用、すなわち肩甲骨の内転と下方回旋をきたします。この状態を翼状肩甲といいます【重要】。

日本整形外科学会 翼状肩甲骨 より引用・改変
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/winged_scapula.html

5.菱形筋:×
 菱形筋はC5〜T5の棘突起に起始し、肩甲骨の内側縁に停止します。肩甲骨の内側縁に停止するので肩甲骨の内転作用があり、起始が肩甲骨よりも少し上の方向にあるので、肩甲骨は下方回旋します。

補足ですが、肩甲骨の下方回旋の作用があるのは、菱形筋の他にあと2つ、肩甲挙筋小胸筋があります。
 肩甲挙筋はC1からC4の横突起に起始し、肩甲骨の上角に停止しますが、一部肩甲骨の内側縁に停止しているので、肩甲骨の挙上に加えて下方回旋の作用があります。

 あともう一つは小胸筋です。これは肩甲骨の前(腹側)から肩甲骨を下方回旋させます。

小胸筋の肩甲骨に対する作用は3つあります。下図のように外転・下方回旋・下制です。前鋸筋とは異なり、肩甲骨内側縁ではなく、烏口突起に停止しているので下方回旋になります。

肩甲骨の上方回旋と下方回旋についてはイメージしずらい所もありますので、しっかり整理しておいてください。



Dr. Sixty_valleyの第60回理学療法士国家試験対策のポータルサイトページは以下です。

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