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第58回理学療法士国家試験 午前41-45の解説

息子は57回の国試では不合格で、1年間一緒に勉強し、58回の国試になんとか合格する事ができました。一緒に勉強したというのは、私が医師の立場でいろいろ教える事ができたという事です。理学療法士の専門ではありませんが、医師である事から、それなりに知識もありますので、恩返しの意味を込めて、解説やコメントをしたいと思います(いわゆる理学療法士出身の予備校講師や塾の先生と比較して詳しいところもありますが、詳しくないところもありますのでご容赦ください)。もしこれは違うよという所があればご連絡いただければ幸いです。

41.腹圧性尿失禁で正しいのはどれか。(58回午前41)
 
1.痩身に多い
2.男性に多い
3.膀胱の収縮を伴う
4.持続的に失禁が生じる
5.骨盤底筋体操は有効である

                    【答え】5
【解説】
 腹圧性尿失禁とは重い荷物を持ち上げた時、走ったりジャンプをした時、咳やくしゃみをした時など、お腹に力が入った時に尿が漏れてしまう状態の事をいいます。 女性の尿失禁の中で最も多く、週1回以上経験している女性は500万人以上といわれています。
 正常な身体では、おなかに腹圧がかかった場合、骨盤底筋が膀胱と尿道を支えることで、尿道が締まり、尿が漏れるのを防いでいます。女性は妊娠・出産、更年期(閉経の前後10年間)に骨盤底筋はゆるみやすくなります。また出産時には胎児を娩出するときに骨盤底筋が損傷することもあります。このように腹圧性尿失禁は骨盤底筋が弱くなったり傷んだりすることによって、尿道をうまく締められなくなり、尿漏れを起こします。

では選択肢について解説します。
1.痩身に多い:×
 痩身では内臓脂肪が少なく腹圧が上がりにくいです。腹圧性尿失禁は肥満の人で起こりやすいです。 

2.男性に多い:×
 前述のように女性に多いです。

3.膀胱の収縮を伴う:×
 腹圧性失禁は膀胱の収縮がなくても、膀胱外の腹圧が高まることによって、膀胱が外から圧迫し意図せず排尿(失禁)を起こします。

4.持続的に失禁が生じる:×
 走ったりジャンプをした時、咳やくしゃみをした時など、お腹に力が入った時に尿が漏れてしまいます。持続的な失禁にはなりません。

5.骨盤底筋体操は有効である:○
 前述のように、骨盤底筋が弱い事が原因の一つですので、骨盤底筋を鍛える骨盤底体操が有効です。

国試的には脊髄損傷時にみられる上位運動ニューロン障害性の核上性麻痺と末梢神経障害(下位運動ニューロン障害)である核・核下性麻痺も重要であるので併せて勉強してください。排尿障害については脊髄損傷に関連したものの方が重要です。

     
 42.摂食嚥下障害の病態と手技の組み合わせで正しいのはどれか。(58回午前42)

1.鼻咽腔の閉鎖不全 ― Shaker (シャキア)法
2.梨状窩の食物残留 ― うなずき嚥下
3.喉頭蓋谷の食物残留 ― 横向き嚥下
4.食道入口部の開大不全 ― Mendelsohn手技
5.舌骨上筋群の筋力低下 ― 輪状咽頭筋バルーン拡張法

                    【答え】4
【解説】
 嚥下障害に対する設問です。過去に56回午後47にも出題がありました。ここで一度、嚥下訓練法についてまとめてみようと思います。

Shaker法
舌骨・喉頭の挙上不良による食道入口部開大不全が適応です。仰臥位で肩を床につけたまま頭だけを足の指が見えるまで挙上し、1分間持続、1分間休憩を3回繰り返します。1日3回6週間行います。

香川県摂食嚥下障害研究会 嚥下障害ってなあ〜に? より引用
http://kagawa-dysphagia.kenkyuukai.jp/images/sys/information/20150126170031-F06CEE4B135ECE656FE13782AA1EEB2412709DCA8CAA7FF44B5EBEA4F38D6438.pdf

 Shaker法の覚え方です。頭の上にサケとマグロが吊り下げられています。マグロが大好物なので、頭を持ち上げるときに「サケは嫌〜(さけいや〜」Shaker法となります(お粗末です)。

Mendelsohn(メンデルソン)手技
嚥下をすると喉頭が挙上します。外見からは甲状軟骨の挙上が見られます。嚥下時に甲状軟骨の下部を指で押さえ、数秒間その状態を保たせます。
 嚥下時に喉頭をしっかりと挙上させ、食道入口部を開かせるのが目的です。

永木歯科医院HP 摂食・嚥下障害の対応 より引用
http://www2u.biglobe.ne.jp/~nagaki/engeshougai/enge2.htm

 Mendelsohn法の覚え方です。図のように喉をもんでます(もんでるそん→Mondelsohn)です。喉を押さえてものを「飲んでるそん」もありかと?

輪状咽頭筋バルーン拡張法
 食道入口部の通過障害がある例に適応する。主に延髄外側症候群(ワーレンベルグ症候群)による球麻痺症例で輪状咽頭筋のスパズムがある例や、その他の神経筋疾患などにより輪状咽頭筋の開大が不十分となり、食塊の咽頭通過が不十分な例が適応となる。

公益財団法人長寿科学振興財団  1.摂食・嚥下障害のリハビリテーションより引用
https://www.tyojyu.or.jp/kankoubutsu/gyoseki/shokuji-eiyo-kokucare/h31-6-4-1.html

うなずき嚥下と横向き嚥下
 下図は喉頭の写真(左)と喉頭のイラスト(右)です。上が前方、下が後方になります。

 嚥下障害がある場合には喉頭蓋の前方にある喉頭蓋谷や、喉頭の両サイドにある梨状窩に食物残渣が残留しやすくなります。食物残渣の残留は誤嚥のリスクになります。
 うなずき嚥下食塊が喉頭蓋谷に残留する場合に適応になります。頸部を伸展して口腔の食塊を咽頭に送った後,すばやく下を向いて嚥下する。頭部を後屈することによって、喉頭蓋谷に残留する食塊が落ちるようになります。またのみ込むとき、逆にあごを引いてお辞儀をするように行うと気管が閉じ食道が開きやすくなります。このように、一度上を向き、次にうなずくときに嚥下する事をうなずき嚥下と呼びます。

香川県摂食嚥下障害研究会 嚥下障害ってなあ〜に? より引用
http://kagawa-dysphagia.kenkyuukai.jp/images/sys/information/20150126170031-F06CEE4B135ECE656FE13782AA1EEB2412709DCA8CAA7FF44B5EBEA4F38D6438.pdf

 うなずき嚥下に対して横向き嚥下片麻痺患者など、どちらか一方の梨状窩に食塊が残留する場合に適応になります。嚥下時に障害側へ頭部を回旋する事により障害側の梨状窩が狭くなり、障害側梨状窩への食塊流入を防ぎます。また嚥下後に非障害側に回旋する事により、嚥下時に障害側梨状窩に残留した食塊を非障害側に移動させて解消する事ができます。

香川県摂食嚥下障害研究会 嚥下障害ってなあ〜に? より引用http://kagawa-dysphagia.kenkyuukai.jp/images/sys/information/20150126170031-F06CEE4B135ECE656FE13782AA1EEB2412709DCA8CAA7FF44B5EBEA4F38D6438.pdf

ハッフィング法
呼吸するときに「は・は・はっ」と声を出して息を吐く方法です。これは誤嚥物の喀出に有効です。

OGメディック 呼吸リハビリで行われるハフィング、呼吸介助(スクイージングなど)、体位変換について解説します から引用
https://ogw-media.com/medic/cat_care/4432

ブローイング
ペットボトルやコップに水などを入れて、ストローでぶくぶく息を吹き込む方法です。鼻咽腔閉鎖機能不全や口唇閉鎖機能不全の改善に役立ちます。
ブローイングは、口から息を吐き出しますが、鼻からは息を出さないので、鼻咽腔や口唇が閉鎖できていないとできません。

うーん、ここまで嚥下機能訓練をイラスト付きでわかりやすくまとめているものは他にないような気がします…。自分にとって役に立たないのに、なんて良い人なんだ、私は…、ははは。

さて58回の問題の選択枝を解説します。
1.鼻咽腔の閉鎖不全―Shaker (シャキア)法:× 
 →ブローイング
2.梨状窩の食物残留―うなずき嚥下:×→横向き嚥下
3.喉頭蓋谷の食物残留―横向き嚥下:×→うなずき嚥下
4.食道入口部の開大不全―Mendelsohn手技:○
5.舌骨上筋群の筋力低下―輪状咽頭筋バルーン拡張法
 :×→Shaker法


ついでですが、56回にも嚥下障害の問題が出題されていました。以下解説します。
……………………………………………………………………………..
摂食嚥下障害に対するリハビリテーション手技と目的の組合せで正しいのはどれか。(56回午後47)

1.Shaker法:舌骨上筋群の強化
2.ハフィング〈huffing〉:食道入口部の開大
3.バルーン拡張法:誤嚥物の喀出
4.ブローイング:喉頭挙上の強化
5.Mendelsohn手技:鼻咽腔閉鎖の強化
                                                                                           答え:1
1.Shaker法:舌骨上筋群の強化:○
2.ハフィング〈huffing〉:食道入口部の開大:×誤嚥物の喀出
3.バルーン拡張法:誤嚥物の喀出:×食道入口部の開大
4.ブローイング:喉頭挙上の強化:×鼻咽腔閉鎖の強化
5.Mendelsohn手技:鼻咽腔閉鎖の強化:×喉頭挙上の強化
………………………………………………………………………………

もう嚥下障害のリハビリは完璧ですね!

(R5年10月2日加筆です)
57回午後37でも嚥下の問題が出題されていますが、ネットでの解説では十分な解説がされていませんので、ここで解説したいと思います(医師でも普段、嚥下内視鏡検査を行っていない場合はわかっていないと思いますし、ましてや理学療法士がそのような内容を知っていないと思いますので解説します)。

嚥下反射が惹起された瞬間の食物の流れを観察できる検査法はどれか。(57回午後37)
1.食物テスト
2.嚥下造影検査
3.嚥下内視鏡検査
4.改訂水飲みテスト
5.反復唾液嚥下テスト
                           答え2

1.4.5は何かを嚥下させて、「むせる」といった誤嚥の徴候があるかどうかを評価するもので、食物の流れを観察するものではありません。
2の嚥下造影は、X線透視をしながら、造影剤を嚥下させる検査で、食物の流れを直接観察できます。

石川病院:嚥下内視鏡・造影検査・嚥下訓練より引用
http://www.ishikawa-hp.or.jp/medical/medical20.html

問題は3の嚥下内視鏡検査です。内視鏡で観察するので、食物の流れを直接観察できるのではないか(?)と思うかもしれません。

国分中央女院:嚥下内視鏡検査についてより引用
https://www.misakikai.or.jp/news/1768/

嚥下内視鏡検査は、内視鏡で直接喉頭を観察しながら、着色したトロミや水分を嚥下する様子を観察する検査法で、顕性誤嚥や喉頭内侵入、喉頭部残留などを評価しますが、嚥下の瞬間は画面が白く光って(ホワイトアウト)、観察できないのです。

以下の動画をYouTubeで参照してください(埋め込みでは再生できません)
「粥ゼリーの素 宮源のお粥」を用いた嚥下内視鏡検査(VE)
https://youtu.be/PTtImW-IhiY?si=SIUDELzIpzbHKdaG

嚥下の瞬間は、画面がホワイトアウトして、見えなくなります。

43.アキレス腱周囲炎で正しいのはどれか。(58回午前43)
 
1.男性に多い
2.手術療法が第一選択となる
3.成人よりも小児で多くみられる
4.Thompsonテストが陽性となる
5.つま先部を高くした足底板が有効である

                     【答え】1
【解説】
 アキレス腱周囲炎はスポーツなどの繰り返しの負荷によってアキレス腱や腱周囲膜に炎症が起こり、アキレス腱周囲に痛みを生じるものです。以下選択肢について解説します。
1.男性に多い:○ 
 マラソンなど長期にランニングをするのは男性に多いですね

2.手術療法が第一選択になる:×
 アキレス腱断裂では手術療法が第一選択になりますが、腱断裂のないアキレス腱周囲炎では安静や消炎鎮痛剤の内服・外用湿布薬による保存的治療が第一選択になります。

3.成人よりも小児で多くみられる:×
 スポーツなどの繰り返しの負荷が原因ですから、小児よりも成人に多いです。

4.Thompsonテストが陽性となる:×
 Thompsonテストはアキレス腱断裂で陽性となるテストです。アキレス腱断裂のテストはトンプソンテストとシモンズテストを覚えておいてください。

5.つま先部を高くした足底板が有効である:× 
 つま先部を高くした肢位ではアキレス腱に張力がかかるため不適切です。アキレス腱への刺激を緩和するため、アキレス腱に張力がかからないように踵を高くした肢位が適切です。 


44.呼吸性アシドーシスはどれか。(58回午前44)

                    【答え】3
【解説】
 酸・塩基平衡問題は国試頻出問題で、毎年必ず1問出題されているように思います。酸・塩基平衡問題は必ず得点できるようにしたいものです。
 この問題は呼吸性アシドーシスはどれかという問題です。酸・塩基平衡問題でそのパターンを見る場合、pH・PaCO2・HCO3-(重炭酸イオン)の正常値は必ず知っておかなければなりません。それぞれの正常値は以下の通りです。
 pH:7.35〜7.45
PaCO2:40mmHg (CO2はしーおーですから40と覚えます)
 HCO3-: 24mEq/L* (重炭酸→虹の絨毯をイメージして24と覚える)
(注)mEq/LはHCO3-の様に1価のイオンの場合mmol/Lと同じです。以前はmEq/Lが用いられていましたが、最近ではほとんどmmo/Lが使用されています。これも国試特有のいやらしい惑わし作戦です。あ〜いやらし。

 CO2 (PaCO2)は生体内で酸として働きます。またHCO3- (重炭酸イオン)は生体内でアルカリとして働きます。

 これを踏まえて酸塩基平衡を分析します。酸塩基平衡の分析は、必ずpHから評価します。表の中ではアシドーシス(酸性:7.35 よりpHが小さい)を示しているのは選択肢1の7.30と選択肢3の 7.25の二つになります。

 次にPaCO2およびHCO3-を分析します。選択肢1ではPaCO2が25mmHgと低いのでアシドーシスの原因ではありません。HCO3-が15mEq/Lと低くアルカリが少ないので、これがアシドーシスの原因と考えられます。すなわちアシドーシスの原因は呼吸性ではなく代謝性アシドーシスで、選択肢1でPaCO2が低いのはアシドーシスを呼吸性に代償している事を意味します。

 一方、選択肢3ではPaCO2が55mmHgと高いので、呼吸性アシドーシスとなっています。HCO3-は30mEq/Lと高いので呼吸性アシドーシスを代謝性に代償している事を意味します。


45.Guillain-Barre症候群の治療で正しいのはどれか。(58回午前45)
 
1.ステロイド投与が第一選択である
2.筋力低下の進行期には関節可動域訓練より筋力増強運動を優先させる
3.人工呼吸管理の場合、早期から胸郭ストレッチを行う
4.筋力低下の進行が低下すれば、早期から漸増式抵抗運動を開始する
5.約半数が発症6ヶ月後の歩行障害に長下肢装具を必要とする

                    【答え】3
【解説】
 Guillain-Barre症候群(ギランバレー症候群:以下GBS)は末梢神経に障害を起こす疾患です。

 GBSの3人に2人は発症の1~3週間前にカンピロバクター、サイトメガロウイルス、EBウイルスなどの感染症にかかった既往があるとされています。とくにカンピロバクターは流通する鶏肉の60%以上に付着しており、鶏肉を切った包丁で他の野菜などを切ると容易に感染します。また牛レバーの内部にも存在している事があります(私は牛の生レバーは絶対に食べません)。

 症状は運動神経の障害がメインですが、感覚神経も自律神経も障害を受けます。ただし、温痛覚障害はありません(C線維は髄鞘ないため障害を受けません)。また感覚障害は軽度で、視覚は保たれるのが特徴です

 GBSの特徴は以下の通りです。

Evidence Blog  ギランバレー症候群ってどんな病態? より引用
https://evidencenote.com/7523292-2/

 運動麻痺は,急速に進行し、典型的に左右対称性に 下肢からはじまり上肢へと上行性に進行することが特徴です。麻痺は末梢神経障害パターンで、腱反射低下を伴う弛緩性麻痺となります。

 GBSの診断は難しいです。昔は①しかなかったです。③も結果が返ってくるの遅いし…。これでとても高価な免疫グロブリン大量療法を行っていた(150万?ぐらいしてました)ので、保険審査で理由を書くのにいつも苦労してました…。

③最近では採血で抗ガングリオシド抗体が陽性である事もわかってきましたが、その陽性率は約60%程度です。

選択肢の解説
1.ステロイド投与が第一選択である:×
 GBSの治療は免疫を抑制するステロイドではなく、先行感染によって生じた髄鞘への自己抗体の効果を弱めるために、多くのウイルスに対する抗体を持つ(多価)免疫グロブリン製剤を大量に投与する治療法が行われます。

2.筋力低下の進行期には関節可動域訓練より筋力増強運動を優先させる:×

 ギランバレー症候群に対するリハビリテーションは以下の文献に詳しく述べられています。
梛野浩司、甲斐 悟:ギラン・バレー症候群に対するリハビリテーション。保健医療学雑誌11 (2): 175-185, 2020. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jalliedhealthsci/11/2/11_175/_pdf/-char/ja

 上記文献によると、GBSにおける「筋力低下に対しては筋力増強トレーニングが行われるが、筋力低下の程度に合わせて介助運動、自動介助運動、自動運動、抵抗運動を選択する。筋力増強トレーニングにおいて、回復し始めたばかりの筋群は弱いため過負荷にならないように注意が必要である。」と記載されています。また「過負荷の場合、極端な筋力の低下が生じることから日々の臨床において筋力の変化に細心の注意を払う必要がある。」と記載されています。

 また、関節可動域訓練については「急性期に生じてしまった ROM 制限が回復期以降の動作能力に影響を及ぼすことが報告されている。GBS 患者にみられる ROM 制限は,そのほとんどが関節の不動による 廃用症候群である。(中略)ROM 制限を予防するために ROM 練習を行うこと、良肢位保持を行うことが重要である。ROM 練習を行うにあたり、筋は低緊張状態であり急激な過度の伸張に対する防御機構が機能しないため容易に筋断裂などが生じる。そのため、ストレッチを行う際には愛護的に行うようにする。」と記載されています。

 これらから、まだ回復期にいたっていない筋力低下の進行期には、筋力増強運動より関節可動域訓練を優先した方が良いと思われます。

3.人工呼吸管理の場合、早期から胸郭ストレッチを行う:○
 GBSで呼吸筋麻痺をきたした場合、人工呼吸管理が必要になる場合があります。人工呼吸管理を行っている場合、二次的に肺・胸郭のコンプライアンスが低下することがあります。肺・胸郭コンプライアンスを維持するためには胸郭の可動性を維持する目的で上肢の運動や強制吸気を行う事がありますし、胸郭ストレッチを行う事も良いと思われます。

4.筋力低下の進行が低下すれば、早期から漸増式抵抗運動を開始する:×
 筋力低下の回復期には漸増式抵抗運動を行っても良いが、筋力低下の進行期には筋力増強運動よりも関節可動域訓練を優先して行うべきです。

5.約半数が発症6ヶ月後の歩行障害に長下肢装具を必要とする:×
 GBSでは症状のピークは約1ヶ月後で、多くは6ヶ月以内に自然回復します。上記文献によると「発症から 1 年の時点でも歩行時に装具が必要となるのは34%であったと報告されている」と記載されています。



Dr. Sixty_valleyの第60回理学療法士国家試験対策のポータルサイトページは以下です。

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