見出し画像

VCインターン体験記


今回の記事では私のインターンの経験を大まかに振り返り、学んだことを共有していきます。

INDEE japan

まず私のインターン先であるINDEE japanについて紹介します。
INDEE japanはイノベーションコンサルティングとシードアクセラレーターを運営するイノベーション特殊部隊です。

スクリーンショット 2021-04-30 19.09.23

クライアントに対し、以前私が紹介したジョブ理論を用いた新規事業・新商品開発や破壊理論を活用したイノベーション マネジメントを提供しています。

社名のINDEEには、INSPIRE(触発)、INNOVATE(革新)、DESIGN(デザイン)、DEVELOP(開発)を通じて、ECOLOGICAL(地球環境に適した)でETHICAL(社会倫理に適した)な世の中を創っていくという理念が込められています。

INDEE japanの掲げるイノベーションは一般的な技術革新を指すのではなく 、人々が今より幸せに、今より暮らしやすい世の中を満たすテクノロジー、事業、組織、そして人材をつくりだすこと意味します。 このイノベーションを通じて美しさと幸せを生み続けることがINDEE japanのミッションです。

私について

インターンの内容に入る前に僕のバックグランドについて少しだけ述べておこうと思います。
私は現在、早稲田大学の4年生です。これまでの学生生活は、企業のインターンシップへ参加したこともサークルやバイトに打ち込むこともなく、高田馬場で飲んでは楽しく過ごしてきました。

このような絵に書いたように怠惰な早大生がこのインターンに参加した最も大きな理由は自分自身のキャリアと向き合う機会が得られると考えたことです。

私は昨秋の時点でコンサルティングファームから内定をいただいていましたが、正直なところ選考を通じてコンサルティングの業務内容を知る機会は少なく、コンサルタントが何をしているのか具体的に把握することができていませんでした。また、その志望動機の一つも「留学に行くために早めに内定が欲しい!」というどこまでも浅はかなものであったため、ファーストキャリアにおける選択として”良い”ものなのかという不安が拭い切れていませんでした。

こうした不安を拭い経験を基に自信を持ってキャリアの第一歩を踏み出すため、実践的なコンサルティング業務を経験することができるINDEE Japan のインターンプログラムに参加させていただきました。

プロジェクトの内容

このインターンでの取り組みは、2人1組での産学連携の強化し大学研究の事業化を促するサービスの立案でした。
大学では多くの研究が行われていますが、その研究成果(シーズ)の多くが世の中に活かされていないという現状があります。僕らはその大きな課題に対し、各自の切り口から今より良い状態を実現を目指してプロジェクトに取り組みました。

取り組み

プロジェクトでの取り組みは大きく分けて4つあります。

①リサーチ     
②ヒアリング   
③スライド作成  
④ピッチ     

①と②は仮説の立案にあたります。一週間に一度を目安として①仮説立案から④ピッチまでを、そして④ピッチへのフィードバックを踏まえて再び①仮説検証に取り組むというサイクルを繰り返しました。

また、これらの取り組みをアウトプットは

⑴現状分析
⑵問題提起
⑶解決すべき課題
⑷解決のアプローチ
⑸実行計画

流れに沿って行いました。

今まで参加したインターンは就職活動における企業選考の一環として行われる短期インターンシップのみであったため、一つ一つの取り組みに多くの時間を費やし、さらにサイクルを繰り返すことで仮説の検証することができるのは新鮮な体験でした。

学びの毎日

このインターンでの学びは多く、その有益さは僕の三年間の大学生活を上回ります。

ここからは各取り組みにおける失敗と学びを簡潔に紹介していきます。

①リサーチ
まず初めに取り組んだことは、産学連携の現状に関する情報収集とそれを基にした現状分析です。
失敗:❶現状認識に時間を費やしすぎた 
産学連携の現状という調べ切るのに膨大な時間がかかることやそもそもに答えが存在しないことを詳細まで追求しても非効率的でしかありません。わからないが故に不安に駆り立てられ調べすぎてしまう、これは誰もが陥りやすい過ちだと言えます。

学び:❶期限を待たず、ある程度の完成度でフィードバックをもらうべき!
期限いっぱいの時間をつかって自分たちで答えを出そうとするのではなく、ある程度の方向性が決まった時点で依頼主(ここではINDEEの社員の方)にフィードバックをもらうすることが重要です。ここで方向性が間違っていても修正が可能です。また、方向性が合っていた場合でも期限までフィードバックを受けなかったアウトプットに比べ格段に依頼主の希望に沿った成果物になると言えます。

②ヒアリング
現状分析を基に問題を洗い出し、ヒアリングを通じてその中から解決すべき課題とその課題に直面するターゲットを明確にしました。
失敗:❶ヒアリングの件数が少なく核心を突く情報を多く聞き出せなかった
   僕らのチームでは合計で10名の方にヒアリングを行いましたが、最終的な ターゲットとしていたポスドクの方にはなかなか接触することができず、核心をつくような情報を得ることができませんでした。
学び:❶ヒアリング件数を増やす:ターゲットが集まる場所に行け!
ターゲットとなる人々に対しこちらから一人ずつアポを取り、地道にヒアリングを行うことも大切ですが、ターゲットが集まりそうなイベントやフォーラムに行けば1日で多くのアポを取ることができます。実際初期段階では、早稲田大学のオープンイノベーションフォーラムに参加し、1日に5.6人の方と折衝することに成功しました。
   ❷ヒアリングの精度を上げる:ヒアリングは準備命!
ヒアリングの大きな目的な未知の情報を獲得することです。さらに言えば質問を通じてターゲットのジョブに触れることができれば最高です。しかし、ほとんど既知情報の確認で終わってしまったことがありました。こうした事態を防ぐためにはヒアリングの準備段階でいかに欲しい情報を引き出す質問を用意できるかが重要だと感じました。例えば1日にヒアリングの予定が2件ある場合、2回目には1回目のヒアリング内容を踏まえて質問内容を変えるといった工夫が大切です。

ここで加えて言及しておきたいことは「サードドア」という考え方です。
書籍「サードドア」では、人生をナイトクラブに喩えて「サードドア」を説明しています。

ファーストドアは、一般人が利用するドアです。このドアを通過するには長蛇の列に並ぶ必要があります。
セカンドドアは、VIP専用のドアです。お金や権力、コネのある人間のみが利用することができます。 
サードドアは、いわゆる裏道です。ファーストドアでもセカンドドアでもない、その存在を探し出した人が通過できるドアです。

今回の取り組みでは、この「サードドア」を見つけ出し大きなチャンスを得ることができました。というのは、フォーラムに参加した際、早稲田大学のオープンイノベーションセンター(OI機構)の副機構長に直接ヒアリングのアポイントを取ることができたことです。僕らはOI機構のVIPではなかったため、通常であればイノベーションセンターの受付や窓口の方を通じて、要件を伝える必要があり、時間がかかるだけでなく簡単に断られたかもしれません。

「サードドア」はどこにでも存在し、探し出すことで飛躍的な成長や大きなチャンスにつながると実感することができました。


③スライド作成
得た情報から立てた仮説と解決策を⑴から⑸までの流れに沿ってスライドに落とし込みました。
これまでスライドを雰囲気で作ってきたため、非常に初歩的な失敗に陥ってしまいました。
失敗:❶スライド一枚に対する情報量が多すぎた。
初回のスライドでは一目で理解しやすいように、一つのスライドに多くの情報を詰め込んでしまいましたが、これは逆効果でした。
   ❷ スライドに一貫性が欠け説得力がない
情報過多に加えて、説得力の有無以前にスライドを通じて何を伝えたいかが明確ではありませんでした。あるスライドでは僕らの取り組みの過程を、次のスライドではターゲットであるポスドクの悩みを、とスライド毎に誰視点からのスライドなのかがブレていました。


学び :❶ワンスライド ワンメッセージ
これはスライドを作成する上での大前提です。各スライドで伝えたいワンメッセージを明確にすることは不必要な情報を削ることにもなり、主張が伝わりやすくなります。
こちらはアメリカの有名企業のスライドの一覧になります。どの企業もワンスラドワンメッセージを徹底しており、主張が明確に伝わってきます。 

     ❷主人公を設定しストーリーに仕立てる
スライドに一貫性と説得力を持たせるためには、スライドで主人公を設定し主人公の現状や課題を一つのストーリーに仕立てることが必要です。これにより主張に一貫性と説得力を持たせることができます。


④ピッチ     
スライドを基に社員の方々に向けプレゼンを行いました。

失敗:❶アウトプットに自信がなかったため、声が小さく目線が低かった
①から③で常に満足のいくアウトプットを準備することができず、発表でも自信のなさを露呈させてしまった。人は自信がないとき声がめちゃめちゃ小さくなります。

学び:❶納得のいかない仕上がりでも割り切って、堂々と発表すべき
自身のない発表をした後、社員の方から「発表は発表で割り切って締め切りまでに出したアウトプットに自信を持つべきだ」というアドバイスをいただきました。確かにそうです、堂々としていればオーディエンスはこちらがアウトプットに自信があるかどうか知る由がありません。自信満々に発表し「何だか良さそうだ」と錯覚させることもテクニックの一つなのです。

ここまで、このインターンで得た実用的な学びについて述べてきました。
ここからは自分自身のキャリアと向き合うという当初の目的に沿って振り返っていきます。

良い選択とは

僕は当初、ファーストキャリアとしてコンサルタントを選択することが果たして”良い”選択なのかという悩みを抱えていました。 
この問いに対する答えをインターン中に聞いた話をつなぎ合わせて、また同じくこのインターン参加していた他の学生との意見をすり合わせ導き出すことができました。

INDEEの代表である津田さんは、「現代は生きやすい時代であるものの、情報過多であるが故に学生は選択しずらくなり、生きづらさを感じてしまう。」「結果的に、楽な『社会的に良い』とされる選択肢を選んでいる」と仰っていました。自分の意思とは関係なく、「社会的に良い」を基準に選択することは楽です。また、特に挫折を経験せず社会的枠組みに合わせ着実に歩んできたエリートと呼ばれる人々にほど、「社会的に良いか」は選択をする上で絶対的な指標となっていきます。つまり、楽をするための選択基準がいつの間にか自分の選択肢を狭めているのです。
私は自分が無意識に「社会的に良い」選択をしていたことを認識し、自分の価値観や経験に基づいた直感を尊重した選択していくべきだと考えるようになりました。これもインターンでの僕に起きた大きな変化の一つです。

未来が過去を決める

では自分の価値観や経験に基づいた直感を尊重した選択における「良さ」とはなんでしょうか。この問いを考えるにあたり、インターン中に社員の方からお話していただいた「過去の選択は変えられる」という考え方の重要性に気がつきました。
「過去の選択は変えられる」とは「未来が過去を決める」と言い換えられます。つまり、今の選択の「良さ」はこれからの行いで決まるのです。これを踏まえて、現時点で行う選択に正解を求めるのではなく、スティーブジョブズの「Connecting the dots」にあるような、選択を正解にするアクションを尊重すべきだと結論付けました。

おわりに

このインターンプログラムに参加したことは早くも僕の中で「良い選択」となっていますが、さらに胸を張って言えるようにここでの学びを活かしていきたいと思います!INDEE japanの皆さん、インターン同期の皆さんありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?