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ウクライナに平和を!

ロシアの国旗は横じまの三色旗だ。
その由来は、上から、白がベラルーシ人、青がウクライナ人、赤がロシア人をそれぞれ表わすとされる。帝政ロシア時代の国旗を復活させたものだ。

ベラルーシ、ウクライナ、ロシアは、東スラブ諸民族を構成し、言語的にも、文化的にも非常に近しい。
例えば、私がたまに行く「ミンスクの台所」というレストランは、ベラルーシの家庭料理の店だが、そのメニューは、ほぼロシア料理と言ってもよさそうなものだ。(ウェブサイトも日本語版とロシア語版がある。)

ロシア人の歴史的なメンタリティとしては、三つの民族は一体であり、結果として「ベラルーシもウクライナもロシアのもの」ということになってしまうのだろうか?

しかし、ソ連崩壊後の今日、ベラルーシもウクライナも、れっきとした独立国家である。それぞれの主権が尊重されねばならないのは当然のことだ。

今回のロシアによるウクライナ侵攻は、そんな当たり前の、国際社会の大原則を一方的に踏みにじる許し難い暴挙であり、愚行である。

プーチン(以下、敬称略)は、NATOの東方拡大停止要求を欧米から再三はねつけられ、一方で、ロシア下院からはウクライナ東部地域(ルガンスク州、ドネツク州)の独立承認を求められていた。

そんな中で、今月21日、プーチンが、ウクライナ東部2州の独立を承認し、平和維持部隊を派遣すると表明した時、私は、プーチン自身が追い詰められ、引くに引けない状況に陥っているのではないかと思った。

しかし、その後瞬く間に、侵攻は、ウクライナ全土へ組織的に展開され、首都キエフ近辺まで攻撃が及ぶ情勢となった。
であるとすれば、実は、事前に侵攻のシナリオが綿密に練られ、準備万端に整えられていた、ということだ。

プーチンは本気だった。おそらく、習近平の顔を立てて、北京五輪が閉幕するタイミングを見計らっていたのだろう。

首都キエフの陥落は時間の問題と見られている。

ウクライナでは、すでに大規模な国外退避が始まっており、一方で、総動員令の発令によって、一般市民が戦闘に巻き込まれようとしている。市民たちが、どんなに恐ろしく、心細い思いをしているか、まさに、国際社会の「想像力」が問われる事態だ。

残念ながら、西側の経済制裁の効果も限定的であるようだ。そうかといって、武力介入に踏み切ることも難しいだろう。事態をさらにエスカレートさせることは、避けなければならない。
もどかしく、悩ましいが、非軍事的制裁と、外交努力と、ウクライナ国民に対する人道支援に各国が総力を挙げるべきだろう。

このような事態を、ロシアの一般国民はどのようにとらえているのだろう。もし、ロシア国民の大多数がプーチンの暴挙を支持しているとしたら……。そう考えたら、恐ろしさに震えそうになった。

だが、ありがたいことに、ロシア国内も、プーチン支持一色ではないようだ。

今回の侵攻に対して、ロシア国内で反戦デモが相次いでいるという報道を目にした(『日本経済新聞』2月26日付)。
反戦デモは、モスクワやサンクトペテルブルクなど、複数都市で発生し、現地時間25日昼までにデモ参加者1,800人以上が拘束された、と報じられている。

ロシア国内にも、良心と内なる正義の声に従って、命がけで抗議活動に身を投じている市民たちがいる。このことは、決して忘れてはならない。

一日も早く、ウクライナに平和が戻りますように!

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