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'21年度前期 授業の反省 (4) 講義ビデオ

全面オンライン授業だった昨年度同様,ハイフレックス授業となった今学期も,授業の講義部分は講義ビデオをオンデマンドで学生に視聴してもらうことにより実施しました。したがって,教室で受講する学生は,授業時間中,パソコンとイヤホンで講義ビデオを視聴することになりました。少々異様な光景でしたが,私の次の授業方針に従ってこのような形態を選びました。

[方針2] 授業において,教室にいる学生は,遠隔で受講する学生と同じことを行う。教室にいなければできないようなことは行わない。

講義ビデオの作成

今学期使用した講義ビデオのほとんどは,2017年度後期に教室で行った授業を録画したものです。その学期に,講義ビデオをVimeoにアップロードし,受講者に提供したので,それを流用したのです。ちなみに,全面オンライン授業となった昨年度も同じビデオを利用しました。

教室での授業を録画して受講者に提供することは,2013年度前期の途中から始めています(2014年度後期まで行いました)。その方法は,ブログに詳しく書いておきましたが,簡単に言えば,パソコンの画面をキャプチャーするソフトを使って,授業をしながら音声付きの動画を作成してしまうという方法です。教員の顔は入れず,音声のみを入れるならそれほど大変なことではありません。

なぜ2017年度と古いビデオなのかというと,そのあとの2018年度と2019年度は講義主体の授業をしなかったからです。授業中に学生の活動を行わせるため,講義は従来の半分程度の時間で行っていました。講義ビデオとしては2017年度後期のものがもっとも完成度が高かったので,昨年度からこれを利用しているわけです。

なお,2017年度後期以降に起こったことを学生に説明するために,2020年度には補足のビデオを作成して講義ビデオに追加しました。教室で行っている授業の声と,一人でパソコンに向かって話す声は全くテンションが異なり,続けて聞くとかなり違和感がありますが,やむを得ませんでした。

講義ビデオの配信

昨年度前期は,講義ビデオの配信を,大学が用意したBoxというクラウドストレージを利用して配信しました。WebClassからリンクを張ったのですが,Boxのデータにアクセスするたびにユーザー名とパスワードを入れなければならず,非常に煩雑になりました。そこで昨年度後期から,動画共有サービスのVimeo(プランは最も安いVimeo Plus)を使い,授業サイトに動画を埋め込んで,ワンクリックで再生できるようにしました。昨年度後期はそのプランでは再生速度の変更はできませんでしたが,今年度は同じプランでも速度の変更ができるようになりました。倍速再生していた学生もいたようです。

講義ビデオの今後

上述の通り,かつて教室での授業を録画して授業サイトで提供したことがあったのですが,けっこう手間がかかる割には学生の利用が少ないため途中で辞めてしまいました。私としては,復習のために観てほしかったのですが,一度教室で聴いた講義を授業時間外にわざわざもう一度聴く学生はほとんどいませんでした。

好きな時間に好きな場所で,好きなペースで学べる講義ビデオをもっと活用してもらいたいと考えても,教室で講義をする限り,学生には観てもらえないということが良く分かりました。講義ビデオを学生に観てもらうためには,教室での講義は行わず,その代わりにビデオを観てもらうようにすればいいだろうとは思いましたが,授業時間外に講義ビデオを観てもらうような反転授業をしても,授業時間外に観る学生がどれだけいるか確信が持てないため実現できませんでした。また,授業中にときどきテレビ番組の録画を見せるのですが,これをインターネットで配信することは著作権上困難でした。しかし,昨年度から授業中に講義ビデオ(テレビ番組を含む)を観てもらうというオンデマンド授業が可能となったのです。しかも,学生はそれに慣れ,教室での対面授業よりオンデマンドビデオを観る方が良いという学生の方が多数派となりました(私の授業中行ったアンケート調査による)。

私は,コロナが終息し対面授業が復活しても,オンデマンドの講義ビデオを活用し続けたいと思っています。そのために,さらに工夫を加え,ビデオの途中にクイズ(小テスト)を入れたり,学生がビデオを観ながら質問やコメントを書き込めるようにしたりするなど,一方通行になりがちなビデオ視聴をよりインタラクティブにすることを考えています。そのために,Knowmiaというサービスに注目しています。今利用しているVimeo Plusよりは高くなりますが,Vimeo Pro程度の料金で利用することができます。