マガジンのカバー画像

読書。社会学とか。

41
運営しているクリエイター

2019年8月の記事一覧

小宮友根『実践の中のジェンダー 法システムの社会学的記述』(2011) 第6章 被害者の意思を認定する

〇 概要
 我々の行為・アイデンティティには無数の記述可能性がある。したがって、行為やアイデンティティを書くということは、一つの「意味」を選択することである (:217)。判決文を書くという行為も、正当な判決を下すという目的のための記述の選択を意味するのであり、まさにそうした選択があるからこそ、それは正当な判決文として理解可能となるのである (:219)。そして、こうした記述の正当性にはサックスが

もっとみる

小宮友根『実践の中のジェンダー 法システムの社会学的記述』(2011) 第4章 法的推論と常識的知識

〇 概要
 基本的に法現象研究は、「法的なもの」と「そうではないもの (社会)」を分けて両者の関係を考えてきた。それに対して、法解釈と常識的推論の不可分な関係を明らかにするのが本章の目的である。
 まず、法的活動には「正当化」の試みが不可欠である (:156)。そして、正当化の試みにおいては、当該システム内で受け入れられる「よい理由」以外は行為の理由として意味をなさない (たとえ他の理由で説明が可

もっとみる

小宮友根『実践の中のジェンダー 法システムの社会学的記述』(2011) 第2章 社会システムの経験的記述

 以下、何記事かにわたって、『実践の中のジェンダー』のまとめとコメントを公開します……。が、なかなかに難しい内容であり、全然読み解けていない感がすごいです。あと、この記事のコメントで出てくるルーマンの話は、ちゃんと確認せずにイメージで書いています。あまり参考にしないでください。

******

〇 概要

 社会学は「行為」を記述するにあたって、主観的な意味を理解しなければ行為の記述を行うことが

もっとみる